名古屋大学 1961年 文系 第5問 解説

方針・初手
(1) は、二次方程式が実数解をもつ条件として判別式 $D \geqq 0$ を示す。$\cos 2p = 2\cos^2 p - 1$ を用いて $\cos p$ と $\sin p$ で式を整理することで、$k \geqq 2$ の条件下で $D$ が常に非負となることを導く。
(2) は、解と係数の関係を利用して軌跡のパラメータ $p$ を消去する。求める点の座標を $(x, y) = (\alpha + \beta, \alpha - \beta)$ とおき、$y^2 = (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha\beta$ を用いて $x, y$ の関係式を導く。$\alpha, \beta$ の順序に指定がないため $y$ は正負両方の値をとること、および $\cos p$ の値域から $x$ の変域を求めることに注意する。
(3) は、(2) で得られた軌跡の方程式に各 $k$ の値を代入し、図形の形状(円、楕円、平行な2直線、双曲線)と $x$ の変域が切り取る部分を特定する。
解法1
(1)
与えられた $x$ の二次方程式 $x^2 + kx\cos p + \cos 2p = 0$ の判別式を $D$ とすると、
$$D = (k\cos p)^2 - 4\cos 2p$$
倍角の公式 $\cos 2p = 2\cos^2 p - 1$ を用いると、
$$D = k^2\cos^2 p - 4(2\cos^2 p - 1) = (k^2 - 8)\cos^2 p + 4$$
さらに式を変形して、
$$D = (k^2 - 4)\cos^2 p - 4\cos^2 p + 4 = (k^2 - 4)\cos^2 p + 4(1 - \cos^2 p)$$
$$D = (k^2 - 4)\cos^2 p + 4\sin^2 p$$
ここで条件 $k \geqq 2$ より $k^2 - 4 \geqq 0$ である。また、任意の実数 $p$ に対して $\cos^2 p \geqq 0$ および $\sin^2 p \geqq 0$ であるから、
$$D \geqq 0$$
が常に成り立つ。よって、$k \geqq 2$ のとき、この方程式は実根をもつ。
(2)
方程式の実根 $\alpha, \beta$ について、解と係数の関係より、
$$\alpha + \beta = -k\cos p$$
$$\alpha\beta = \cos 2p$$
点 $(\alpha + \beta, \alpha - \beta)$ の座標を $(x, y)$ とおくと、
$$x = -k\cos p$$
$$y = \alpha - \beta$$
$y^2$ を計算すると、
$$y^2 = (\alpha - \beta)^2 = (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha\beta = x^2 - 4\cos 2p$$
ここで、$x = -k\cos p$ より $\cos p = -\frac{x}{k}$ であるから、これを $\cos 2p$ の倍角の公式に代入すると、
$$\cos 2p = 2\cos^2 p - 1 = 2\left(-\frac{x}{k}\right)^2 - 1 = \frac{2x^2}{k^2} - 1$$
これを $y^2$ の式に代入して整理する。
$$y^2 = x^2 - 4\left(\frac{2x^2}{k^2} - 1\right) = x^2 - \frac{8x^2}{k^2} + 4 = \frac{k^2 - 8}{k^2}x^2 + 4$$
項を移行してまとめると、求める線の方程式は、
$$\frac{8 - k^2}{k^2}x^2 + y^2 = 4$$
また、$p$ が $0$ から $2\pi$ まで変わるとき、$\cos p$ は $-1 \leqq \cos p \leqq 1$ のすべての実数値をとる。$k > 0$ であるため、$x = -k\cos p$ のとりうる範囲は、
$$-k \leqq x \leqq k$$
$\alpha, \beta$ は2つの実根を指し、その順序は任意であるから $\alpha - \beta$ は正負両方の値(および $0$)をとりうる。よって $y$ は上記の方程式を満たす実数全体を動く。 以上より、線の方程式は、
$$\frac{8 - k^2}{k^2}x^2 + y^2 = 4 \quad (-k \leqq x \leqq k)$$
(3)
(2) の結果に各 $k$ の値を代入し、グラフの概形を求める。
(i) $k = 2$ のとき
方程式は $\frac{8 - 4}{4}x^2 + y^2 = 4$ すなわち $x^2 + y^2 = 4$ となる。 変域は $-2 \leqq x \leqq 2$ であり、これは原点を中心とする半径 $2$ の円の全体である。
(ii) $k = \frac{5}{2}$ のとき
$k^2 = \frac{25}{4}$ であるから、方程式は $\frac{8 - 25/4}{25/4}x^2 + y^2 = 4$ すなわち $\frac{7}{25}x^2 + y^2 = 4$ となる。 変域は $-\frac{5}{2} \leqq x \leqq \frac{5}{2}$ である。 これは楕円 $\frac{x^2}{100/7} + \frac{y^2}{4} = 1$ の一部である。 両端点は $x = \pm\frac{5}{2}$ のとき $y^2 = 4 - \frac{7}{25} \cdot \frac{25}{4} = \frac{9}{4}$ より $y = \pm\frac{3}{2}$ となる。 したがって、点 $\left(\frac{5}{2}, \frac{3}{2}\right), \left(\frac{5}{2}, -\frac{3}{2}\right), \left(-\frac{5}{2}, \frac{3}{2}\right), \left(-\frac{5}{2}, -\frac{3}{2}\right)$ を結ぶ、原点中心の楕円の上下の弧となる。
(iii) $k = 2\sqrt{2}$ のとき
$k^2 = 8$ であるから、方程式は $0 \cdot x^2 + y^2 = 4$ すなわち $y^2 = 4$ より $y = \pm 2$ となる。 変域は $-2\sqrt{2} \leqq x \leqq 2\sqrt{2}$ である。 これは、$x$ 軸に平行な2つの線分である。端点は $(\pm 2\sqrt{2}, 2)$ および $(\pm 2\sqrt{2}, -2)$ となる。
(iv) $k = 3$ のとき
$k^2 = 9$ であるから、方程式は $\frac{8 - 9}{9}x^2 + y^2 = 4$ すなわち $-\frac{1}{9}x^2 + y^2 = 4$ となる。 変域は $-3 \leqq x \leqq 3$ である。 これは双曲線 $\frac{y^2}{4} - \frac{x^2}{36} = 1$ の一部である。 両端点は $x = \pm 3$ のとき $y^2 = 4 + \frac{9}{9} = 5$ より $y = \pm\sqrt{5}$ となる。 したがって、点 $(3, \sqrt{5}), (3, -\sqrt{5}), (-3, \sqrt{5}), (-3, -\sqrt{5})$ を端点とする、双曲線の上下の枝の中央部分となる。
解説
(1) における判別式の処理は、$\cos 2p = 2\cos^2 p - 1$ を用いて $\cos p$ の二次式に帰着させるのが基本である。定数項を $\sin^2 p$ と $\cos^2 p$ に分配することで、$k \geqq 2$ のときに常に正となることが見えやすくなる。
(2) では軌跡の $x$ の変域を忘れないように注意する。$\cos p$ の変域が $-1 \leqq \cos p \leqq 1$ であることから、直ちに $-k \leqq x \leqq k$ が導かれる。また、$\alpha, \beta$ の大小関係が指定されていないため、$y = \alpha - \beta$ は正負両方の値を取りうる。
(3) は二次曲線の分類問題である。$x^2$ の係数 $\frac{8 - k^2}{k^2}$ の符号によって、円($k=2$)、楕円($2 < k < 2\sqrt{2}$)、平行な2直線($k=2\sqrt{2}$)、双曲線($k > 2\sqrt{2}$)と変化する。それぞれのグラフを描く際には、(2) で求めた $x$ の変域が切り取る曲線の範囲を正確に把握し、端点の座標を明記することが重要である。
答え
(1)
解説の通り。
(2)
方程式:$\frac{8 - k^2}{k^2}x^2 + y^2 = 4 \quad (-k \leqq x \leqq k)$
(3)
- $k = 2$ のとき:円 $x^2 + y^2 = 4$ の全体。
- $k = \frac{5}{2}$ のとき:楕円 $\frac{7}{25}x^2 + y^2 = 4$ のうち、$-\frac{5}{2} \leqq x \leqq \frac{5}{2}$ の部分。(端点 $\left(\pm\frac{5}{2}, \pm\frac{3}{2}\right)$ を持つ上下の弧)
- $k = 2\sqrt{2}$ のとき:2線分 $y = 2$ および $y = -2$ のうち、$-2\sqrt{2} \leqq x \leqq 2\sqrt{2}$ の部分。
- $k = 3$ のとき:双曲線 $-\frac{1}{9}x^2 + y^2 = 4$ のうち、$-3 \leqq x \leqq 3$ の部分。(端点 $\left(\pm 3, \pm\sqrt{5}\right)$ を持つ上下の枝)
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