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東京工業大学 1980年 理系 第2問 解説

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東京工業大学 1980年 理系 第2問 解説

方針・初手

二等辺三角形の形状が確定していないため、線分 $BD$ の長さはある範囲を動く。三角形の辺の長さ、または角の大きさを変数として設定し、$BD$ の長さをその1変数関数として表すことから始める。変数のとりうる範囲(定義域)を三角形の成立条件などから正しく押さえ、関数の値域を微分等を用いて求めるのが基本的な方針となる。

解法1

二等辺三角形 $ABC$ において、底辺が $BC$、底角が $\angle B$ および $\angle C$ であるから、$AB=AC$ である。 $AB = AC = b$ とおく。

三角形の成立条件 $AB + AC > BC$ より $b + b > 1$ であるから、$b$ のとりうる範囲は、

$$ b > \frac{1}{2} $$

である。 $\triangle ABC$ において余弦定理を用いると、

$$ \cos C = \frac{AC^2 + BC^2 - AB^2}{2 \cdot AC \cdot BC} = \frac{b^2 + 1^2 - b^2}{2 \cdot b \cdot 1} = \frac{1}{2b} $$

線分 $BD$ は $\angle B$ の二等分線であるから、角の二等分線の性質より、

$$ AD : DC = AB : BC = b : 1 $$

点 $D$ は辺 $AC$ 上の点であるから、

$$ CD = \frac{1}{b+1}AC = \frac{b}{b+1} $$

次に、$\triangle BCD$ において余弦定理を用いると、

$$ BD^2 = BC^2 + CD^2 - 2 \cdot BC \cdot CD \cos C $$

$$ BD^2 = 1^2 + \left( \frac{b}{b+1} \right)^2 - 2 \cdot 1 \cdot \frac{b}{b+1} \cdot \frac{1}{2b} $$

$$ BD^2 = 1 + \frac{b^2}{(b+1)^2} - \frac{1}{b+1} $$

$$ BD^2 = \frac{(b+1)^2 + b^2 - (b+1)}{(b+1)^2} = \frac{b^2 + 2b + 1 + b^2 - b - 1}{(b+1)^2} = \frac{2b^2 + b}{(b+1)^2} $$

ここで、$f(b) = \frac{2b^2 + b}{(b+1)^2}$ とおき、$b > \frac{1}{2}$ における値域を調べる。 $f(b)$ を $b$ で微分すると、

$$ f'(b) = \frac{(4b+1)(b+1)^2 - (2b^2+b) \cdot 2(b+1)}{(b+1)^4} $$

$$ f'(b) = \frac{(4b+1)(b+1) - 2(2b^2+b)}{(b+1)^3} $$

$$ f'(b) = \frac{4b^2 + 5b + 1 - 4b^2 - 2b}{(b+1)^3} = \frac{3b+1}{(b+1)^3} $$

$b > \frac{1}{2}$ において $f'(b) > 0$ であるから、$f(b)$ は単調増加関数である。

$b \to \frac{1}{2}$ のときの極限を調べると、

$$ f(b) \to \frac{2 \cdot \left(\frac{1}{2}\right)^2 + \frac{1}{2}}{\left(\frac{1}{2} + 1\right)^2} = \frac{\frac{1}{2} + \frac{1}{2}}{\frac{9}{4}} = \frac{4}{9} $$

$b \to \infty$ のときの極限を調べると、

$$ f(b) = \frac{2 + \frac{1}{b}}{\left(1 + \frac{1}{b}\right)^2} \to \frac{2+0}{(1+0)^2} = 2 $$

したがって、$f(b)$ のとりうる値の範囲は、

$$ \frac{4}{9} < f(b) < 2 $$

$BD > 0$ より $BD = \sqrt{f(b)}$ であるから、求める範囲は、

$$ \frac{2}{3} < BD < \sqrt{2} $$

解法2

二等辺三角形の底角は必ず鋭角になるため、$0^\circ < \angle B < 90^\circ$ である。 $\angle B = \angle C = 2\theta$ とおくと、$\theta$ のとりうる範囲は、

$$ 0^\circ < \theta < 45^\circ $$

線分 $BD$ は $\angle B$ の二等分線であるから、

$$ \angle CBD = \theta $$

$\triangle BCD$ において、三角形の内角の和は $180^\circ$ であるから、

$$ \angle BDC = 180^\circ - (\angle CBD + \angle C) = 180^\circ - (\theta + 2\theta) = 180^\circ - 3\theta $$

$\triangle BCD$ に正弦定理を用いると、

$$ \frac{BD}{\sin C} = \frac{BC}{\sin \angle BDC} $$

$$ \frac{BD}{\sin 2\theta} = \frac{1}{\sin(180^\circ - 3\theta)} $$

$\sin(180^\circ - 3\theta) = \sin 3\theta$ であるから、

$$ BD = \frac{\sin 2\theta}{\sin 3\theta} $$

2倍角の公式と3倍角の公式を用いて変形すると、

$$ BD = \frac{2\sin\theta\cos\theta}{3\sin\theta - 4\sin^3\theta} $$

$0^\circ < \theta < 45^\circ$ より $\sin\theta \neq 0$ であるから、分母と分子を $\sin\theta$ で割って、

$$ BD = \frac{2\cos\theta}{3 - 4\sin^2\theta} $$

さらに $\sin^2\theta = 1 - \cos^2\theta$ を代入すると、

$$ BD = \frac{2\cos\theta}{3 - 4(1 - \cos^2\theta)} = \frac{2\cos\theta}{4\cos^2\theta - 1} $$

ここで、$t = \cos\theta$ とおく。 $0^\circ < \theta < 45^\circ$ より、$t$ のとりうる範囲は、

$$ \frac{1}{\sqrt{2}} < t < 1 $$

$BD$ を $t$ の関数とみなし、$g(t) = \frac{2t}{4t^2 - 1}$ とおく。 これを $t$ で微分すると、

$$ g'(t) = \frac{2(4t^2 - 1) - 2t \cdot 8t}{(4t^2 - 1)^2} $$

$$ g'(t) = \frac{8t^2 - 2 - 16t^2}{(4t^2 - 1)^2} = \frac{-8t^2 - 2}{(4t^2 - 1)^2} $$

分子が $-8t^2 - 2 < 0$ であるため、$\frac{1}{\sqrt{2}} < t < 1$ において $g'(t) < 0$ となり、$g(t)$ は単調減少関数である。

$t \to 1$ のときの極限を調べると、

$$ g(t) \to \frac{2 \cdot 1}{4 \cdot 1^2 - 1} = \frac{2}{3} $$

$t \to \frac{1}{\sqrt{2}}$ のときの極限を調べると、

$$ g(t) \to \frac{2 \cdot \frac{1}{\sqrt{2}}}{4 \cdot \left(\frac{1}{\sqrt{2}}\right)^2 - 1} = \frac{\sqrt{2}}{4 \cdot \frac{1}{2} - 1} = \sqrt{2} $$

したがって、$g(t)$ のとりうる値の範囲は、

$$ \frac{2}{3} < g(t) < \sqrt{2} $$

以上より、求める線分 $BD$ の長さの範囲は $\frac{2}{3} < BD < \sqrt{2}$ となる。

解説

図形量のとりうる範囲を求める典型問題である。辺の長さを変数とするか、角の大きさを変数とするかで立式の過程が異なる。

解法1のように辺を変数とする場合は、三角形の成立条件から定義域を正しく求めることがポイントになる。余弦定理を2回用いることで無理なく式を立てることができ、計算も比較的穏やかである。

解法2のように角を変数とする場合は、正弦定理を用いて非常にシンプルに立式できるのが利点である。ただし、その後の処理で3倍角の公式や商の微分などが必要になり、三角関数の式変形力と計算力が問われる。

どちらの方針を選択しても、1変数の関数に帰着させて微分により値域を調べるという大枠の論理は同じである。

答え

$$ \frac{2}{3} < BD < \sqrt{2} $$

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