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九州大学 2008年 理系 第2問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学B/確率分布・統計的推測テーマ/場合分け
九州大学 2008年 理系 第2問 解説

方針・初手

1回目に引いたカードの番号 $X_1$ と、基準となる値 $k$ との大小関係によって試行が分岐するため、場合分けをして確率を計算する。

1回目に引いたカードの番号を $X_1$、2回目に引いたカードの番号を $X_2$ とする。得点 $S$ は次のように決まる。

このルールに従い、各得点となる事象を互いに排反な事象に分解して確率を求める。

解法1

(1)

得点が $1$ となる場合を考える。 $X_1 = 1$ のとき、常に $1 \le k$ を満たすため2回目を引くことになるが、1度引いた $1$ のカードは戻さないため $X_2 = 1$ となることはなく、この場合は得点が $1$ にならない。 したがって、得点が $1$ となるのは、$X_1 \le k$ かつ $X_1 \neq 1$ であり、2回目に $X_2 = 1$ を引いたときのみである。 $X_1$ のとり得る値は $2, 3, \dots, k$ の $k-1$ 通りであるから、その確率は

$$ (k-1) \times \frac{1}{10} \times \frac{1}{9} = \frac{k-1}{90} $$

得点が $10$ となる場合を考える。これには以下の互いに排反な2つの事象がある。 (i) 1回目に $10$ を引く場合 $X_1 = 10 > k$ を満たすため、1回で試行が終了し得点は $10$ となる。この確率は

$$ \frac{1}{10} $$

(ii) 1回目に $k$ 以下のカードを引き、2回目に $10$ を引く場合 $X_1 \in \{1, 2, \dots, k\}$ であり、それぞれに対して $X_2 = 10$ となればよい。この確率は

$$ k \times \frac{1}{10} \times \frac{1}{9} = \frac{k}{90} $$

(i)、**(ii)**より、得点が $10$ となる確率は

$$ \frac{1}{10} + \frac{k}{90} = \frac{k+9}{90} $$

(2)

$n$ が $2 \le n \le 9$ を満たす整数であるとき、得点が $n$ となる確率を $n$ と $k$ の大小関係で場合分けして求める。

(i) $n \le k$ のとき $X_1 = n$ となると $n \le k$ より2回目を引くことになり、$X_2 \neq n$ であるから得点は $n$ にならない。 したがって、得点が $n$ となるのは、$X_1 \le k$ かつ $X_1 \neq n$ であり、2回目に $X_2 = n$ を引いたときのみである。 $X_1$ のとり得る値は $1, 2, \dots, k$ のうち $n$ を除く $k-1$ 通りであるから、その確率は

$$ (k-1) \times \frac{1}{10} \times \frac{1}{9} = \frac{k-1}{90} $$

(ii) $n > k$ のとき 得点が $n$ となるのは、以下の互いに排反な2つの事象のいずれかである。 ・1回目に $X_1 = n$ を引く場合($n > k$ よりここで終了) ・1回目に $X_1 \le k$ を引き、2回目に $X_2 = n$ を引く場合 これらの確率の和は

$$ \frac{1}{10} + k \times \frac{1}{10} \times \frac{1}{9} = \frac{k+9}{90} $$

(3)

(1)と(2)の結果をまとめると、得点 $S$ が $n$ となる確率 $P(S=n)$ は以下のように表せる。 $1 \le n \le k$ のとき、$P(S=n) = \frac{k-1}{90}$ $k+1 \le n \le 10$ のとき、$P(S=n) = \frac{k+9}{90}$

求める期待値を $E$ とすると、期待値の定義より

$$ E = \sum_{n=1}^{10} n P(S=n) $$

$$ E = \sum_{n=1}^{k} n \cdot \frac{k-1}{90} + \sum_{n=k+1}^{10} n \cdot \frac{k+9}{90} $$

ここで、それぞれの和を計算する。

$$ \sum_{n=1}^{k} n = \frac{1}{2}k(k+1) $$

$$ \sum_{n=k+1}^{10} n = \sum_{n=1}^{10} n - \sum_{n=1}^{k} n = 55 - \frac{1}{2}k(k+1) $$

これらを $E$ の式に代入して整理する。

$$ E = \frac{k-1}{90} \cdot \frac{1}{2}k(k+1) + \frac{k+9}{90} \left\{ 55 - \frac{1}{2}k(k+1) \right\} $$

$$ E = \frac{k(k-1)(k+1)}{180} + \frac{(k+9)(110 - k(k+1))}{180} $$

分子を展開する。

$$ k(k^2-1) + (k+9)(110 - k^2 - k) = k^3 - k + 110k - k^3 - k^2 + 990 - 9k^2 - 9k $$

$$ = -10k^2 + 100k + 990 $$

したがって、期待値 $E$ は

$$ E = \frac{-10k^2 + 100k + 990}{180} $$

$$ E = \frac{-k^2 + 10k + 99}{18} $$

解説

事象が起こる順番と条件を正確に把握して数え上げる確率の基本問題である。(1)を具体例として状況を把握し、(2)での $n$ と $k$ の大小による場合分けにスムーズに繋げたい。(3)の期待値計算では、定数部分をシグマの外に出して計算ミスを防ぐ工夫が有効である。結果の式に $k=2$ などを代入して、検算を行うとより確実である。

答え

(1) 得点が1である確率は $\frac{k-1}{90}$、得点が10である確率は $\frac{k+9}{90}$ (2) $n \le k$ のとき $\frac{k-1}{90}$、$n > k$ のとき $\frac{k+9}{90}$ (3) $\frac{-k^2 + 10k + 99}{18}$

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