東北大学 1972年 理系 第2問 解説

方針・初手
点 $P_1, P_2$ の座標から直線 $P_1 P_2$ の傾きを求め、それと接線の傾きが等しくなるという条件から $C_2$ 上の点 $Q$ の座標を決定する。 次に $\triangle P_1 P_2 Q$ の重心 $G$ の座標を計算し、$x_1 + x_2$ と $x_1 x_2$ の対称式が現れることに着目する。これらを新たな変数で置き換え、元の変数 $x_1, x_2$ が「異なる2つの正の実数」として存在する条件(判別式や相加・相乗平均の関係)に落とし込んで、重心の座標が満たすべき不等式を導出する。
解法1
(1)
$C_1$ 上の異なる2点 $P_1, P_2$ の座標は $P_1(x_1, \frac{1}{x_1}), P_2(x_2, \frac{1}{x_2})$ と表せる。ここで $x_1 > 0, x_2 > 0$ かつ $x_1 \neq x_2$ である。 直線 $P_1 P_2$ の傾きは
$$ \frac{\frac{1}{x_2} - \frac{1}{x_1}}{x_2 - x_1} = \frac{\frac{x_1 - x_2}{x_1 x_2}}{x_2 - x_1} = -\frac{1}{x_1 x_2} $$
となる。 一方、双曲線 $C_2$ 上の点 $(x, y)$ (ただし $x < 0$)における接線の傾きを考える。$y = \frac{1}{x}$ を微分すると $y' = -\frac{1}{x^2}$ であるから、点 $Q$ の $x$ 座標を $q$ ($q < 0$) とおくと、点 $Q$ における接線の傾きは $-\frac{1}{q^2}$ である。 これらが等しいことから、
$$ -\frac{1}{q^2} = -\frac{1}{x_1 x_2} $$
$$ q^2 = x_1 x_2 $$
$x_1 > 0, x_2 > 0$ であり、$q < 0$ であるから、
$$ q = -\sqrt{x_1 x_2} $$
点 $Q$ の $y$ 座標は $\frac{1}{q} = -\frac{1}{\sqrt{x_1 x_2}}$ となる。したがって、点 $Q$ の座標は
$$ \left( -\sqrt{x_1 x_2}, -\frac{1}{\sqrt{x_1 x_2}} \right) $$
となる。
(2)
$\triangle P_1 P_2 Q$ の重心を $G(X, Y)$ とおく。重心の座標は各頂点の座標の平均であるから、
$$ \begin{aligned} X &= \frac{x_1 + x_2 - \sqrt{x_1 x_2}}{3} \\ Y &= \frac{\frac{1}{x_1} + \frac{1}{x_2} - \frac{1}{\sqrt{x_1 x_2}}}{3} = \frac{\frac{x_1 + x_2}{x_1 x_2} - \frac{1}{\sqrt{x_1 x_2}}}{3} \end{aligned} $$
ここで、$s = x_1 + x_2, t = \sqrt{x_1 x_2}$ とおく。 $x_1, x_2$ は異なる正の実数であるため、相加平均と相乗平均の関係より
$$ x_1 + x_2 > 2\sqrt{x_1 x_2} $$
が成り立ち、等号は $x_1 = x_2$ のときであるが、異なる2点であるため等号は成立しない。したがって $s > 2t$ である。また $x_1, x_2 > 0$ より $t > 0$ である。 逆に、$s > 2t > 0$ を満たす $(s, t)$ が与えられたとき、$x_1, x_2$ は2次方程式 $\lambda^2 - s\lambda + t^2 = 0$ の解として定まり、判別式 $D = s^2 - 4t^2 > 0$ より正の異なる2つの実数解をもつため、条件を満たす $x_1, x_2$ が確実に存在する。
$X, Y$ を $s, t$ を用いて表すと、
$$ X = \frac{s - t}{3} $$
$$ Y = \frac{\frac{s}{t^2} - \frac{1}{t}}{3} = \frac{s - t}{3t^2} $$
この $Y$ の式に $X$ の式を代入すると、
$$ Y = \frac{X}{t^2} $$
ここで、$s > 2t > 0$ より $s - t > t > 0$ であるから、
$$ X = \frac{s - t}{3} > \frac{t}{3} > 0 $$
よって $X > 0$ であり、$t^2 > 0$ と合わせて $Y > 0$ も成り立つ。関係式から $t$ を解くと、
$$ t = \sqrt{\frac{X}{Y}} $$
さらに $X = \frac{s - t}{3}$ より
$$ s = 3X + t = 3X + \sqrt{\frac{X}{Y}} $$
となる。これらを $s > 2t$ の条件式に代入すると、
$$ 3X + \sqrt{\frac{X}{Y}} > 2\sqrt{\frac{X}{Y}} $$
$$ 3X > \sqrt{\frac{X}{Y}} $$
$X > 0, Y > 0$ であるから両辺は正であり、両辺を2乗しても同値性は崩れない。
$$ 9X^2 > \frac{X}{Y} $$
両辺を正の数 $X$ で割って整理すると、
$$ 9X > \frac{1}{Y} \iff XY > \frac{1}{9} $$
逆に、$X > 0, Y > 0$ かつ $XY > \frac{1}{9}$ を満たす $(X, Y)$ に対して、$t = \sqrt{\frac{X}{Y}} > 0, s = 3X + \sqrt{\frac{X}{Y}}$ と定めれば、$3X > \sqrt{\frac{X}{Y}}$ から $s > 2t$ が導かれる。したがって、このような $(s, t)$ は実在し、対応する $\triangle P_1 P_2 Q$ も存在する。
以上より、求める重心の動く範囲は、$xy$ 平面上の領域として表すと、$x > 0$ かつ $xy > \frac{1}{9}$ である。
解説
双曲線の接線や割線に関する計算から、対称式の処理と軌跡の範囲へとつなぐ総合的な問題である。 (1)の接線・割線の傾きについては、微分計算がスムーズに行えるかが鍵となる。 (2)では、現れた変数の塊 $x_1+x_2$ と $x_1x_2$ をそれぞれ一つの変数とみなして計算を進める「基本対称式への置換」が有効である。このとき、置き換えた変数が独立に動けるわけではなく、元の変数 $x_1, x_2$ が実数として存在するための条件(実数存在条件)を必ず反映させなければならない。今回は正の異なる2実数という条件から、相加相乗平均の不等式(または2次方程式の判別式)によって $s > 2t$ の制約が生まれる。この「隠れた変域」を正しく導出できるかが本問の最大のポイントである。
答え
(1)
$$ \left( -\sqrt{x_1 x_2}, -\frac{1}{\sqrt{x_1 x_2}} \right) $$
(2)
不等式 $x > 0$ かつ $xy > \frac{1}{9}$ が表す領域
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