京都大学 2008年 文系 第2問(甲) 解説

方針・初手
与えられた線分の比から、点 $A, M, B, N$ の位置関係と各線分の長さを把握します。
$\angle BCM = \angle BCN$ を示すには、直線 $CB$ が $\triangle CMN$ の内角 $\angle MCN$ を二等分していることを示せばよく、これは「角の二等分線の定理の逆」である $CM : CN = MB : BN$ を示すことに帰着できます。
長さの比を調べるために、余弦定理を用いて $CM$ と $CN$ の長さを求めるアプローチ(解法1)と、ベクトルを用いて直接なす角の余弦($\cos$)を計算するアプローチ(解法2)の2通りで示します。
解法1
$AB = 2x \ (x > 0)$ とおく。
$M$ は辺 $AB$ の中点であるから、$AM = MB = x$ である。
点 $N$ は辺 $AB$ を延長した直線上にあり、線分 $AB$ 上にはない。$AN : NB = 2 : 1$ より $AN = 2NB$ であり、点 $N$ は $B$ 側の延長上にあることがわかる。
したがって、$AB = AN - NB = 2NB - NB = NB$ となるため、$NB = 2x$ である。また、$AN = AB + NB = 2x + 2x = 4x$ となる。これにより、4点 $A, M, B, N$ はこの順に同一直線上に並んでいる。
次に、$\triangle AMC$ と $\triangle ANC$ において、$\angle A = \theta$ とおき余弦定理を適用する。$AC = AB = 2x$ であることに注意する。
$\triangle AMC$ について:
$$ CM^2 = AM^2 + AC^2 - 2 \cdot AM \cdot AC \cos\theta = x^2 + (2x)^2 - 2 \cdot x \cdot 2x \cos\theta = 5x^2 - 4x^2 \cos\theta $$
$\triangle ANC$ について:
$$ CN^2 = AN^2 + AC^2 - 2 \cdot AN \cdot AC \cos\theta = (4x)^2 + (2x)^2 - 2 \cdot 4x \cdot 2x \cos\theta = 20x^2 - 16x^2 \cos\theta $$
これらより、$CN^2 = 4(5x^2 - 4x^2 \cos\theta) = 4CM^2$ が成り立つ。
$CM > 0, CN > 0$ より、$CN = 2CM$ すなわち $CM : CN = 1 : 2$ である。
一方、線分 $AB$ 上の点について $MB = x, BN = 2x$ であるから、$MB : BN = 1 : 2$ である。
したがって、$CM : CN = MB : BN$ が成り立つ。
$\triangle CMN$ において、辺 $MN$ 上の点 $B$ が $CM : CN = MB : BN$ を満たすことは、直線 $CB$ が $\angle MCN$ の二等分線であることを意味する。
ゆえに、$\angle BCM = \angle BCN$ が成り立つ。
解法2
$\vec{AB} = \vec{b},\ \vec{AC} = \vec{c}$ とおく。$\triangle ABC$ は $AB = AC$ の二等辺三角形であるから、$|\vec{b}| = |\vec{c}|$ である。
点 $M$ は辺 $AB$ の中点であるから、$\vec{AM} = \dfrac{1}{2}\vec{b}$
点 $N$ は $B$ 側の延長線上にあり $AB : BN = 1 : 1$ となる点であるから、$\vec{AN} = 2\vec{b}$
点 $C$ を始点とする各ベクトルは以下のように表せる。
$$ \vec{CM} = \vec{AM} - \vec{AC} = \frac{1}{2}\vec{b} - \vec{c} $$
$$ \vec{CN} = \vec{AN} - \vec{AC} = 2\vec{b} - \vec{c} $$
$$ \vec{CB} = \vec{AB} - \vec{AC} = \vec{b} - \vec{c} $$
$|\vec{b}| = |\vec{c}|$ に注意して、$|\vec{CM}|^2$ と $|\vec{CN}|^2$ を計算する。
$$ |\vec{CM}|^2 = \left| \frac{1}{2}\vec{b} - \vec{c} \right|^2 = \frac{1}{4}|\vec{b}|^2 - \vec{b} \cdot \vec{c} + |\vec{c}|^2 = \frac{5}{4}|\vec{b}|^2 - \vec{b} \cdot \vec{c} $$
$$ |\vec{CN}|^2 = \left| 2\vec{b} - \vec{c} \right|^2 = 4|\vec{b}|^2 - 4\vec{b} \cdot \vec{c} + |\vec{c}|^2 = 5|\vec{b}|^2 - 4\vec{b} \cdot \vec{c} = 4|\vec{CM}|^2 $$
よって、$|\vec{CN}| = 2|\vec{CM}|$ である。
次に、$\vec{CB}$ と $\vec{CM}$、$\vec{CB}$ と $\vec{CN}$ の内積を計算する。
$$ \vec{CB} \cdot \vec{CM} = (\vec{b} - \vec{c}) \cdot \left(\frac{1}{2}\vec{b} - \vec{c}\right) = \frac{1}{2}|\vec{b}|^2 - \frac{3}{2}\vec{b} \cdot \vec{c} + |\vec{c}|^2 = \frac{3}{2}(|\vec{b}|^2 - \vec{b} \cdot \vec{c}) $$
$$ \vec{CB} \cdot \vec{CN} = (\vec{b} - \vec{c}) \cdot (2\vec{b} - \vec{c}) = 2|\vec{b}|^2 - 3\vec{b} \cdot \vec{c} + |\vec{c}|^2 = 3(|\vec{b}|^2 - \vec{b} \cdot \vec{c}) $$
これより、$\vec{CB} \cdot \vec{CN} = 2(\vec{CB} \cdot \vec{CM})$ である。
ベクトル $\vec{CB}$ と $\vec{CM}$ のなす角は $\angle BCM$、$\vec{CB}$ と $\vec{CN}$ のなす角は $\angle BCN$ であるから、
$$ \cos\angle BCN = \frac{\vec{CB} \cdot \vec{CN}}{|\vec{CB}||\vec{CN}|} = \frac{2(\vec{CB} \cdot \vec{CM})}{|\vec{CB}| \cdot 2|\vec{CM}|} = \frac{\vec{CB} \cdot \vec{CM}}{|\vec{CB}||\vec{CM}|} = \cos\angle BCM $$
$0^\circ < \angle BCM < 180^\circ$ かつ $0^\circ < \angle BCN < 180^\circ$ であるから、$\angle BCM = \angle BCN$ が成り立つ。
解説
「角が等しいことの証明」に対し、2つの有効なアプローチを示しました。
解法1は初等幾何における「角の二等分線の定理の逆」を目標に据えたものです。三角形の辺の長さを文字で置き、余弦定理を用いて比を求めます。図形的性質に気づけば非常にシンプルにまとまります。
解法2はベクトルを用いて「なす角の余弦($\cos$)」を直接比較する代数的なアプローチです。「二等辺三角形である」という条件を $|\vec{b}| = |\vec{c}|$ という1つの式に集約でき、あとは機械的な計算で鮮やかに証明が完了します。どちらも試験場で思いつきやすく、再現性の高い解法です。
答え
題意の通り、$\angle BCM = \angle BCN$ となることが示された。
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