東京大学 2012年 文系 第2問 解説

方針・初手
点 $D$ の座標を $t$ を用いて表し、三角形 $ACD$ の面積 $S(t)$ を立式することが第一歩である。 面積を $t$ の関数として表した後は、微分法や相加平均と相乗平均の大小関係を用いて最大値を求める。 $\angle ACO = \angle BCD$ という角度の条件から直線 $CD$ の方程式をどう導くかがポイントとなる。
解法1
点 $A(0,1)$ の $x$ 軸に関する対称点を $A'(0,-1)$ とする。
$x$ 軸は線分 $AA'$ の垂直二等分線であるから、$\triangle ACO \equiv \triangle A'CO$ であり、$\angle ACO = \angle A'CO$ が成り立つ。
問題の条件 $\angle ACO = \angle BCD$ より、$\angle A'CO = \angle BCD$ である。
点 $A'$ は $x$ 軸の下側、点 $B$ と点 $D$ はそれぞれ $x$ 軸上および上側にあり、点 $C$ は $x$ 軸上にある。 したがって、角の位置関係から、半直線 $CD$ は半直線 $A'C$ の延長線上にあり、3点 $A', C, D$ は一直線上にある。
直線 $A'D$(すなわち直線 $A'C$)は、2点 $(0, -1)$, $(t, 0)$ を通るので、その方程式は
$$ y = \frac{1}{t}x - 1 $$
である。
一方、直線 $AB$ は2点 $(0, 1)$, $(1, 0)$ を通るので、その方程式は
$$ y = -x + 1 $$
である。
点 $D$ はこれら2直線の交点であるから、連立して $x$ 座標を求めると
$$ \frac{1}{t}x - 1 = -x + 1 $$
$$ \left(\frac{1}{t} + 1\right)x = 2 $$
$$ \frac{t+1}{t}x = 2 $$
$$ x = \frac{2t}{t+1} $$
となる。($0 < t < 1$ より $0 < x < 1$ となり、確かに線分 $AB$ 上にある)
次に、$\triangle ACD$ の面積 $S(t)$ を求める。
3点 $A', C, D$ が一直線上にあることから、$\triangle ACD$ の面積は、$\triangle AA'D$ の面積から $\triangle AA'C$ の面積を引いたものとして計算できる。 $y$ 軸上の線分 $AA'$ を底辺とみると、その長さは $2$ であり、高さはそれぞれの点の $x$ 座標となるので、
$$ S(t) = \triangle AA'D - \triangle AA'C $$
$$ S(t) = \frac{1}{2} \cdot 2 \cdot \frac{2t}{t+1} - \frac{1}{2} \cdot 2 \cdot t $$
$$ S(t) = \frac{2t}{t+1} - t $$
$$ S(t) = \frac{2t - t(t+1)}{t+1} = \frac{-t^2 + t}{t+1} $$
となる。
ここで、$S(t)$ の最大値を求める。 $u = t+1$ とおくと、$0 < t < 1$ より $1 < u < 2$ であり、$t = u-1$ を代入すると
$$ S(t) = \frac{-(u-1)^2 + (u-1)}{u} $$
$$ S(t) = \frac{-u^2 + 2u - 1 + u - 1}{u} $$
$$ S(t) = \frac{-u^2 + 3u - 2}{u} $$
$$ S(t) = 3 - \left(u + \frac{2}{u}\right) $$
となる。
$u > 0$ かつ $\frac{2}{u} > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より
$$ u + \frac{2}{u} \ge 2\sqrt{u \cdot \frac{2}{u}} = 2\sqrt{2} $$
が成り立つ。
等号が成立するのは $u = \frac{2}{u}$、すなわち $u^2 = 2$ のときであり、$1 < u < 2$ より $u = \sqrt{2}$ のときである。 このとき、$t = \sqrt{2}-1$ となり、$0 < t < 1$ を満たす。
したがって、$S(t)$ は $t = \sqrt{2}-1$ のとき最大値 $3 - 2\sqrt{2}$ をとる。
解法2
図より、直角三角形 $OAC$ において $\angle ACO = \theta$ とおくと、
$$ \tan \theta = \frac{OA}{OC} = \frac{1}{t} $$
である。
条件より $\angle BCD = \angle ACO = \theta$ である。 点 $D$ は第1象限の点であり、半直線 $CB$ は $x$ 軸の正の向きであるから、直線 $CD$ と $x$ 軸の正の向きとのなす角は $\theta$ となる。 したがって、直線 $CD$ の傾きは $\tan \theta = \frac{1}{t}$ であり、点 $C(t, 0)$ を通ることからその方程式は
$$ y = \frac{1}{t}(x - t) \iff y = \frac{1}{t}x - 1 $$
となる。
線分 $AB$ を含む直線の方程式は
$$ y = -x + 1 $$
である。
点 $D$ の座標を求めるために2式を連立すると、
$$ -x + 1 = \frac{1}{t}x - 1 $$
$$ \frac{t+1}{t}x = 2 \iff x = \frac{2t}{t+1} $$
このとき $y$ 座標は
$$ y = -\frac{2t}{t+1} + 1 = \frac{1-t}{t+1} $$
となる。
よって、点 $D$ の座標は $D\left(\frac{2t}{t+1}, \frac{1-t}{t+1}\right)$ である。
$\triangle ACD$ の面積 $S(t)$ は、四角形 $OADB$ の面積から考えるよりも、$\triangle OAB$ から $\triangle OAC$ と $\triangle CDB$ を除くことで求められる。 それぞれの面積は
$$ \triangle OAB = \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 1 = \frac{1}{2} $$
$$ \triangle OAC = \frac{1}{2} \cdot t \cdot 1 = \frac{t}{2} $$
$$ \triangle CDB = \frac{1}{2} \cdot (1-t) \cdot \frac{1-t}{t+1} = \frac{(1-t)^2}{2(t+1)} $$
である。
よって
$$ S(t) = \frac{1}{2} - \frac{t}{2} - \frac{(1-t)^2}{2(t+1)} $$
$$ S(t) = \frac{1-t}{2} - \frac{(1-t)^2}{2(t+1)} $$
$$ S(t) = \frac{1-t}{2} \left( 1 - \frac{1-t}{t+1} \right) $$
$$ S(t) = \frac{1-t}{2} \cdot \frac{2t}{t+1} = \frac{-t^2 + t}{t+1} $$
となる。
これを $t$ で微分すると
$$ S'(t) = \frac{(-2t+1)(t+1) - (-t^2+t) \cdot 1}{(t+1)^2} $$
$$ S'(t) = \frac{-2t^2 - t + 1 + t^2 - t}{(t+1)^2} = \frac{-t^2 - 2t + 1}{(t+1)^2} $$
となる。
$S'(t) = 0$ とすると $t^2 + 2t - 1 = 0$ であり、$0 < t < 1$ を満たす解は $t = \sqrt{2} - 1$ である。 増減表を書くと、以下のようになる。
| $t$ | $(0)$ | $\cdots$ | $\sqrt{2}-1$ | $\cdots$ | $(1)$ |
|---|---|---|---|---|---|
| $S'(t)$ | $+$ | $0$ | $-$ | ||
| $S(t)$ | $\nearrow$ | 極大 | $\searrow$ |
よって、$S(t)$ は $t = \sqrt{2}-1$ で最大となる。
このときの最大値を計算する。 $t^2 + 2t - 1 = 0$ より $t^2 = 1 - 2t$ であるから、次数を下げて計算すると
$$ S(\sqrt{2}-1) = \frac{-(1-2t) + t}{t+1} = \frac{3t-1}{t+1} $$
これに $t = \sqrt{2}-1$ を代入すると
$$ S(\sqrt{2}-1) = \frac{3(\sqrt{2}-1)-1}{\sqrt{2}-1+1} = \frac{3\sqrt{2}-4}{\sqrt{2}} = 3 - 2\sqrt{2} $$
となる。
解説
本問の最大のポイントは、直線 $CD$ の方程式をいかに簡潔に求めるかである。 解法1のように「折り返し(対称移動)」を用いると、$x$ 軸が角の二等分線であることに帰着し、図形的に一瞬で直線の切片がわかるため計算量が劇的に減る。
また、面積を求めた後の最大値計算においても、商の微分法を避けて相加平均と相乗平均の大小関係を用いる工夫(解法1)ができると、計算ミスを減らし時間短縮につながる。
もちろん、解法2のように傾きを正接($\tan$)で捉え、微分して増減表を書くというオーソドックスな代数的解法も重要であり、図形的性質に気付けなかった場合はこちらで着実に解き切りたい。
答え
$$ 3 - 2\sqrt{2} $$
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