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名古屋大学 1963年 文系 第6問 解説

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名古屋大学 1963年 文系 第6問 解説

方針・初手

角度の条件 $\angle A = 2 \angle C$ を、辺の長さ $a, b, c$ の関係式に変換することを目標とします。 解法としては、主に以下の3つが考えられます。

  1. 正弦定理と余弦定理を利用して、角度の条件を辺の長さの条件に代数的に変換する。
  2. 角の二等分線を引くことで相似な三角形を作り出し、幾何的に証明する。
  3. 正弦定理によってすべての辺を外接円の半径 $R$ と角 $C$ を用いて表し、三角関数の公式(2倍角・3倍角・和積など)を利用して式変形する。

解法1

$\triangle ABC$ の内角をそれぞれ $A, B, C$ と表します。 条件より、$A = 2C$ です。

$\triangle ABC$ において正弦定理より、

$$\frac{a}{\sin A} = \frac{c}{\sin C}$$

が成り立ちます。$A = 2C$ と2倍角の公式 $\sin 2C = 2 \sin C \cos C$ を代入すると、

$$\frac{a}{2 \sin C \cos C} = \frac{c}{\sin C}$$

となります。三角形の内角であることから $\sin C > 0$ なので、両辺に $\sin C$ を掛けて整理すると、

$$a = 2c \cos C \iff \cos C = \frac{a}{2c} \quad \cdots (1)$$

を得ます。

次に、2倍角の公式を用いて $\cos A$ を求めます。

$$\cos A = \cos 2C = 2 \cos^2 C - 1$$

これに (1) を代入して、

$$\cos A = 2 \left( \frac{a}{2c} \right)^2 - 1 = \frac{a^2}{2c^2} - 1 \quad \cdots (2)$$

となります。

一方、$\triangle ABC$ における $\angle A$ についての余弦定理より、

$$a^2 = b^2 + c^2 - 2bc \cos A$$

が成り立ちます。これに (2) を代入すると、

$$a^2 = b^2 + c^2 - 2bc \left( \frac{a^2}{2c^2} - 1 \right)$$

$$a^2 = b^2 + c^2 - \frac{a^2 b}{c} + 2bc$$

両辺に $c$ を掛けて整理します。

$$a^2 c = b^2 c + c^3 - a^2 b + 2bc^2$$

$$a^2 c + a^2 b = c^3 + 2bc^2 + b^2 c$$

$$a^2(b+c) = c(c^2 + 2bc + b^2)$$

$$a^2(b+c) = c(b+c)^2$$

ここで、$b, c$ は三角形の辺の長さであるから $b+c > 0$ です。 したがって、両辺を $b+c$ で割ることで、

$$a^2 = c(b+c)$$

が得られます。

解法2

$\triangle ABC$ の内角をそれぞれ $A, B, C$ と表します。 $\angle A$ の二等分線をひき、辺 $BC$ との交点を $D$ とおきます。 $AD$ は $\angle A$ の二等分線であり、$A = 2C$ であるから、

$$\angle BAD = \angle CAD = \frac{1}{2} A = C$$

となります。

$\triangle ADC$ に着目すると、$\angle CAD = \angle C$ より、$\triangle ADC$ は底角が等しい二等辺三角形です。よって、$DA = DC$ となります。 ここで、$DA = DC = x$ とおきます。 辺 $BC$ 上に点 $D$ があるので、$BD = a - x$ となります。

次に、$\triangle ABC$ と $\triangle DBA$ に着目します。 共通な角であるから $\angle B$ は等しく、 条件と作図から $\angle C = \angle BAD = C$ です。 2組の角がそれぞれ等しいので、$\triangle ABC \sim \triangle DBA$ が成り立ちます。

相似な三角形の対応する辺の比は等しいから、まず $AB : DB = BC : BA$ より、

$$c : (a-x) = a : c$$

$$c^2 = a(a-x) = a^2 - ax \quad \cdots (1)$$

が成り立ちます。

また、$AC : DA = BC : BA$ より、

$$b : x = a : c$$

$$a x = bc \quad \cdots (2)$$

が成り立ちます。

(2) を (1) に代入すると、

$$c^2 = a^2 - bc$$

$$a^2 = c^2 + bc$$

$$a^2 = c(b+c)$$

が得られます。

解法3

$\triangle ABC$ の内角をそれぞれ $A, B, C$ と表します。 三角形の内角の和は $180^\circ$ であり、$A = 2C$ であるから、

$$B = 180^\circ - (A+C) = 180^\circ - 3C$$

となります。

$\triangle ABC$ の外接円の半径を $R$ とすると、正弦定理より

$$a = 2R \sin A = 2R \sin 2C$$

$$b = 2R \sin B = 2R \sin(180^\circ - 3C) = 2R \sin 3C$$

$$c = 2R \sin C$$

と表せます。これらを証明すべき等式 $a^2 = c(b+c)$ の両辺に代入して、一致することを示します。

左辺は、

$$a^2 = (2R \sin 2C)^2 = 4R^2 \sin^2 2C$$

ここで、2倍角の公式 $\sin 2C = 2\sin C \cos C$ より、

$$\text{左辺} = 4R^2 (2\sin C \cos C)^2 = 16R^2 \sin^2 C \cos^2 C$$

となります。

一方、右辺は、

$$c(b+c) = 2R \sin C (2R \sin 3C + 2R \sin C) = 4R^2 \sin C (\sin 3C + \sin C)$$

ここで、和積の公式 $\sin x + \sin y = 2\sin\frac{x+y}{2}\cos\frac{x-y}{2}$ より、

$$\sin 3C + \sin C = 2\sin \left( \frac{3C+C}{2} \right) \cos \left( \frac{3C-C}{2} \right) = 2\sin 2C \cos C$$

これを代入すると、

$$\text{右辺} = 4R^2 \sin C (2\sin 2C \cos C)$$

再び2倍角の公式 $\sin 2C = 2\sin C \cos C$ を用いると、

$$\text{右辺} = 4R^2 \sin C \cdot 2(2\sin C \cos C) \cos C = 16R^2 \sin^2 C \cos^2 C$$

となります。

したがって、左辺 $=$ 右辺 が成り立つので、

$$a^2 = c(b+c)$$

が示されました。

解説

図形の性質や三角関数の公式をどのように運用するかを問う、平面図形の標準的な証明問題です。 解法1のように「辺と角の条件を混在させず、正弦・余弦定理を用いてどちらか一方(今回は辺の長さ)に代数的に統一する」というアプローチは、図形問題における強力な定石です。 一方で解法2のように、角度の条件から図形的な特徴(二等分線、二等辺三角形、相似)を見つけ出すことができれば、計算量を大幅に減らすことができます。特に今回のような2倍角の条件が与えられた際は、角の二等分線を引いて相似な三角形を作る補助線が非常に有効です。 解法3はすべての辺を正弦定理で置き換えてしまう方法ですが、和積の公式や倍角の公式といった三角関数の計算力が必要になります。いずれの解法でも最後まで解ききれるよう、様々なアプローチに慣れておくことが重要です。

答え

上記証明の通り、$\angle A = 2 \angle C$ のとき $a^2 = c(b+c)$ が成り立つことが示された。

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