九州大学 1964年 理系 第2問 解説

方針・初手
与えられた2つの不等式のうち、2次不等式である第2式を因数分解して $x$ の範囲を絞る。得られた $x$ の範囲と、第1式から導かれる $x$ の範囲に共通部分が存在するような正の整数 $n$ を求める。 後半の対数不等式は、(1) で求めた $n$ と $x$ の範囲(真数条件に一致する)のもとで、底を揃えて真数を比較する。
解法1
(1)
与えられた不等式は以下の2つである。
$$n + 2 - nx > 0 \quad \cdots \text{①}$$
$$(2n + 1)x - x^2 - n^2 - n > 0 \quad \cdots \text{②}$$
不等式②の左辺を整理して因数分解する。
$$x^2 - (2n + 1)x + n(n + 1) < 0$$
$$(x - n)\{x - (n + 1)\} < 0$$
これより、$x$ の範囲は以下のようになる。
$$n < x < n + 1 \quad \cdots \text{③}$$
次に、不等式①を変形する。
$$nx < n + 2$$
$n$ は正の整数であるから $n > 0$ であり、両辺を $n$ で割ることができる。
$$x < 1 + \frac{2}{n} \quad \cdots \text{④}$$
③と④を満たす実数 $x$ が存在するためには、③の下限 $n$ と④の上限 $1 + \frac{2}{n}$ の間に以下の関係が成り立つ必要がある。
$$n < 1 + \frac{2}{n}$$
$n > 0$ であるから、両辺に $n$ を掛けて整理する。
$$n^2 - n - 2 < 0$$
$$(n - 2)(n + 1) < 0$$
これを解くと、以下のようになる。
$$-1 < n < 2$$
$n$ は正の整数であるから、$n = 1$ である。 このとき、③は $1 < x < 2$、④は $x < 3$ となる。 これらを同時に満たす $x$ の範囲を求めて、以下の結果を得る。
$$1 < x < 2$$
(2)
(1) の結果より $n = 1$ であるから、与えられた対数不等式に代入する。
$$2\log_3(3 - x) < 2 + \log_3(-x^2 + 3x - 2)$$
この不等式における真数は、(1) の不等式①、②の左辺そのものである。 したがって、真数が正である条件(真数条件)は、(1) で求めた $x$ の範囲に一致し、$1 < x < 2$ である。
不等式を整理する。
$$\log_3(3 - x)^2 < \log_3 3^2 + \log_3(-x^2 + 3x - 2)$$
$$\log_3(3 - x)^2 < \log_3 9(-x^2 + 3x - 2)$$
底の $3$ は $1$ より大きいので、真数の大小関係は変わらない。
$$(3 - x)^2 < 9(-x^2 + 3x - 2)$$
展開して整理する。
$$x^2 - 6x + 9 < -9x^2 + 27x - 18$$
$$10x^2 - 33x + 27 < 0$$
$$(2x - 3)(5x - 9) < 0$$
これを解くと、以下の範囲を得る。
$$\frac{3}{2} < x < \frac{9}{5}$$
これは真数条件 $1 < x < 2$ を満たしている。
解説
(1) では、複数の文字を含む不等式において、扱いやすい2次不等式から片方の文字(この場合は $x$)の範囲を絞り込むのが定石である。もう一方の不等式から得られる範囲と共通部分をもつ条件を考えることで、$n$ の範囲を絞ることができる。 (2) では、真数条件の確認を忘れないようにする。本問では真数が (1) の式と同一であることに気づけば、新たに真数条件を計算する手間を省くことができる。対数不等式は底を揃えて真数を比較し、最終的に真数条件との共通範囲をとる。
答え
(1) $n = 1$、とりうる値の範囲は $1 < x < 2$
(2) $\frac{3}{2} < x < \frac{9}{5}$
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