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九州大学 2014年 理系 第4問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学B/確率分布・統計的推測
九州大学 2014年 理系 第4問 解説

方針・初手

AさんとBさんそれぞれについて、投げる硬貨の「表が出た合計金額」の確率分布を整理することから始める。 どちらもそれぞれが投げる硬貨の結果は独立であるため、表の出方の組合せの確率を掛け合わせることで、各事象の確率を計算できる。 (1) はすべての金額の組合せから、Aさんの金額がBさんの金額より大きくなる確率と、等しくなる確率を計算する。 (2) は勝敗によってゲーム終了後のAさんの所持金がどのように変動するかを式に表し、それぞれの事象が起こる確率を用いて期待値を計算する。

解法1

Aさんの投げる硬貨は5円硬貨が3枚であり、すべて表が出た場合の合計金額は15円である。 Aさんの表が出た硬貨の合計金額を $X$ 円とすると、各硬貨の表と裏が出る確率はともに $\frac{1}{2}$ であるから、$X$ の確率分布は以下のようになる。

$X=0$ となる確率は、$\left(\frac{1}{2}\right)^3 = \frac{1}{8}$ $X=5$ となる確率は、${}_3\text{C}_1\left(\frac{1}{2}\right)^3 = \frac{3}{8}$ $X=10$ となる確率は、${}_3\text{C}_2\left(\frac{1}{2}\right)^3 = \frac{3}{8}$ $X=15$ となる確率は、${}_3\text{C}_3\left(\frac{1}{2}\right)^3 = \frac{1}{8}$

一方、Bさんの投げる硬貨は5円硬貨が1枚、10円硬貨が1枚であり、すべて表が出た場合の合計金額は15円である。 Bさんの表が出た硬貨の合計金額を $Y$ 円とすると、$Y$ の確率分布は以下のようになる。

$Y=0$ となる確率は、$\frac{1}{2}\times\frac{1}{2} = \frac{1}{4}$ $Y=5$ となる確率は、$\frac{1}{2}\times\frac{1}{2} = \frac{1}{4}$ $Y=10$ となる確率は、$\frac{1}{2}\times\frac{1}{2} = \frac{1}{4}$ $Y=15$ となる確率は、$\frac{1}{2}\times\frac{1}{2} = \frac{1}{4}$

(1)

AさんがBさんに勝つ事象は $X > Y$ となることである。 $X$ の値で場合分けして条件を満たす $Y$ とその確率を計算すると、以下のようになる。

$X=5$ のとき、$Y=0$ のみ。 $X=10$ のとき、$Y=0, 5$。 $X=15$ のとき、$Y=0, 5, 10$。

よって、Aさんが勝つ確率 $p$ は、それぞれの事象が独立であることから、

$$ p = \frac{3}{8} \times \frac{1}{4} + \frac{3}{8} \times \left(\frac{1}{4} + \frac{1}{4}\right) + \frac{1}{8} \times \left(\frac{1}{4} + \frac{1}{4} + \frac{1}{4}\right) $$

$$ = \frac{3}{32} + \frac{6}{32} + \frac{3}{32} = \frac{12}{32} = \frac{3}{8} $$

引き分けとなる事象は $X = Y$ となることである。 $X$ と $Y$ が同じ値をとる確率 $q$ を求めると、

$$ q = \frac{1}{8} \times \frac{1}{4} + \frac{3}{8} \times \frac{1}{4} + \frac{3}{8} \times \frac{1}{4} + \frac{1}{8} \times \frac{1}{4} $$

$$ = \frac{1}{32} + \frac{3}{32} + \frac{3}{32} + \frac{1}{32} = \frac{8}{32} = \frac{1}{4} $$

(2)

ゲーム開始時にAさんとBさんが持っている硬貨の合計金額はいずれも 15円 である。 ゲーム終了後にAさんが持っている硬貨の合計金額を $W$ 円とする。 勝者は相手の「裏が出た硬貨」をすべて受け取る。 裏が出た硬貨の合計金額は、手持ちの硬貨の合計金額から表が出た硬貨の合計金額を引いたものである。したがって、Aさんの裏が出た硬貨の合計金額は $15 - X$ 円、Bさんの裏が出た硬貨の合計金額は $15 - Y$ 円と表せる。 ゲームの結果ごとに、$W$ の値を考える。

(i) Aさんが勝つとき ($X > Y$)

AさんはBさんから $15 - Y$ 円を受け取り、自身の所持金に加える。 したがって、Aさんの所持金は

$$ W = 15 + (15 - Y) = 30 - Y $$

となる。 この場合の期待値の寄与分を $E_1$ とする。 $Y=0$ のとき $W=30$ となる。このとき $X=5, 10, 15$ であり、確率は $\left(\frac{3}{8} + \frac{3}{8} + \frac{1}{8}\right) \times \frac{1}{4} = \frac{7}{32}$ $Y=5$ のとき $W=25$ となる。このとき $X=10, 15$ であり、確率は $\left(\frac{3}{8} + \frac{1}{8}\right) \times \frac{1}{4} = \frac{4}{32}$ $Y=10$ のとき $W=20$ となる。このとき $X=15$ であり、確率は $\frac{1}{8} \times \frac{1}{4} = \frac{1}{32}$

$$ E_1 = 30 \times \frac{7}{32} + 25 \times \frac{4}{32} + 20 \times \frac{1}{32} = \frac{210 + 100 + 20}{32} = \frac{330}{32} $$

(ii) Bさんが勝つとき ($X < Y$)

AさんはBさんに自分の裏が出た硬貨 $15 - X$ 円を渡す。 したがって、Aさんの所持金は

$$ W = 15 - (15 - X) = X $$

となる。 この場合の期待値の寄与分を $E_2$ とする。 $X=0$ のとき $W=0$ となる。このとき $Y=5, 10, 15$ であり、確率は $\frac{1}{8} \times \left(\frac{1}{4} + \frac{1}{4} + \frac{1}{4}\right) = \frac{3}{32}$ $X=5$ のとき $W=5$ となる。このとき $Y=10, 15$ であり、確率は $\frac{3}{8} \times \left(\frac{1}{4} + \frac{1}{4}\right) = \frac{6}{32}$ $X=10$ のとき $W=10$ となる。このとき $Y=15$ であり、確率は $\frac{3}{8} \times \frac{1}{4} = \frac{3}{32}$

$$ E_2 = 0 \times \frac{3}{32} + 5 \times \frac{6}{32} + 10 \times \frac{3}{32} = \frac{0 + 30 + 30}{32} = \frac{60}{32} $$

(iii) 引き分けのとき ($X = Y$)

硬貨のやりとりは行われないため、Aさんの所持金は

$$ W = 15 $$

のままである。 この場合の期待値の寄与分を $E_3$ とする。 引き分けとなる確率 $q$ は (1) より $\frac{1}{4} = \frac{8}{32}$ であるから、

$$ E_3 = 15 \times \frac{8}{32} = \frac{120}{32} $$

以上より、求める期待値 $E$ はこれらの和となるため、

$$ E = E_1 + E_2 + E_3 = \frac{330}{32} + \frac{60}{32} + \frac{120}{32} = \frac{510}{32} = \frac{255}{16} $$

解説

硬貨を投げて得られる金額の確率分布を正確に立式し、事象ごとに整理して計算する問題である。 Bさんが投げる硬貨は5円と10円であり、表の出方と合計金額が一対一で対応するため、確率がいずれも $\frac{1}{4}$ となることに気づくと見通しが良くなる。 (2) は「相手の裏が出た硬貨をもらう」というルールから、ゲーム終了後の所持金が勝敗の状況と表が出た金額($X$ や $Y$)によってどのように書き表せるかを、一般化して立式することがポイントである。これを $30-Y$ や $X$ として整理できると、後の期待値計算の負担が大きく軽減される。

答え

(1) $p = \frac{3}{8}$ $q = \frac{1}{4}$

(2) $E = \frac{255}{16}$

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