九州大学 1987年 理系 第6問 解説

方針・初手
(1) 点 $P(x_0, y_0)$ を通る接線の方程式を傾き $m$ を用いて表し、双曲線 $C$ の方程式に代入する。接するという条件から得られる $m$ についての2次方程式に対し、解と係数の関係を用いる。 (2) (1) で求めた傾きの積を $k$ とおいて $x_0, y_0$ の関係式を導く。ただし、点 $P$ から2本の接線が引けるための条件(判別式と、接線が漸近線と平行にならないこと)を求め、軌跡の範囲を制限する。
解法1
(1)
点 $P(x_0, y_0)$ を通る傾き $m$ の直線の方程式は、
$$y = m(x - x_0) + y_0$$
と表せる。これを双曲線 $C: y^2 - x^2 = 1$ の方程式に代入すると、
$$\{m(x - x_0) + y_0\}^2 - x^2 = 1$$
$$m^2(x - x_0)^2 + 2my_0(x - x_0) + y_0^2 - x^2 - 1 = 0$$
$$(m^2 - 1)x^2 - 2m(mx_0 - y_0)x + m^2x_0^2 - 2mx_0y_0 + y_0^2 - 1 = 0$$
この $x$ についての方程式が重解をもつとき、直線は双曲線 $C$ に接する。 $m^2 - 1 = 0$ すなわち $m = \pm 1$ のとき、方程式は1次方程式となり、直線は漸近線と平行になって交点を1つしか持たないため接線とはならない。 したがって、$m \neq \pm 1$ であり、2次方程式の判別式を $D$ とすると $D = 0$ が成り立つ。
$$\frac{D}{4} = m^2(mx_0 - y_0)^2 - (m^2 - 1)(m^2x_0^2 - 2mx_0y_0 + y_0^2 - 1) = 0$$
これを展開して整理する。
$$m^4 x_0^2 - 2m^3 x_0 y_0 + m^2 y_0^2 - (m^4 x_0^2 - 2m^3 x_0 y_0 + m^2 y_0^2 - m^2 - m^2 x_0^2 + 2m x_0 y_0 - y_0^2 + 1) = 0$$
$$(x_0^2 + 1)m^2 - 2x_0y_0m + y_0^2 - 1 = 0$$
点 $P$ を通る接線が2本存在するということは、この $m$ についての2次方程式が異なる2つの実数解をもつということである。 (このとき、常に $x_0^2 + 1 \neq 0$ である) その2つの解を $m_1, m_2$ とすると、解と係数の関係から、傾きの和と積はそれぞれ以下のようになる。
和: $m_1 + m_2 = \frac{2x_0y_0}{x_0^2 + 1}$
積: $m_1m_2 = \frac{y_0^2 - 1}{x_0^2 + 1}$
(2)
(1) の結果より、傾きの積が $k$ であるから、
$$\frac{y_0^2 - 1}{x_0^2 + 1} = k$$
$$y_0^2 - kx_0^2 = k + 1$$
軌跡の方程式は $y^2 - kx^2 = k + 1$ となるが、点 $P$ から2本の接線が引ける条件を確認する。 まず、(1) で導いた $m$ の2次方程式が異なる2つの実数解をもつため、判別式を $D'$ とすると $D' > 0$ である。
$$\frac{D'}{4} = (x_0y_0)^2 - (x_0^2 + 1)(y_0^2 - 1) = x_0^2 - y_0^2 + 1 > 0$$
また、接線の傾きは $\pm 1$ にならないため、$m = \pm 1$ が2次方程式の解にならない条件を求める。 $m = 1$ を代入すると、
$$(x_0^2 + 1) - 2x_0y_0 + y_0^2 - 1 = (x_0 - y_0)^2 = 0 \iff y_0 = x_0$$
$m = -1$ を代入すると、
$$(x_0^2 + 1) + 2x_0y_0 + y_0^2 - 1 = (x_0 + y_0)^2 = 0 \iff y_0 = -x_0$$
したがって、$y_0 \neq \pm x_0$ が必要である。 これらを踏まえ、軌跡の式 $y^2 = kx^2 + k + 1$ を条件に適用して満たすべき $x$ の範囲を調べる。
(i) 条件 $x^2 - y^2 + 1 > 0$ について
$$x^2 - (kx^2 + k + 1) + 1 > 0$$
$$(1 - k)x^2 > k$$
$0 < |k| < 1$ より $1 - k > 0$ であるから、
$$x^2 > \frac{k}{1 - k}$$
$0 < k < 1$ のとき、この条件から $x < -\sqrt{\frac{k}{1 - k}}, \ \sqrt{\frac{k}{1 - k}} < x$ となる。 $-1 < k < 0$ のとき、$\frac{k}{1 - k} < 0$ であり、$x^2 \geqq 0$ であるから、この不等式はすべての実数 $x$ で成り立つ。
(ii) 条件 $y \neq \pm x$ (すなわち $y^2 \neq x^2$)について
$$kx^2 + k + 1 \neq x^2$$
$$(1 - k)x^2 \neq k + 1$$
$$x^2 \neq \frac{k + 1}{1 - k}$$
以上より、求める軌跡は2次曲線 $y^2 - kx^2 = k + 1$ のうち、特定の範囲および除外点をもつ図形となる。
解説
接線の傾きを $m$ とおいて判別式を利用する標準的な手法の問題である。 (2) では、単に $m$ の2次方程式の係数から関係式を導くだけでなく、「接線が2本存在する条件」を吟味する必要がある。具体的には、「異なる2つの実数解をもつ(判別式が正)」ことと、「漸近線と平行な直線は接線とはみなされない($m \neq \pm 1$)」ことの2点の確認が不可欠である。これらの条件を忘れると、軌跡の範囲制限や除外点を見落としてしまうため、注意が必要である。
答え
(1) 和: $\frac{2x_0y_0}{x_0^2 + 1}$ 積: $\frac{y_0^2 - 1}{x_0^2 + 1}$
(2) $0 < k < 1$ のとき、 双曲線 $y^2 - kx^2 = k + 1$ のうち、$x < -\sqrt{\frac{k}{1 - k}}, \ \sqrt{\frac{k}{1 - k}} < x$ の部分。 ただし、4点 $\left( \pm\sqrt{\frac{k + 1}{1 - k}}, \pm\sqrt{\frac{k + 1}{1 - k}} \right)$ (複号任意)を除く。
$-1 < k < 0$ のとき、 楕円 $y^2 - kx^2 = k + 1$ 全体。 ただし、4点 $\left( \pm\sqrt{\frac{k + 1}{1 - k}}, \pm\sqrt{\frac{k + 1}{1 - k}} \right)$ (複号任意)を除く。
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