九州大学 2014年 理系 第3問 解説

方針・初手
(1) 楕円の方程式に直線の方程式を代入し、$x$ についての2次方程式が実数解をもつ条件(判別式 $D \ge 0$)を考えるか、楕円を平行移動して接線の公式を利用します。
(2) 絶対値を外すために、$x, y$ の符号によって4つの領域に場合分けを行い、それぞれの領域で直線の方程式を求めて図示します。
(3) (2)の図形を拡大・縮小させる図形的考察、または楕円を媒介変数表示して $k = |x| + |y|$ の最大値と最小値を求める方法が有効です。
解法1
(1)
楕円の方程式 $\frac{(x+2)^2}{16} + \frac{(y-1)^2}{4} = 1$ に $y = x + a$ を代入する。
$$ \frac{(x+2)^2}{16} + \frac{(x+a-1)^2}{4} = 1 $$
両辺に $16$ を掛けて整理する。
$$ (x+2)^2 + 4(x+a-1)^2 = 16 $$
$$ x^2 + 4x + 4 + 4\{x^2 + 2(a-1)x + (a-1)^2\} = 16 $$
$$ 5x^2 + (8a-4)x + 4a^2 - 8a - 8 = 0 $$
楕円と直線が交点をもつ条件は、この $x$ についての2次方程式が実数解をもつことである。判別式を $D$ とすると、$D \ge 0$ であればよい。
$$ \frac{D}{4} = (4a-2)^2 - 5(4a^2 - 8a - 8) \ge 0 $$
$$ 16a^2 - 16a + 4 - 20a^2 + 40a + 40 \ge 0 $$
$$ -4a^2 + 24a + 44 \ge 0 $$
$$ a^2 - 6a - 11 \le 0 $$
これを解いて、$a$ の値の範囲を求める。
$$ 3 - 2\sqrt{5} \le a \le 3 + 2\sqrt{5} $$
(2)
$|x| + |y| = 1$ を満たす図形は、$x, y$ の符号によって次のように場合分けされる。
(i) $x \ge 0, y \ge 0$ のとき $x + y = 1 \iff y = -x + 1$
(ii) $x < 0, y \ge 0$ のとき $-x + y = 1 \iff y = x + 1$
(iii) $x < 0, y < 0$ のとき $-x - y = 1 \iff y = -x - 1$
(iv) $x \ge 0, y < 0$ のとき $x - y = 1 \iff y = x - 1$
これらは、点 $(1, 0), (0, 1), (-1, 0), (0, -1)$ を頂点とする正方形の周である。概形は、座標平面上でこれら4点を結んでできる正方形となる。
(3)
楕円上の点 $(x, y)$ は、偏角 $\theta$ を用いて次のように媒介変数表示できる。
$$ \begin{cases} x = 4\cos\theta - 2 \\ y = 2\sin\theta + 1 \end{cases} $$
このとき、$k = |x| + |y| = |4\cos\theta - 2| + |2\sin\theta + 1|$ の最大値と最小値を考える。$x, y$ の符号によって場合分けを行う。
(ア) $x \le 0$ かつ $y \ge 0$ のとき
$k = -x + y = -(4\cos\theta - 2) + (2\sin\theta + 1) = -4\cos\theta + 2\sin\theta + 3$
三角関数の合成(またはコーシー・シュワルツの不等式)より、$-4\cos\theta + 2\sin\theta \le \sqrt{(-4)^2 + 2^2} = 2\sqrt{5}$ であるから、$k \le 2\sqrt{5} + 3$ となる。 等号が成立するのは、$\cos\theta = -\frac{2}{\sqrt{5}}, \sin\theta = \frac{1}{\sqrt{5}}$ のときである。 このとき、 $x = 4\left(-\frac{2}{\sqrt{5}}\right) - 2 = -\frac{8\sqrt{5}}{5} - 2 \le 0$ $y = 2\left(\frac{1}{\sqrt{5}}\right) + 1 = \frac{2\sqrt{5}}{5} + 1 \ge 0$ となり、前提条件 $x \le 0, y \ge 0$ を満たす。よってこの領域での最大値は $2\sqrt{5} + 3$ である。
(イ) $x \ge 0$ かつ $y \ge 0$ のとき
$k = x + y = 4\cos\theta + 2\sin\theta - 1$ 同様に $4\cos\theta + 2\sin\theta \le 2\sqrt{5}$ より、$k \le 2\sqrt{5} - 1$ となり、(ア)の最大値より小さい。
(ウ) $x \le 0$ かつ $y \le 0$ のとき
$k = -x - y = -4\cos\theta - 2\sin\theta + 1 \le 2\sqrt{5} + 1$ これも(ア)の最大値より小さい。
(エ) $x \ge 0$ かつ $y \le 0$ のとき
$k = x - y = 4\cos\theta - 2\sin\theta - 3 \le 2\sqrt{5} - 3$ これも(ア)の最大値より小さい。
以上より、最大値は $2\sqrt{5} + 3$ である。
次に最小値を考える。原点 $(0,0)$ を楕円の方程式の左辺に代入すると、
$$ \frac{2^2}{16} + \frac{(-1)^2}{4} = \frac{1}{4} + \frac{1}{4} = \frac{1}{2} < 1 $$
となり、原点は楕円の内部にある。$|x| + |y| = k$ は原点を中心とする正方形であるから、$k$ が最小となるのは、正方形が膨張して初めて楕円と共有点をもつときである。 まず、座標軸上における楕円上の点(正方形の頂点が接する候補)を調べる。
$x=0$ のとき、$\frac{(y-1)^2}{4} = \frac{3}{4}$ より $y = 1 \pm \sqrt{3}$。 $y=0$ のとき、$\frac{(x+2)^2}{16} = \frac{3}{4}$ より $x = -2 \pm 2\sqrt{3}$。
それぞれの点での $k = |x| + |y|$ の値は以下の通りである。
- 点 $(0, 1+\sqrt{3})$ のとき、$k = 1+\sqrt{3}$
- 点 $(0, 1-\sqrt{3})$ のとき、$k = \sqrt{3}-1$
- 点 $(-2+2\sqrt{3}, 0)$ のとき、$k = 2\sqrt{3}-2$
- 点 $(-2-2\sqrt{3}, 0)$ のとき、$k = 2\sqrt{3}+2$
これらのうち最小のものは $\sqrt{3}-1$ である。 各象限の内部で正方形の辺が楕円に接する場合(極小値)を想定すると、傾き $\pm 1$ の接線と原点との距離を測ることになるが、いずれの接線も原点からの $L_1$ 距離($k$ の値)は $1$ 以上となり、$\sqrt{3}-1 \approx 0.732$ より大きくなる。 したがって、最小値は $\sqrt{3}-1$ である。
解法2
(1) の別解
楕円①を $X = x+2, Y = y-1$ とおいて平行移動すると、標準形 $\frac{X^2}{16} + \frac{Y^2}{4} = 1$ となる。 直線 $y = x + a$ も同様に平行移動すると、$Y+1 = X-2 + a$ すなわち $Y = X + a - 3$ となる。 楕円 $\frac{X^2}{16} + \frac{Y^2}{4} = 1$ に接する傾き $1$ の直線の方程式は、$Y = X \pm \sqrt{16 \cdot 1^2 + 4} = X \pm 2\sqrt{5}$ である。 直線が楕円と交点をもつ条件は、その $Y$ 切片が接線の $Y$ 切片の間にあることである。
$$ -2\sqrt{5} \le a - 3 \le 2\sqrt{5} $$
これを解いて、
$$ 3 - 2\sqrt{5} \le a \le 3 + 2\sqrt{5} $$
(3) の別解
$k = |x| + |y|$ とおく。(2)より、これは原点を中心とし、点 $(k,0), (0,k), (-k,0), (0,-k)$ を頂点とする正方形(ひし形)の周を表す。 この正方形と楕円①が共有点をもつような $k$ の最大値と最小値を求める。
最大値は、正方形が楕円に外側から接するときに生じる。 正方形の辺は傾き $1$ または $-1$ の直線の一部である。 傾き $1$ の直線 $-x + y = k$ (第2象限での辺)が接するとき、(1)の計算より $y = x + k$ が楕円と接するのは $k = 3 \pm 2\sqrt{5}$ である。 $k > 0$ であり、図形的に第2象限の辺と接するときに $k$ は最大となるので、$k = 3 + 2\sqrt{5}$。 接点は $y = x + 3 + 2\sqrt{5}$ を楕円の接点公式に当てはめて計算すると $\left(-\frac{8\sqrt{5}}{5} - 2, \frac{2\sqrt{5}}{5} + 1\right)$ となり、確かに第2象限に存在する。
最小値は、原点が楕円の内部にあることから、正方形が内側から膨らんで初めて楕円と触れるときである。 接線との距離よりも、座標軸上の点で接する(頂点が触れる)場合が最も原点に近くなる。 $y$ 軸との交点 $x=0$ を考えると、$y = 1 \pm \sqrt{3}$ となる。このうち原点に近いのは $(0, 1-\sqrt{3})$ であり、このとき $k = \sqrt{3}-1$。 これが他の座標軸との交点や接線からの距離よりも小さいため、最小値となる。
解説
図形と方程式の融合問題です。(1)は判別式でも解けますが、解法2のように平行移動と接線の公式を用いると計算量が大幅に減ります。(2)の絶対値を含む図形は、4つの象限に分けて絶対値を外す典型的な処理です。 (3)は、媒介変数表示を用いて三角関数の最大・最小問題に帰着させるのが確実なアプローチです。最大値を与える条件がどの象限にあるか(符号の確認)や、最小値が極小値ではなく境界(軸上)でとることを丁寧に確認することが重要です。
答え
(1) $$ 3 - 2\sqrt{5} \le a \le 3 + 2\sqrt{5} $$
(2) 点 $(1, 0), (0, 1), (-1, 0), (0, -1)$ を頂点とする正方形の周。
(3) 最大値: $2\sqrt{5} + 3$ (そのときの座標は $\left(-\frac{8\sqrt{5}}{5} - 2, \frac{2\sqrt{5}}{5} + 1\right)$) 最小値: $\sqrt{3} - 1$ (そのときの座標は $(0, 1-\sqrt{3})$)
自分の記録
誤りを報告
解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。











