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九州大学 1998年 理系 第10問 解説

数学2/図形と式数学C/式と曲線テーマ/軌跡・領域テーマ/最大・最小
九州大学 1998年 理系 第10問 解説

方針・初手

(1) は、2円が共有点をもつための条件(内接、2点で交わる、外接)を中心間距離と半径の関係から立式します。

(2) は、放物線の定義「焦点からの距離と準線からの距離が等しい点の軌跡」を用います。 (i) は定点 $A$ が放物線上にあるという条件から、焦点と $A$ の距離が一定であることを導きます。ただし、焦点が準線上にある場合は放物線とならないことに注意します。 (ii) は点 $P$ が放物線上にある条件を、(i)で求めた焦点の軌跡(円)と、点 $P$ を中心とする円とが共有点をもつ条件に帰着させます。(1)の結果を利用して処理します。


解法1

(1) 2円の半径を $R, r \ (R > r)$、中心間距離を $l$ とおく。 2円が共有点をもつのは、2円が内接する、2点で交わる、外接する、のいずれかの場合である。 内接するときの中心間距離は $l = R - r$ 外接するときの中心間距離は $l = R + r$ したがって、2円が共有点をもつための必要十分条件は

$$R - r \le l \le R + r$$

(2) (i) 放物線の焦点を $F(s, t)$ とおく。 放物線の定義より、放物線上の任意の点から焦点 $F$ までの距離は、その点から準線($x$ 軸、すなわち $y=0$)までの距離に等しい。 定点 $A(0, a)$ はこの放物線上にあるため、$A$ から $F$ までの距離は、$A$ から $x$ 軸までの距離に等しい。 $a > 0$ より、$A$ から $x$ 軸までの距離は $a$ である。よって

$$AF = a$$

$$\sqrt{s^2 + (t - a)^2} = a$$

両辺を2乗して

$$s^2 + (t - a)^2 = a^2$$

また、焦点 $F$ が準線上にあるとき、放物線は定義されない(軌跡が直線になる)ため、$t \neq 0$ である。 点 $(s, t)$ が円 $s^2 + (t - a)^2 = a^2$ 上を動くとき、$t = 0$ となるのは $s = 0$ のとき、すなわち原点 $(0, 0)$ のみである。 したがって、焦点 $F(s, t)$ の全体が描く図形は 円 $x^2 + (y - a)^2 = a^2$。ただし、原点 $(0, 0)$ を除く。

(ii) $x$ 軸上にない点 $P(p, q) \ (q \neq 0)$ が放物線上にあるための必要十分条件は、

$$PF = (\text{点 } P \text{ から } x \text{ 軸までの距離})$$

を満たすような焦点 $F(s, t)$ が存在することである。すなわち

$$\sqrt{(s - p)^2 + (t - q)^2} = |q|$$

$$(s - p)^2 + (t - q)^2 = q^2$$

を満たす点 $(s, t)$ が、(i)で求めた図形上に存在することである。 これは、円 $C_1: x^2 + (y - a)^2 = a^2$(原点を除く)と、円 $C_2: (x - p)^2 + (y - q)^2 = q^2$ が共有点をもつことと同値である。

(1)の結果を用いると、円 $C_1$ と $C_2$ が共有点をもつ条件は、中心間距離を $l = \sqrt{p^2 + (q - a)^2}$、半径を $a, |q|$ として

$$|a - |q|| \le \sqrt{p^2 + (q - a)^2} \le a + |q|$$

両辺を2乗して

$$a^2 - 2a|q| + q^2 \le p^2 + (q - a)^2 \le a^2 + 2a|q| + q^2$$

$$-2a|q| \le p^2 - 2aq \le 2a|q|$$

$$2aq - 2a|q| \le p^2 \le 2aq + 2a|q| \quad \cdots (*)$$

ここで、$q$ の符号で場合分けを行う。

(ア) $q > 0$ のとき $|q| = q$ であるから、(*) は

$$0 \le p^2 \le 4aq$$

となる。これを満たすとき $C_1$ と $C_2$ は共有点をもつが、その共有点が除外点である原点 $(0,0)$ のみとなる場合を調べる。 $C_1$ は原点を通る円である。$C_2$ が原点を通る条件は $p^2 + q^2 = q^2$ より $p = 0$ である。 ・$p \neq 0$ のときは、$C_2$ は原点を通らないため、共有点をもてばそれは原点以外の点である。したがって $0 < p^2 \le 4aq$ であれば適する。 ・$p = 0$ のときは、$C_1$ と $C_2$ はともに $y$ 軸上に中心をもつため、原点において共通の接線($x$ 軸)をもつ。よって、原点以外に共有点をもつのは $C_1$ と $C_2$ が一致するときのみであり、その条件は $a = q$ である。 以上から、$q > 0$ における条件は「$p \neq 0$ かつ $0 < p^2 \le 4aq$」または「$p = 0$ かつ $q = a$」である。

(イ) $q < 0$ のとき $|q| = -q$ であるから、(*) は

$$4aq \le p^2 \le 0$$

となる。$p$ は実数なのでこれを満たすのは $p = 0$ のみであり、このとき $4aq \le 0$ も満たす。 しかし $p = 0$ のとき、$C_1$ と $C_2$ はともに原点で $x$ 軸に接する円となり、共有点をもつが、中心の $y$ 座標の符号が異なる($a > 0, q < 0$)ため両円は一致しない。よって共有点は原点 $(0,0)$ のみとなり、条件を満たす $(s, t)$ は存在しない。

以上より、求める必要十分条件は $p \neq 0$ のとき $0 < p^2 \le 4aq$ $p = 0$ のとき $q = a$


解説

放物線の定義「焦点からの距離と準線からの距離が等しい」を利用して、図形条件に帰着させる良問です。(1)が(2)の(ii)における「2円の共有点の条件」の明確な誘導になっています。

この問題の最大のポイントは、「焦点が準線上にある場合は放物線にならない」という隠れた条件に気づけるかどうかにあります。この条件によって (i) の軌跡から原点が除外され、(ii) の終盤での細かな場合分け(原点のみで接するケースの除外)につながっています。定義の根幹を問う設計になっています。


答え

(1) $R - r \le l \le R + r$

(2)(i) 円 $x^2 + (y - a)^2 = a^2$。ただし、原点 $(0, 0)$ を除く。

(2)(ii) $p \neq 0$ のとき $0 < p^2 \le 4aq$ $p = 0$ のとき $q = a$ (「$p^2 \le 4aq$ かつ $q > 0$。ただし $p = 0$ のときは $q = a$」と同義)

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