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名古屋大学 2017年 理系 第3問 解説

数学1/立体図形数学C/式と曲線数学2/図形と式テーマ/軌跡・領域テーマ/空間図形
名古屋大学 2017年 理系 第3問 解説

方針・初手

直線 $l$ 上の点の座標を媒介変数 $t$ を用いて表し、それを球面 $S$ の方程式に代入して $t$ についての2次方程式を導くのが定石である。 (2) はこの2次方程式が相異なる2つの実数解をもつ条件(判別式 $D > 0$)を考える。 (3) は球面の一部 $T$ との交点であることから、$z > 0$ が $t$ の範囲の制限に置き換わる。これにより、数学Iの「2次方程式の解の配置(解の存在範囲)」の問題に帰着させる。

解法1

(1) 点 $A(0, 0, 2)$ と点 $P(a, b, 0)$ より、ベクトル $\overrightarrow{AP}$ は

$$ \overrightarrow{AP} = (a - 0, b - 0, 0 - 2) = (a, b, -2) $$

となる。点 $Q$ は $\overrightarrow{AQ} = t\overrightarrow{AP}$ を満たすので、原点を $O$ とすると点 $Q$ の位置ベクトル $\overrightarrow{OQ}$ は

$$ \begin{aligned} \overrightarrow{OQ} &= \overrightarrow{OA} + \overrightarrow{AQ} \\ &= \overrightarrow{OA} + t\overrightarrow{AP} \\ &= (0, 0, 2) + t(a, b, -2) \\ &= (ta, tb, 2 - 2t) \end{aligned} $$

したがって、点 $Q$ の座標は $(ta, tb, 2 - 2t)$ である。

(2) 球面 $S$ は中心が $(2, 0, 0)$、半径が $\sqrt{2}$ であるから、その方程式は

$$ (x - 2)^2 + y^2 + z^2 = 2 $$

と表される。直線 $l$ が球面 $S$ と相異なる2点で交わるための条件は、直線 $l$ 上の点 $Q(ta, tb, 2 - 2t)$ が球面 $S$ 上にあるような実数 $t$ が、相異なる2つ存在することである。点 $Q$ の座標を球面 $S$ の方程式に代入すると

$$ (ta - 2)^2 + (tb)^2 + (2 - 2t)^2 = 2 $$

これを展開し、$t$ について整理する。

$$ t^2 a^2 - 4at + 4 + t^2 b^2 + 4 - 8t + 4t^2 = 2 $$

$$ (a^2 + b^2 + 4)t^2 - 4(a + 2)t + 6 = 0 $$

ここで、$a, b$ は実数であるから $a^2 + b^2 + 4 > 0$ であり、これは $t$ についての2次方程式となる。 この2次方程式が相異なる2つの実数解をもつ条件は、判別式を $D$ とすると $D > 0$ であることである。

$$ \frac{D}{4} = \{-2(a + 2)\}^2 - 6(a^2 + b^2 + 4) > 0 $$

$$ 4(a^2 + 4a + 4) - 6a^2 - 6b^2 - 24 > 0 $$

$$ -2a^2 + 16a - 6b^2 - 8 > 0 $$

両辺を $-2$ で割り、平方完成して整理する。

$$ a^2 - 8a + 3b^2 + 4 < 0 $$

$$ (a - 4)^2 - 16 + 3b^2 + 4 < 0 $$

$$ (a - 4)^2 + 3b^2 < 12 $$

よって、求める条件は不等式 $(a - 4)^2 + 3b^2 < 12$ を満たすことである。 これを変形すると $\frac{(a - 4)^2}{12} + \frac{b^2}{4} < 1$ となり、これは中心が $(4, 0)$ であり、$a$ 軸方向の半径(半長軸)が $2\sqrt{3}$、$b$ 軸方向の半径(半短軸)が $2$ である楕円の内部を表す。境界線は含まない。

(3) 球面 $S$ のうち $z > 0$ を満たす部分 $T$ と直線 $l$ が相異なる2点で交わる条件を考える。 点 $Q$ が $T$ 上にあるためには、点 $Q$ の $z$ 座標について $2 - 2t > 0$ すなわち $t < 1$ が成り立つ必要がある。 したがって、条件は (2) で求めた $t$ の2次方程式

$$ f(t) = (a^2 + b^2 + 4)t^2 - 4(a + 2)t + 6 = 0 $$

が $t < 1$ の範囲に相異なる2つの実数解をもつことである。 $y = f(t)$ のグラフは下に凸の放物線であり、軸の方程式は $t = \frac{2(a + 2)}{a^2 + b^2 + 4}$ である。 条件を満たすためには、以下の3つが同時に成り立つ必要がある。

(i) 判別式 $D > 0$ (ii) 軸が $t < 1$ の範囲にある (iii) $f(1) > 0$

(i) については、(2) より

$$ (a - 4)^2 + 3b^2 < 12 $$

(ii) については

$$ \frac{2(a + 2)}{a^2 + b^2 + 4} < 1 $$

$a^2 + b^2 + 4 > 0$ より、両辺に $a^2 + b^2 + 4$ を掛けて整理する。

$$ 2a + 4 < a^2 + b^2 + 4 $$

$$ a^2 - 2a + b^2 > 0 $$

$$ (a - 1)^2 + b^2 > 1 $$

(iii) については

$$ f(1) = (a^2 + b^2 + 4) \cdot 1^2 - 4(a + 2) \cdot 1 + 6 > 0 $$

$$ a^2 + b^2 + 4 - 4a - 8 + 6 > 0 $$

$$ a^2 - 4a + b^2 + 2 > 0 $$

$$ (a - 2)^2 + b^2 > 2 $$

以上より、求める条件は次の3つの不等式を同時に満たすことである。

$$ \begin{cases} (a - 4)^2 + 3b^2 < 12 & \dots \text{①} \\ (a - 1)^2 + b^2 > 1 & \dots \text{②} \\ (a - 2)^2 + b^2 > 2 & \dots \text{③} \end{cases} $$

これらが表す領域を図示するために、境界となる3つの曲線について調べる。 楕円 $E: (a - 4)^2 + 3b^2 = 12$ 円 $C_1: (a - 1)^2 + b^2 = 1$ 円 $C_2: (a - 2)^2 + b^2 = 2$

$C_1$ と $C_2$ の式を辺々引いて交点を求めると、$a = 1$ となり、$b = \pm 1$ を得る。すなわち交点は $(1, 1), (1, -1)$ である。 また、これらの点を楕円 $E$ の式に代入すると $(1 - 4)^2 + 3(\pm 1)^2 = 12$ となり満たすため、3つの曲線はすべて2点 $(1, 1), (1, -1)$ を通る。 さらに、$b^2 = 2 - (a - 2)^2$ を $E$ の式に代入すると $(a - 1)^2 = 0$ となり重解を持つことから、$E$ と $C_2$ は点 $(1, \pm 1)$ において接することがわかる。 求める領域は、楕円 $E$ の内部 かつ 円 $C_1$ の外部 かつ 円 $C_2$ の外部 である。

解説

空間図形における直線と球面の交点に関する標準的な問題である。 (1)で直線をパラメータ表示し、(2)でそれを球の式に代入して2次方程式の判別式に帰着させる流れは頻出の典型パターンとして確実に押さえておきたい。 (3)は「$z > 0$」という条件が「$t < 1$」というパラメータの制限に翻訳されることに気づけば、数学Iの「解の配置(解の存在範囲)」の問題へとスムーズに移行できる。 最後の領域図示においては、3つの境界線(楕円と2つの円)が2点で交わり、しかも一部は接するという位置関係を正確に把握することがポイントとなる。単なる計算だけでなく、図形的な状況を正しく分析する力が求められる。

答え

(1) $Q(ta, tb, 2 - 2t)$

(2) 条件:$(a - 4)^2 + 3b^2 < 12$ 図示:$ab$ 平面上で、中心 $(4, 0)$ の楕円 $\frac{(a - 4)^2}{12} + \frac{b^2}{4} = 1$ の内部。ただし境界を含まない。

(3) 条件:$\begin{cases} (a - 4)^2 + 3b^2 < 12 \\ (a - 1)^2 + b^2 > 1 \\ (a - 2)^2 + b^2 > 2 \end{cases}$ 図示:$ab$ 平面上で、楕円 $(a - 4)^2 + 3b^2 = 12$ の内部であり、かつ円 $(a - 1)^2 + b^2 = 1$ の外部、かつ円 $(a - 2)^2 + b^2 = 2$ の外部である領域。ただし境界を含まない。

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