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九州大学 1964年 文系 第2問 解説

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九州大学 1964年 文系 第2問 解説

方針・初手

菱形の形を変化させるとき、内角の1つを変数とおいて考えます。隣り合う2辺のなす角を $\theta$ とおくことで、菱形の高さや面積を表現できます。 (1)では、内接円の直径が菱形の高さに等しいことに着目します。(2)は(1)の誘導に従い、面積 $S$ を $r$ の2次関数として表し、(1)で求めた定義域における最大値を考えます。

解法1

(1)

菱形の1つの内角を $\theta \ (0 < \theta < \pi)$ とおく。 菱形の高さを $h$ とすると、$h = a \sin\theta$ である。 内接円の半径を $r$ とすると、内接円の直径は菱形の平行な2辺間の距離、すなわち高さ $h$ に等しいから、

$$2r = a \sin\theta$$

$$r = \frac{a}{2} \sin\theta$$

$0 < \theta < \pi$ のとき $0 < \sin\theta \le 1$ であるから、

$$0 < r \le \frac{a}{2}$$

(2)

菱形の面積を $S_1$、内接円の面積を $S_2$ とおく。 菱形は1辺の長さが $a$ で、内接円の半径が $r$ である。菱形を対角線の交点(内接円の中心)から各頂点へ結んで4つの三角形に分割して考えると、各三角形の面積は $\frac{1}{2}ar$ であるから、

$$S_1 = 4 \times \left( \frac{1}{2} a r \right) = 2ar$$

また、内接円の面積は、

$$S_2 = \pi r^2$$

求める面積 $S$ は $S = S_1 - S_2$ であるから、

$$S = 2ar - \pi r^2$$

$S$ を $r$ の2次関数とみて平方完成すると、

$$S = -\pi \left( r^2 - \frac{2a}{\pi} r \right) = -\pi \left( r - \frac{a}{\pi} \right)^2 + \frac{a^2}{\pi}$$

ここで、(1)より $r$ のとりうる値の範囲は $0 < r \le \frac{a}{2}$ である。 $a > 0$ であり、$2 < \pi$ より $\frac{1}{\pi} < \frac{1}{2}$ であるから、

$$0 < \frac{a}{\pi} < \frac{a}{2}$$

が成り立つ。 したがって、区間 $0 < r \le \frac{a}{2}$ において、$S$ は $r = \frac{a}{\pi}$ のとき最大値をとる。 その最大値は $\frac{a^2}{\pi}$ である。

解法2

(2)

菱形の1つの内角を $\theta \ (0 < \theta < \pi)$ とする。 菱形の面積は $a^2 \sin\theta$ であり、(1)より内接円の面積は $\pi \left( \frac{a}{2} \sin\theta \right)^2$ である。 よって、求める面積 $S$ は、

$$S = a^2 \sin\theta - \frac{\pi a^2}{4} \sin^2\theta$$

ここで、$t = \sin\theta$ とおくと、$0 < \theta < \pi$ より $0 < t \le 1$ である。 $S$ を $t$ の関数とみて平方完成すると、

$$S = -\frac{\pi a^2}{4} \left( t^2 - \frac{4}{\pi} t \right) = -\frac{\pi a^2}{4} \left( t - \frac{2}{\pi} \right)^2 + \frac{a^2}{\pi}$$

$2 < \pi$ より $0 < \frac{2}{\pi} < 1$ であるから、区間 $0 < t \le 1$ において、$S$ は $t = \frac{2}{\pi}$ のとき最大値をとる。 その最大値は $\frac{a^2}{\pi}$ である。

解説

図形の性質から面積を定式化し、2次関数の最大・最小に帰着させる問題です。 (1)で内接円の半径 $r$ の範囲を求めさせているため、(2)では解法1のように $S$ を $r$ の関数として立式するのが出題者の意図に沿った自然なアプローチとなります。 このとき、平方完成で得られた頂点の $r$ 座標が、(1)で求めた定義域内に存在することを示すために、円周率 $\pi$ の評価($\pi > 2$)を明記することが重要です。

答え

(1) $0 < r \le \frac{a}{2}$

(2) 最大値 $\frac{a^2}{\pi}$

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