九州大学 1998年 理系 第8問 解説

方針・初手
与えられた3次方程式 $x^3 - (2k+1)x^2 + (4k^2+2k)x - 4k^2 = 0$ は、$x=1$ を代入すると成り立つことから、$x-1$ を因数にもつことがわかります。まずは方程式を因数分解して、3つの解 $z_1, z_2, z_3$ を $k$ を用いて表すことから始めます。その後、各小問で要求されている幾何学的な条件(一直線上、直角三角形、正六角形)を、複素数の実部・虚部や偏角の条件に翻訳して立式します。
解法1
$f(x) = x^3 - (2k+1)x^2 + (4k^2+2k)x - 4k^2$ とおく。 $x=1$ を代入すると、 $f(1) = 1 - (2k+1) + (4k^2+2k) - 4k^2 = 0$ となるため、$f(x)$ は $x-1$ を因数にもつ。 因数定理を用いて因数分解すると、
$$f(x) = (x-1)(x^2 - 2kx + 4k^2)$$
となる。$f(x)=0$ の解は、$x=1$ および $x^2 - 2kx + 4k^2 = 0$ の解である。
2次方程式 $x^2 - 2kx + 4k^2 = 0$ の判別式を $D$ とすると、
$$\frac{D}{4} = k^2 - 4k^2 = -3k^2 \leqq 0$$
であるため、解は $x = k \pm \sqrt{3}|k|i$ となる。 $k$ の正負にかかわらず、これは $x = k \pm \sqrt{3}ki$ と表してよい。 これらを $z_1, z_2, z_3$ とする。対称性から以下のように定めても一般性を失わない。
$$z_1 = 1, \quad z_2 = k + \sqrt{3}ki, \quad z_3 = k - \sqrt{3}ki$$
(1)
$z_1, z_2, z_3$ が一直線上にある条件を求める。 $z_2, z_3$ の実部はともに $k$ であるため、これらは複素数平面上の直線 $x=k$ 上にある。 $z_1=1$ がこの直線上にあるとき、3点は一直線上に並ぶ。 したがって、求める条件は $k=1$ である。 (このとき $z_1=1, z_2=1+\sqrt{3}i, z_3=1-\sqrt{3}i$ となり、互いに異なる3点が直線 $x=1$ 上に並ぶ。)
なお、$k=0$ のときは $z_1=1, z_2=0, z_3=0$ となり解が重複する。このとき複素数平面上には2点しか存在しないため、「3点が一直線上にある」という表現が異なる3点を前提としていると考え、本解答では $k=0$ を除外している。(重複を含めて3点と見なして $k=0$ を含める解釈もあり得る)
(2)
$z_1, z_2, z_3$ が直角三角形をなす条件を求める。 三角形をなす必要があるため、(1)より $k \neq 0, 1$ である。 $z_2, z_3$ は実軸に関して対称であり、$z_1$ は実軸上の点であるため、$\triangle z_1 z_2 z_3$ は実軸を対称軸とし $z_1$ を頂角とする二等辺三角形である。 したがって、直角となり得る内角は対称性から $\angle z_2 z_1 z_3$ のみである。 ($\angle z_1 z_2 z_3 = \frac{\pi}{2}$ とすると、対称性から $\angle z_1 z_3 z_2 = \frac{\pi}{2}$ となり、内角の和が $\pi$ を超えるため不適)
$\angle z_2 z_1 z_3 = \frac{\pi}{2}$、すなわち $\triangle z_1 z_2 z_3$ が $z_1$ を頂角とする直角二等辺三角形になる条件を考える。 線分 $z_2 z_3$ の中点は実軸上の点 $k$ であり、線分 $z_2 z_3$ の長さは $2\sqrt{3}|k|$ である。 直角二等辺三角形になるためには、$z_1$ から線分 $z_2 z_3$ の中点までの距離が、線分 $z_2 z_3$ の長さの半分に等しければよい。
$$|1 - k| = \sqrt{3}|k|$$
両辺を2乗して整理する。
$$(1-k)^2 = 3k^2$$
$$2k^2 + 2k - 1 = 0$$
これを解いて、
$$k = \frac{-1 \pm \sqrt{3}}{2}$$
これは $k \neq 0, 1$ を満たす。
(3)
$w_1, w_2, w_3$ およびその共役な点 $\overline{w_1}, \overline{w_2}, \overline{w_3}$ の計6点が、原点を中心とする正六角形の頂点となる条件を求める。 正六角形の頂点は原点からの距離がすべて等しいため、
$$|w_1| = |w_2| = |w_3|$$
が必要である。$w_j = z_j e^{i\theta}$ であるから $|w_j| = |z_j|$ であり、
$$|z_1| = 1, \quad |z_2| = \sqrt{k^2 + 3k^2} = 2|k|, \quad |z_3| = 2|k|$$
となる。これらが等しいことから、
$$2|k| = 1 \implies k = \pm \frac{1}{2}$$
(i) $k = \frac{1}{2}$ のとき
$z_1 = 1$, $z_2 = \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i = e^{i\frac{\pi}{3}}$, $z_3 = \frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i = e^{-i\frac{\pi}{3}}$ である。 これらを $\theta$ 回転した点集合 $W = \{w_1, w_2, w_3\}$ の偏角は $\theta, \theta+\frac{\pi}{3}, \theta-\frac{\pi}{3}$ であり、正六角形の連続する3頂点となっている。 共役な点集合 $\overline{W} = \{\overline{w_1}, \overline{w_2}, \overline{w_3}\}$ の偏角は $-\theta, -\theta-\frac{\pi}{3}, -\theta+\frac{\pi}{3}$ である。
$W$ と $\overline{W}$ を合わせて要素数6の正六角形の頂点となるためには、$\overline{W}$ の点が $W$ の各点と原点に関して対称(偏角が $\pi$ ずれている)であればよい。 中央の偏角に注目して、
$$-\theta \equiv \theta + \pi \pmod{2\pi}$$
$$2\theta \equiv -\pi \equiv \pi \pmod{2\pi}$$
$0 \leqq \theta \leqq \pi$ より、
$$\theta = \frac{\pi}{2}$$
このとき、6点の偏角は $\frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{2}, \frac{5\pi}{6}, \frac{7\pi}{6}, \frac{3\pi}{2}, \frac{11\pi}{6}$ となり、重複なく正六角形をなす。
(ii) $k = -\frac{1}{2}$ のとき
$z_1 = 1$, $z_2 = -\frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i = e^{-i\frac{2\pi}{3}}$, $z_3 = -\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i = e^{i\frac{2\pi}{3}}$ である。 点集合 $W$ の偏角は $\theta, \theta-\frac{2\pi}{3}, \theta+\frac{2\pi}{3}$ であり、これらは正三角形の頂点となっている。 共役な点集合 $\overline{W}$ の偏角は $-\theta, -\theta+\frac{2\pi}{3}, -\theta-\frac{2\pi}{3}$ であり、これも正三角形の頂点である。
2つの正三角形が合わさって正六角形となるためには、両者の偏角が互いに $\frac{\pi}{3}$ (または $\pi$, $\frac{5\pi}{3}$)だけずれていればよい。
$$-\theta - \theta \equiv \frac{\pi}{3} \pmod{\frac{2\pi}{3}}$$
$$-2\theta \equiv \frac{\pi}{3} \pmod{\frac{2\pi}{3}}$$
$$2\theta = -\frac{\pi}{3} + m \cdot \frac{2\pi}{3} = \frac{(2m-1)\pi}{3} \quad (m \text{ は整数})$$
$0 \leqq 2\theta \leqq 2\pi$ の範囲で考えると、$m=1, 2, 3$ のとき該当し、
$$2\theta = \frac{\pi}{3}, \pi, \frac{5\pi}{3}$$
$$\theta = \frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{2}, \frac{5\pi}{6}$$
これらのとき、正三角形同士が重なることなく正六角形を構成する。
解説
複素数平面上の点の配置や図形的な性質を問う、標準的な問題です。 3次方程式を因数分解して解を具体的に求める初手が鍵となります。 (1)(2)は、2つの虚数解が実軸対称であることを利用して、幾何的に処理すると計算が少なく済みます。 (3)では、まず「正六角形の頂点は原点から等距離にある」という条件で $k$ を絞り込み、その後は偏角(極形式)を用いて回転と共役の条件を処理するのが最も見通しの良い方法です。正六角形をなすための偏角の条件を $W$ と $\overline{W}$ の関係に帰着させる部分で、図形的なイメージを持ちながら式を立てられるかがポイントになります。
答え
(1) $k = 1$ (2) $k = \frac{-1 \pm \sqrt{3}}{2}$ (3) $k = \frac{1}{2}$ のとき $\theta = \frac{\pi}{2}$、 $k = -\frac{1}{2}$ のとき $\theta = \frac{\pi}{6}, \frac{\pi}{2}, \frac{5\pi}{6}$
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