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名古屋大学 1963年 理系 第5問 解説

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名古屋大学 1963年 理系 第5問 解説

方針・初手

角度に関する条件 $\angle A = 2\angle C$ を、辺の長さ $a, b, c$ に関する等式に変換することが目標です。主なアプローチとして以下の3つが考えられます。

  1. 正弦定理と加法定理の利用:三角形の内角の和が $\pi$ であることを使い、すべての辺の長さを正弦定理により $\sin C$ を用いた式で表して代数的に証明する方針。
  2. 初等幾何(相似)の利用:条件 $\angle A = 2\angle C$ に着目し、$\angle A$ の二等分線を引くことで、二等辺三角形と元の三角形に相似な三角形を作り出して辺の比から導く方針。
  3. 正弦定理と余弦定理の利用:$\sin A = \sin 2C$ を2倍角の公式で展開し、そこに正弦定理と余弦定理から得られる辺の関係式を代入する方針。

以下、角の大きさを単に $A, B, C$ と表記します。

解法1

$A = 2C$ であり、三角形の内角の和は $A + B + C = \pi$ であるから、

$$ B = \pi - (A + C) = \pi - 3C $$

三角形の外接円の半径を $R$ とすると、正弦定理より各辺の長さは以下のように表せる。

$$ a = 2R \sin A = 2R \sin 2C $$

$$ b = 2R \sin B = 2R \sin (\pi - 3C) = 2R \sin 3C $$

$$ c = 2R \sin C $$

証明すべき等式 $a^2 = c(b+c)$ の右辺にこれらを代入して変形する。

$$ c(b+c) = 2R \sin C (2R \sin 3C + 2R \sin C) $$

$$ c(b+c) = 4R^2 \sin C (\sin 3C + \sin C) $$

括弧内に和積の公式 $\sin x + \sin y = 2 \sin \frac{x+y}{2} \cos \frac{x-y}{2}$ を適用すると、

$$ \sin 3C + \sin C = 2 \sin \frac{3C+C}{2} \cos \frac{3C-C}{2} = 2 \sin 2C \cos C $$

これを代入して、さらに2倍角の公式 $\sin 2C = 2 \sin C \cos C$ を用いて整理する。

$$ c(b+c) = 4R^2 \sin C (2 \sin 2C \cos C) $$

$$ c(b+c) = 4R^2 \sin 2C (2 \sin C \cos C) $$

$$ c(b+c) = 4R^2 \sin 2C \sin 2C = 4R^2 \sin^2 2C $$

一方、左辺は $a = 2R \sin 2C$ より、

$$ a^2 = (2R \sin 2C)^2 = 4R^2 \sin^2 2C $$

したがって、左辺と右辺が一致するため、$a^2 = c(b+c)$ が成り立つ。

解法2

$\angle A$ の二等分線を引き、辺 $BC$ との交点を $D$ とする。

条件 $A = 2C$ より、

$$ \angle CAD = \angle DAB = C $$

$\triangle ADC$ において、$\angle DAC = \angle DCA = C$ となるため、$\triangle ADC$ は $DA = DC$ の二等辺三角形である。

次に、$\triangle ABC$ と $\triangle DBA$ において、$\angle B$ は共通であり、

$$ \angle C = \angle DAB = C $$

より、2組の角がそれぞれ等しいから、

$$ \triangle ABC \sim \triangle DBA $$

相似な三角形の対応する辺の比は等しいので、

$$ AB : DB = BC : BA = AC : DA $$

すなわち、

$$ c : DB = a : c = b : DA $$

これより、以下の関係式が得られる。

$$ DB = \frac{c^2}{a}, \quad DA = \frac{bc}{a} $$

$DA = DC$ であるから、

$$ DC = \frac{bc}{a} $$

点 $D$ は辺 $BC$ 上にあるため $BC = BD + DC$ であり、

$$ a = \frac{c^2}{a} + \frac{bc}{a} $$

両辺に $a$ を掛けると、

$$ a^2 = c^2 + bc $$

$$ a^2 = c(b+c) $$

が成り立つ。

解法3

三角形の外接円の半径を $R$ とする。正弦定理より、

$$ \frac{a}{\sin A} = \frac{c}{\sin C} = 2R $$

すなわち、

$$ \sin A = \frac{a}{2R}, \quad \sin C = \frac{c}{2R} $$

条件 $A = 2C$ と2倍角の公式より、

$$ \sin A = \sin 2C = 2\sin C \cos C $$

これに正弦定理から得た式を代入すると、

$$ \frac{a}{2R} = 2 \cdot \frac{c}{2R} \cos C $$

$$ a = 2c \cos C $$

余弦定理 $\cos C = \frac{a^2 + b^2 - c^2}{2ab}$ を代入すると、

$$ a = 2c \cdot \frac{a^2 + b^2 - c^2}{2ab} $$

両辺に $ab$ を掛けて整理する。

$$ a^2 b = c (a^2 + b^2 - c^2) $$

$$ a^2 b = c a^2 + c b^2 - c^3 $$

$$ a^2 (b - c) - c (b^2 - c^2) = 0 $$

$$ a^2 (b - c) - c (b - c)(b + c) = 0 $$

$$ (b - c) \{ a^2 - c(b + c) \} = 0 $$

ここから以下の2つの場合が考えられる。

(i) $b - c \neq 0$ すなわち $b \neq c$ のとき

両辺を $b - c$ で割ることができ、

$$ a^2 - c(b + c) = 0 $$

$$ a^2 = c(b + c) $$

(ii) $b - c = 0$ すなわち $b = c$ のとき

$\triangle ABC$ は $AB = AC$ の二等辺三角形であり、$\angle B = \angle C$ である。三角形の内角の和は $\pi$ であり、条件 $A = 2C$ を用いると、

$$ A + B + C = 2C + C + C = 4C = \pi $$

よって、

$$ C = \frac{\pi}{4} $$

このとき、$A = \frac{\pi}{2}, B = \frac{\pi}{4}$ となり、$\triangle ABC$ は直角二等辺三角形である。したがって、辺の長さは $a = \sqrt{2}c, b = c$ と表せる。

これを証明すべき等式に代入すると、

左辺: $a^2 = (\sqrt{2}c)^2 = 2c^2$

右辺: $c(b + c) = c(c + c) = 2c^2$

となり、左辺と右辺が一致するため $a^2 = c(b+c)$ は成立する。

(i)(ii) のいずれの場合でも $a^2 = c(b+c)$ が成り立つ。

解説

三角形の辺と角が混ざった等式の証明では、「すべて辺の式にする」か「すべて角の式にする」のが定石です。

解法1は「正弦定理を用いて辺の比を角の正弦に置き換える」方針です。和積の公式等の知識が必要になりますが、場合分けが発生せず一本道で証明できるため、論理的な漏れが起きにくい優れた解法です。

解法2は幾何的なアプローチです。$\angle A = 2\angle C$ という特徴的な条件から「角の二等分線を引く」という補助線の発想に至れれば、最も計算量が少なく鮮やかに解くことができます。図形的な感覚を養ううえでぜひ押さえておきたい解法です。

解法3は、多くの受験生が最初に思いつきやすい、正弦定理・余弦定理の代入を繰り返す方針です。最終的に因数分解して目的の式を得ますが、途中で $(b-c)$ で括れた際に「$b=c$ の場合(0割り)」を考慮する必要があります。この場合分けを怠ると減点対象になるため、文字式で割る際の十分性には常に注意を払う必要があります。

答え

上記より、$\angle A = 2\angle C$ ならば $a^2 = c(b+c)$ であることが証明された。

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