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東北大学 1965年 理系 第3問 解説

数学C/式と曲線数学2/図形と式数学2/三角関数テーマ/軌跡・領域テーマ/接線・法線
東北大学 1965年 理系 第3問 解説

方針・初手

円の接線の方程式から $x$ 軸、$y$ 軸との交点を求め、それを頂点とする楕円の方程式を立式します。 その後、$\alpha$ を含む項と含まない項に整理し、$\alpha$ の値によらず等式が成り立つような $(x, y)$ の条件(定点)を求めます。 最後に、楕円の存在領域(通過領域)は、立式した方程式を満たすような $\alpha$ ($0 < \alpha < \frac{\pi}{2}$)が存在するような $(x, y)$ の条件を求めることに帰着させます。$\cos^2 \alpha = t$ とおき、$t$ の方程式の解の配置問題として処理します。

解法1

円 $x^2 + y^2 = 1$ 上の点 $P(\cos \alpha, \sin \alpha)$ における接線の方程式は

$$ x \cos \alpha + y \sin \alpha = 1 $$

である。$0 < \alpha < \frac{\pi}{2}$ のとき、$\cos \alpha \neq 0$ かつ $\sin \alpha \neq 0$ であるから、この接線と $x$ 軸、$y$ 軸との交点は、それぞれ $y=0$、$x=0$ を代入して

$$ \left( \frac{1}{\cos \alpha}, 0 \right), \quad \left( 0, \frac{1}{\sin \alpha} \right) $$

となる。これらの点を頂点とし、原点を中心とする楕円の方程式は、

$$ \frac{x^2}{\left( \frac{1}{\cos \alpha} \right)^2} + \frac{y^2}{\left( \frac{1}{\sin \alpha} \right)^2} = 1 $$

すなわち

$$ x^2 \cos^2 \alpha + y^2 \sin^2 \alpha = 1 $$

となる。

次に、この楕円が定点を通ることを示す。 $\sin^2 \alpha = 1 - \cos^2 \alpha$ を上の式に代入すると、

$$ x^2 \cos^2 \alpha + y^2 (1 - \cos^2 \alpha) = 1 $$

$$ (x^2 - y^2) \cos^2 \alpha + y^2 - 1 = 0 $$

この式が $0 < \alpha < \frac{\pi}{2}$ の範囲のすべての $\alpha$ について成り立つための条件は、$\cos^2 \alpha$ についての恒等式となることであるから、

$$ \begin{cases} x^2 - y^2 = 0 \\ y^2 - 1 = 0 \end{cases} $$

これを解くと、$y = \pm 1$。このとき $x^2 = 1$ より $x = \pm 1$。 したがって、楕円は $\alpha$ の値にかかわらず、4つの定点 $(1, 1), (1, -1), (-1, 1), (-1, -1)$ を必ず通る。

最後に、このような楕円のどれかの周上にあり得る点の範囲を求める。 これは、$0 < \alpha < \frac{\pi}{2}$ を満たすある $\alpha$ が存在して、

$$ (x^2 - y^2) \cos^2 \alpha + y^2 - 1 = 0 $$

が成り立つような点 $(x, y)$ の条件を求めることと同値である。 ここで $t = \cos^2 \alpha$ とおくと、$0 < \alpha < \frac{\pi}{2}$ より $0 < t < 1$ である。 方程式は、

$$ (x^2 - y^2) t + y^2 - 1 = 0 $$

となり、これが $0 < t < 1$ の範囲に実数解 $t$ を持つ条件を考えればよい。

(i) $x^2 - y^2 = 0$ のとき

方程式は $0 \cdot t + y^2 - 1 = 0$ となる。 これが解を持つのは $y^2 - 1 = 0$ のときであり、このとき $y = \pm 1$、かつ $x^2 = 1$ より $x = \pm 1$ である。 このとき方程式は $0 = 0$ となり、任意の $t$ ($0 < t < 1$) に対して成立するため、定点 $(\pm 1, \pm 1)$ は求める領域に含まれる。

(ii) $x^2 - y^2 \neq 0$ のとき

方程式から $t$ を求めると、

$$ t = \frac{1 - y^2}{x^2 - y^2} $$

これが $0 < t < 1$ を満たせばよいから、

$$ 0 < \frac{1 - y^2}{x^2 - y^2} < 1 $$

(ア) $x^2 - y^2 > 0$ のとき

各辺に $x^2 - y^2$ (正の値) を掛けて、

$$ 0 < 1 - y^2 < x^2 - y^2 $$

左の不等式 $0 < 1 - y^2$ から $y^2 < 1$。 右の不等式 $1 - y^2 < x^2 - y^2$ から $x^2 > 1$。 このとき、$x^2 > 1 > y^2$ となるため、前提である $x^2 - y^2 > 0$ は満たされる。 よって、$x^2 > 1$ かつ $y^2 < 1$。

(イ) $x^2 - y^2 < 0$ のとき

各辺に $x^2 - y^2$ (負の値) を掛けて、不等号の向きが変わり、

$$ 0 > 1 - y^2 > x^2 - y^2 $$

左の不等式 $0 > 1 - y^2$ から $y^2 > 1$。 右の不等式 $1 - y^2 > x^2 - y^2$ から $x^2 < 1$。 このとき、$x^2 < 1 < y^2$ となるため、前提である $x^2 - y^2 < 0$ は満たされる。 よって、$x^2 < 1$ かつ $y^2 > 1$。

以上 (i), (ii) より、求める領域は不等式 「$x^2 > 1$ かつ $y^2 < 1$」または「$x^2 < 1$ かつ $y^2 > 1$」が表す領域、および 4 点 $(1, 1), (1, -1), (-1, 1), (-1, -1)$ である。

解説

楕円の方程式の決定、恒等式の処理、そして通過領域(解の配置問題)と、標準的で重要な要素が詰まった総合問題です。 「ある $\alpha$ に対して成り立つ」という条件を、「$t = \cos^2 \alpha$ とおいた方程式が特定の範囲に解を持つ条件」と言い換える、通過領域の基本テクニックである「逆手流(ファクシミリの原理)」を用いると見通しよく解くことができます。 $t$ は1次式となるため、$t$ について解き、不等式に持ち込む方法が最も簡明です。図示の際は、直線の交点(定点)だけが領域に含まれるという細かな境界の扱いに注意が必要です。

答え

楕円の方程式:

$$ x^2 \cos^2 \alpha + y^2 \sin^2 \alpha = 1 $$

楕円が通る定点:

定点 $(1, 1), (1, -1), (-1, 1), (-1, -1)$ を通る。(証明は解法に記載)

図示する範囲:

不等式 $|x| > 1$ かつ $|y| < 1$ の表す領域、および不等式 $|x| < 1$ かつ $|y| > 1$ の表す領域。 さらに、定点 $(1, 1), (1, -1), (-1, 1), (-1, -1)$ を含む。 境界線 $x = \pm 1, y = \pm 1$ は、上記の4つの交点を除き含まない。 ($x = \pm 1, y = \pm 1$ の4直線で分割された座標平面上の領域のうち、原点の上下・左右にある4つの領域を境界線なしで塗りつぶし、直線の交点4つだけを黒丸で示した図となる。)

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