トップ 名古屋大学 1994年 文系 第2問

名古屋大学 1994年 文系 第2問 解説

数学2/微分法数学2/積分法数学2/図形と式テーマ/接線・法線テーマ/最大・最小
名古屋大学 1994年 文系 第2問 解説

方針・初手

点 $P$ の $x$ 座標を文字 $t$ でおき、点 $P$ の座標を $t$ で表すことから始める。 放物線外の点から引いた接線を扱う場合、接点の $x$ 座標を文字($\alpha, \beta$)でおき、接線の方程式を立ててからそれが点 $P$ を通るという条件を課すのが定石である。接点の $x$ 座標は $t$ を用いた2次方程式の解として表されるため、解と係数の関係を利用して計算を進める。面積は定積分を用いて求めるが、いわゆる $\frac{1}{12}$ 公式の導出過程と同様の計算を行うことで効率的に処理できる。

解法1

点 $P$ の $x$ 座標を $t$ とおく。点 $P$ は直線 $x+y+1=0$ 上を動くので、点 $P$ の座標は $P(t, -t-1)$ である。

放物線 $y=x^2$ 上の点における接線の方程式を求める。 $y'=2x$ より、放物線上の点 $(\alpha, \alpha^2)$ における接線の方程式は

$$ y - \alpha^2 = 2\alpha (x - \alpha) $$

すなわち

$$ y = 2\alpha x - \alpha^2 $$

となる。この接線が点 $P(t, -t-1)$ を通るので

$$ -t-1 = 2\alpha t - \alpha^2 $$

整理して

$$ \alpha^2 - 2t\alpha - t - 1 = 0 $$

を得る。これは、点 $P$ から放物線に引いた接線の接点の $x$ 座標が、$x$ についての2次方程式

$$ x^2 - 2tx - t - 1 = 0 \cdots (*) $$

を満たすことを示している。 この2次方程式の判別式を $D$ とすると

$$ \frac{D}{4} = (-t)^2 - 1 \cdot (-t-1) = t^2 + t + 1 = \left( t + \frac{1}{2} \right)^2 + \frac{3}{4} > 0 $$

となる。したがって、方程式 $(*)$ は常に異なる2つの実数解をもつため、点 $P$ からは常に2本の接線を引くことができる。

2本の接線の接点の $x$ 座標を $\alpha, \beta$ ($\alpha < \beta$)とすると、解と係数の関係より

$$ \alpha + \beta = 2t $$

$$ \alpha\beta = -t-1 $$

が成り立つ。 ここから $\beta - \alpha$ を求めると

$$ (\beta - \alpha)^2 = (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha\beta = (2t)^2 - 4(-t-1) = 4(t^2+t+1) $$

$\alpha < \beta$ より

$$ \beta - \alpha = 2\sqrt{t^2+t+1} $$

となる。 また、$\alpha + \beta = 2t$ より $t = \frac{\alpha+\beta}{2}$ であるため、2接線の交点 $P$ の $x$ 座標は、2つの接点の $x$ 座標の中点に一致する。

次に、放物線と2接線で囲まれる面積 $S$ を求める。 区間 $\alpha \leqq x \leqq t$ では接線 $y = 2\alpha x - \alpha^2$ と放物線で、区間 $t \leqq x \leqq \beta$ では接線 $y = 2\beta x - \beta^2$ と放物線で囲まれるため、面積 $S$ は次のように計算できる。

$$ \begin{aligned} S &= \int_{\alpha}^{t} \{ x^2 - (2\alpha x - \alpha^2) \} dx + \int_{t}^{\beta} \{ x^2 - (2\beta x - \beta^2) \} dx \\ &= \int_{\alpha}^{t} (x - \alpha)^2 dx + \int_{t}^{\beta} (x - \beta)^2 dx \\ &= \left[ \frac{(x - \alpha)^3}{3} \right]_{\alpha}^{t} + \left[ \frac{(x - \beta)^3}{3} \right]_{t}^{\beta} \\ &= \frac{(t - \alpha)^3}{3} - \frac{(t - \beta)^3}{3} \end{aligned} $$

ここで、$t = \frac{\alpha+\beta}{2}$ であるから

$$ t - \alpha = \frac{\beta - \alpha}{2} $$

$$ t - \beta = \frac{\alpha - \beta}{2} = - \frac{\beta - \alpha}{2} $$

これを代入して

$$ S = \frac{1}{3} \left( \frac{\beta - \alpha}{2} \right)^3 - \frac{1}{3} \left( - \frac{\beta - \alpha}{2} \right)^3 = \frac{(\beta - \alpha)^3}{12} $$

となる。$\beta - \alpha = 2\sqrt{t^2+t+1}$ を用いると

$$ S = \frac{1}{12} \left( 2\sqrt{t^2+t+1} \right)^3 = \frac{8}{12} (t^2+t+1)^{\frac{3}{2}} = \frac{2}{3} (t^2+t+1)^{\frac{3}{2}} $$

となる。これが $P$ の $x$ 座標($t$)を用いて表した面積 $S$ である。

最後に、$S$ が最小になるような $P$ の $x$ 座標を求める。 $S$ が最小になるのは、根号の中身である $t^2+t+1$ が最小になるときである。

$$ t^2 + t + 1 = \left( t + \frac{1}{2} \right)^2 + \frac{3}{4} $$

であるから、$t = -\frac{1}{2}$ のとき最小値をとる。 したがって、$S$ が最小になるような $P$ の $x$ 座標は $-\frac{1}{2}$ である。

解説

放物線外の点から引いた2本の接線と放物線で囲まれる面積についての典型問題である。 計算量が多くなりがちな分野だが、以下の2つの性質を知識として持っていると見通しが良くなる。

  1. 放物線の2接線の交点の $x$ 座標は、2つの接点の $x$ 座標の中点になる。
  2. 放物線と2接線で囲まれる面積は $\frac{(\beta-\alpha)^3}{12}$ で表される(いわゆる $\frac{1}{12}$ 公式)。

実際の記述解答においては、結果だけを暗記して使うのではなく、解法1のように定積分を $(x-\alpha)^2$ などの形にまとめて計算する過程をしっかり示すことが望ましい。また、接点の座標から求めるのではなく「接点を文字で置いてから交点の条件を処理する」というアプローチは、接線を扱う際の最も重要な定石である。

答え

$P$ の $x$ 座標を $t$ とすると 面積 $S$ は $$ S = \frac{2}{3}(t^2+t+1)^{\frac{3}{2}} $$ また、$S$ が最小になるような $P$ の $x$ 座標は $$ -\frac{1}{2} $$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。