名古屋大学 1974年 文系 第2問 解説

方針・初手
平面 $\alpha$ を $xy$ 平面とみなし、座標を設定して代数的に処理するのが定石です。 定点である $A', B'$ の中点を原点とし、直線 $A'B'$ を $x$ 軸とする座標系を設定します。 点 $A, B, C$ は $\alpha$ の垂線上を動くため、$z$ 座標を変数としておき、与えられた距離の条件 $AB=BC=CA=1$ を立式して整理します。 $\sin\theta = 0$ となる $\theta = 0$ の場合は、ゼロ割りが生じるため場合分けして処理します。
解法1
平面 $\alpha$ を $xy$ 平面とし、$z$ 軸を $\alpha$ に垂直な方向にとる。 線分 $A'B'$ の中点を原点 $\text{O}$ とし、直線 $A'B'$ を $x$ 軸にとる。 ($\theta = \frac{\pi}{2}$ のときは $A', B'$ が一致するため、その点を原点とし、任意の方向を $x$ 軸とする。) $A'B' = \cos\theta$ であるから、$A', B'$ の座標はそれぞれ次のように表せる。
$$ A'\left(-\frac{\cos\theta}{2}, 0, 0\right), \quad B'\left(\frac{\cos\theta}{2}, 0, 0\right) $$
3点 $A, B, C$ は $\alpha$ への正射影が $A', B', C'$ であるから、各点の $z$ 座標を $a, b, c$ として、
$$ A\left(-\frac{\cos\theta}{2}, 0, a\right), \quad B\left(\frac{\cos\theta}{2}, 0, b\right), \quad C(X, Y, c) $$
とおける。このとき、$C'$ の座標は $(X, Y, 0)$ であり、求める図形はこの $(X, Y)$ の軌跡である。 条件 $AB = 1$ より $AB^2 = 1$ であるから、
$$ \left(\frac{\cos\theta}{2} - \left(-\frac{\cos\theta}{2}\right)\right)^2 + (b-a)^2 = 1 $$
$$ \cos^2\theta + (b-a)^2 = 1 $$
$$ (b-a)^2 = 1 - \cos^2\theta = \sin^2\theta $$
よって、
$$ b-a = \pm\sin\theta \quad \cdots \text{(1)} $$
また、条件 $CA = 1, CB = 1$ より $CA^2 = 1, CB^2 = 1$ であるから、
$$ \left(X + \frac{\cos\theta}{2}\right)^2 + Y^2 + (c-a)^2 = 1 \quad \cdots \text{(2)} $$
$$ \left(X - \frac{\cos\theta}{2}\right)^2 + Y^2 + (c-b)^2 = 1 \quad \cdots \text{(3)} $$
(2) から (3) を辺々引くと、
$$ 2X\cos\theta + (c-a)^2 - (c-b)^2 = 0 $$
$$ 2X\cos\theta + (2c - a - b)(b - a) = 0 \quad \cdots \text{(4)} $$
ここで、(1) より $b-a = \pm\sin\theta$ であるから、
$$ (2c - a - b)(b - a) = \{2(c-a) - (b-a)\}(b-a) = 2(c-a)(b-a) - (b-a)^2 = \pm 2(c-a)\sin\theta - \sin^2\theta $$
となる。これを (4) に代入して、
$$ 2X\cos\theta \pm 2(c-a)\sin\theta - \sin^2\theta = 0 \quad \cdots \text{(4)}' $$
以下、$\theta$ の値によって場合分けを行う。
(i) $0 < \theta \leqq \frac{\pi}{2}$ のとき($\sin\theta \neq 0$)
(4)' を $c-a$ について解くと、
$$ \pm 2(c-a)\sin\theta = \sin^2\theta - 2X\cos\theta $$
$$ \pm (c-a) = \frac{\sin\theta}{2} - X\frac{\cos\theta}{\sin\theta} $$
両辺を2乗すると、複号に関わらず次の式を得る。
$$ (c-a)^2 = \left(\frac{\sin\theta}{2} - X\frac{\cos\theta}{\sin\theta}\right)^2 \quad \cdots \text{(5)} $$
これを (2) に代入して $X, Y$ の関係式を導く。
$$ \left(X + \frac{\cos\theta}{2}\right)^2 + Y^2 + \left(\frac{\sin\theta}{2} - X\frac{\cos\theta}{\sin\theta}\right)^2 = 1 $$
展開して整理すると、
$$ X^2 + X\cos\theta + \frac{\cos^2\theta}{4} + Y^2 + \frac{\sin^2\theta}{4} - X\cos\theta + X^2\frac{\cos^2\theta}{\sin^2\theta} = 1 $$
$$ X^2\left(1 + \frac{\cos^2\theta}{\sin^2\theta}\right) + Y^2 + \frac{\cos^2\theta + \sin^2\theta}{4} = 1 $$
$$ X^2\left(\frac{\sin^2\theta + \cos^2\theta}{\sin^2\theta}\right) + Y^2 + \frac{1}{4} = 1 $$
$$ \frac{X^2}{\sin^2\theta} + Y^2 = \frac{3}{4} $$
$$ \frac{X^2}{\frac{3}{4}\sin^2\theta} + \frac{Y^2}{\frac{3}{4}} = 1 $$
$a$ が任意の実数値をとるとき、$c$ は (5) を満たす実数として常に存在する。 したがって、$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ のとき、点 $C'$ は上記の楕円全体を描く。 $\theta = \frac{\pi}{2}$ のときは $\sin\frac{\pi}{2}=1$ より $X^2 + Y^2 = \frac{3}{4}$ となり、円を描く。
(ii) $\theta = 0$ のとき
$\cos\theta = 1, \sin\theta = 0$ である。 (1) より $(b-a)^2 = 0$ すなわち $b=a$。 (4)' より $2X \cdot 1 = 0$ すなわち $X = 0$。 これらを (2) に代入すると、
$$ \frac{1}{4} + Y^2 + (c-a)^2 = 1 $$
$$ Y^2 + (c-a)^2 = \frac{3}{4} $$
$c, a$ は実数であるから $(c-a)^2 \geqq 0$。したがって、
$$ Y^2 \leqq \frac{3}{4} \iff -\frac{\sqrt{3}}{2} \leqq Y \leqq \frac{\sqrt{3}}{2} $$
$a$ は任意の実数であり、$c$ も任意の実数を取り得るため、$c-a$ は $-\frac{\sqrt{3}}{2}$ から $\frac{\sqrt{3}}{2}$ までの任意の値をとるように設定できる。それに伴って $Y$ は上記の範囲すべてをとりうる。 したがって、点 $C'$ は $y$ 軸上の線分を描く。
解説
空間図形の正射影や動点の問題では、射影先の平面を座標平面($xy$ 平面)とし、点の高さを未知数として設定する方針が非常に有効です。 本問では計算過程で $\sin\theta$ で割る操作が必要になるため、$\theta=0$ の場合分けを忘れないようにすることがポイントです。$\theta=0$ のときは楕円の短軸が潰れて線分になるという、極限の姿と一致していることが直感的にも確認できます。
答え
平面 $\alpha$ 上において、線分 $A'B'$ の中点を中心とし、直線 $A'B'$ を含む軸、およびそれに垂直な軸をもつ以下の図形を描く。
- $0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ のとき: 直線 $A'B'$ 上にある短軸の長さが $\sqrt{3}\sin\theta$、直線 $A'B'$ に垂直な方向にある長軸の長さが $\sqrt{3}$ の楕円。
- $\theta = \frac{\pi}{2}$ のとき: 点 $A'(=B')$ を中心とする、半径 $\frac{\sqrt{3}}{2}$ の円。
- $\theta = 0$ のとき: 線分 $A'B'$ の垂直二等分線上の、中点を中心とする長さ $\sqrt{3}$ の線分。
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