名古屋大学 1962年 文系 第6問 解説

方針・初手
垂線の足によってできる直角三角形や、円に内接する四角形に注目する。頂点 $A$ を含む $\triangle AEF$ が元の $\triangle ABC$ と相似になること、およびその相似比が $\cos A$ で表されることを導くのが最大のポイントである。他の頂点についても同様の性質が成り立つことを利用して計算を進める。
解法1
(1)
$\triangle ABE$ と $\triangle ACF$ に着目する。 問題の条件より、$\angle AEB = \angle AFC = 90^\circ$ である。 したがって、4点 $B, C, E, F$ は線分 $BC$ を直径とする同一円周上にある。
円に内接する四角形 $BCEF$ の性質から、外角はそれと隣り合う内角の対角に等しいため、 $$\angle AEF = \angle ABC$$ が成り立つ。
$\triangle AEF$ と $\triangle ABC$ において、$\angle A$ は共通、$\angle AEF = \angle ABC$ より、2組の角がそれぞれ等しいから、 $$\triangle AEF \sim \triangle ABC$$ である。
ここで、直角三角形 $ABE$ において、鋭角三角形の定義から $\angle A$ は鋭角であるため、 $$AE = AB \cos A$$ と表せる。 よって、相似な三角形 $\triangle AEF$ と $\triangle ABC$ の相似比は、 $$AE : AB = AB \cos A : AB = \cos A : 1$$ となる。
したがって、対応する辺の長さについて $$EF = BC \cos A$$ が成り立つ。
問題の条件より $EF = \frac{2}{3}BC$ であるから、 $$BC \cos A = \frac{2}{3}BC$$ となる。 $BC > 0$ であるから、両辺を $BC$ で割って、 $$\cos A = \frac{2}{3}$$ を得る。
(2)
(1) と同様の議論により、4点 $C, A, F, D$ は線分 $CA$ を直径とする同一円周上にあり、$\triangle BFD \sim \triangle BCA$ が成り立つ。 その相似比は $\cos B : 1$ であるから、 $$FD = CA \cos B$$ が成り立つ。 条件より $FD = \frac{2}{7}CA$ であるから、 $$\cos B = \frac{2}{7}$$ である。
さらに同様にして、4点 $A, B, D, E$ は線分 $AB$ を直径とする同一円周上にあり、$\triangle CDE \sim \triangle CAB$ が成り立つ。 その相似比は $\cos C : 1$ であるから、 $$DE = AB \cos C$$ が成り立つ。 すなわち、求める値 $\frac{DE}{AB}$ は $\cos C$ の値に等しい。
$\triangle ABC$ の内角の和は $\pi$ であるから、$C = \pi - (A+B)$ である。 よって、加法定理より $$\cos C = \cos \{ \pi - (A+B) \} = -\cos(A+B) = -\cos A \cos B + \sin A \sin B$$ となる。
$\triangle ABC$ は鋭角三角形であるから、$0 < A < \frac{\pi}{2}$、$0 < B < \frac{\pi}{2}$ であり、$\sin A > 0$、$\sin B > 0$ である。 したがって、 $$\sin A = \sqrt{1 - \cos^2 A} = \sqrt{1 - \left(\frac{2}{3}\right)^2} = \sqrt{1 - \frac{4}{9}} = \frac{\sqrt{5}}{3}$$
$$\sin B = \sqrt{1 - \cos^2 B} = \sqrt{1 - \left(\frac{2}{7}\right)^2} = \sqrt{1 - \frac{4}{49}} = \frac{\sqrt{45}}{7} = \frac{3\sqrt{5}}{7}$$ と求められる。
これらを $\cos C$ の式に代入すると、 $$\cos C = -\frac{2}{3} \cdot \frac{2}{7} + \frac{\sqrt{5}}{3} \cdot \frac{3\sqrt{5}}{7} = -\frac{4}{21} + \frac{15}{21} = \frac{11}{21}$$ となる。
以上より、 $$\frac{DE}{AB} = \cos C = \frac{11}{21}$$ である。
解説
垂線の足同士を結んでできる三角形(本問における $\triangle DEF$)を「垂足(すいそく)三角形」と呼ぶ。 本問で示したように、鋭角三角形 $ABC$ において各頂点から対辺に垂線を下ろしてできる頂点側の3つの三角形($\triangle AEF$, $\triangle BFD$, $\triangle CDE$)は、すべて元の $\triangle ABC$ と相似になる。そして、それぞれの相似比が $\cos A$, $\cos B$, $\cos C$ になることは有名な性質である。 この事実を知っていれば、図形的考察を素早く終え、本問を単なる三角関数の加法定理の計算問題へと帰着させることができる。
答え
(1) $$\frac{2}{3}$$
(2) $$\frac{11}{21}$$
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