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九州大学 1969年 理系 第1問 解説

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九州大学 1969年 理系 第1問 解説

方針・初手

三角形の内角の和が $180^\circ$ であることから、$A+B+C=180^\circ$ を利用する。(1) は各角の大きさが具体的に定まるため、そのまま代入して計算する。(2) は $A=60^\circ$ より $B+C=120^\circ$ となる条件のもとで、$P$ を $B, C$ の式として表し、一定値になることを示す。式変形には三角関数の和積の公式、あるいは加法定理を用いて1文字を消去する方法が有効である。式の計算においては、分母が $0$ にならないことの確認を忘れないように記述する。

解法1

(1)

三角形の内角の和は $180^\circ$ であるから、$A+B+C=180^\circ$ が成り立つ。

$A=B=60^\circ$ のとき、

$$C = 180^\circ - (60^\circ + 60^\circ) = 60^\circ$$

となる。これを $P$ の式に代入する。

$$\begin{aligned} P &= \frac{\sin 60^\circ + \sin 60^\circ + \sin 60^\circ}{\cos 60^\circ + \cos 60^\circ + \cos 60^\circ} \\ &= \frac{3 \sin 60^\circ}{3 \cos 60^\circ} \\ &= \tan 60^\circ \\ &= \sqrt{3} \end{aligned}$$

(2)

$A=60^\circ$ のとき、

$$B+C = 180^\circ - 60^\circ = 120^\circ$$

である。$P$ の分子と分母のそれぞれについて、和積の公式を用いる。

分子について、

$$\sin B + \sin C = 2 \sin \left( \frac{B+C}{2} \right) \cos \left( \frac{B-C}{2} \right)$$

ここで $B+C=120^\circ$ より $\frac{B+C}{2} = 60^\circ$ であるから、

$$\begin{aligned} \sin B + \sin C &= 2 \sin 60^\circ \cos \left( \frac{B-C}{2} \right) \\ &= 2 \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} \cos \left( \frac{B-C}{2} \right) \\ &= \sqrt{3} \cos \left( \frac{B-C}{2} \right) \end{aligned}$$

分母について、

$$\cos B + \cos C = 2 \cos \left( \frac{B+C}{2} \right) \cos \left( \frac{B-C}{2} \right)$$

同様に $\frac{B+C}{2} = 60^\circ$ を代入して、

$$\begin{aligned} \cos B + \cos C &= 2 \cos 60^\circ \cos \left( \frac{B-C}{2} \right) \\ &= 2 \cdot \frac{1}{2} \cos \left( \frac{B-C}{2} \right) \\ &= \cos \left( \frac{B-C}{2} \right) \end{aligned}$$

これらを $P$ の式に代入する。

$$\begin{aligned} P &= \frac{\sin 60^\circ + \sin B + \sin C}{\cos 60^\circ + \cos B + \cos C} \\ &= \frac{\frac{\sqrt{3}}{2} + \sqrt{3} \cos \left( \frac{B-C}{2} \right)}{\frac{1}{2} + \cos \left( \frac{B-C}{2} \right)} \\ &= \frac{\sqrt{3} \left\{ \frac{1}{2} + \cos \left( \frac{B-C}{2} \right) \right\}}{\frac{1}{2} + \cos \left( \frac{B-C}{2} \right)} \end{aligned}$$

ここで、$B, C$ は三角形の内角であり、$B+C=120^\circ$ を満たすから、$0^\circ < B < 120^\circ$ かつ $0^\circ < C < 120^\circ$ である。

したがって、$B-C$ のとりうる値の範囲は、

$$-120^\circ < B-C < 120^\circ$$

となり、

$$-60^\circ < \frac{B-C}{2} < 60^\circ$$

である。この範囲において、

$$\cos \left( \frac{B-C}{2} \right) > \frac{1}{2}$$

となるため、

$$\frac{1}{2} + \cos \left( \frac{B-C}{2} \right) > 1 > 0$$

となり、$P$ の分母が $0$ になることはない。

よって、分母と分子を約分することができ、

$$P = \sqrt{3}$$

となる。これは (1) で求めた値と等しく、$P$ が $B, C$ の変動によらず (1) と同じ値をとることが証明された。

解法2

(2) の別解

$A=60^\circ$ より $B+C=120^\circ$ であるから、$C = 120^\circ - B$ と表せる。これを $P$ の式に代入し、加法定理を用いて展開する。

分母について、

$$\begin{aligned} \cos 60^\circ + \cos B + \cos (120^\circ - B) &= \frac{1}{2} + \cos B + \cos 120^\circ \cos B + \sin 120^\circ \sin B \\ &= \frac{1}{2} + \cos B - \frac{1}{2} \cos B + \frac{\sqrt{3}}{2} \sin B \\ &= \frac{1}{2} + \frac{1}{2} \cos B + \frac{\sqrt{3}}{2} \sin B \end{aligned}$$

分子について、

$$\begin{aligned} \sin 60^\circ + \sin B + \sin (120^\circ - B) &= \frac{\sqrt{3}}{2} + \sin B + \sin 120^\circ \cos B - \cos 120^\circ \sin B \\ &= \frac{\sqrt{3}}{2} + \sin B + \frac{\sqrt{3}}{2} \cos B + \frac{1}{2} \sin B \\ &= \frac{\sqrt{3}}{2} + \frac{3}{2} \sin B + \frac{\sqrt{3}}{2} \cos B \\ &= \sqrt{3} \left( \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2} \sin B + \frac{1}{2} \cos B \right) \end{aligned}$$

これらを $P$ の式に代入すると、

$$P = \frac{\sqrt{3} \left( \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2} \sin B + \frac{1}{2} \cos B \right)}{\frac{1}{2} + \frac{1}{2} \cos B + \frac{\sqrt{3}}{2} \sin B}$$

ここで、$P$ の分母を変形すると、

$$\begin{aligned} \frac{1}{2} + \frac{1}{2} \cos B + \frac{\sqrt{3}}{2} \sin B &= \frac{1}{2} + \cos B \cos 60^\circ + \sin B \sin 60^\circ \\ &= \frac{1}{2} + \cos (B - 60^\circ) \end{aligned}$$

となる。$B$ は三角形の内角で、$A=60^\circ$ より $0^\circ < B < 120^\circ$ であるから、

$$-60^\circ < B - 60^\circ < 60^\circ$$

である。この範囲において、

$$\cos (B - 60^\circ) > \frac{1}{2}$$

となるため、

$$\frac{1}{2} + \cos (B - 60^\circ) > 1 > 0$$

となり、分母が $0$ になることはない。

よって、分母と分子を約分することができ、

$$P = \sqrt{3}$$

となる。これは (1) と同じ値である。

解説

三角関数の和の形を含む分数の式変形問題である。和積の公式(解法1)を用いると、計算量を抑えて綺麗に因数分解の形を作ることができる。加法定理(解法2)で力押ししても、比較的容易に同じ結果に辿り着くことができる。

注意すべき点として、分母を含んだ式の値を論じる際は「分母が $0$ にならないこと」の言及が必須である。本問では $B, C$ が三角形の内角であるという条件から変数の範囲を絞り、分母が常に正であることを示せばよい。この記述が抜けていると減点対象になり得るため、注意が必要である。

答え

(1)

$$\sqrt{3}$$

(2)

$A=60^\circ$ のとき、$B, C$ の値によらず $P = \sqrt{3}$ となることが示され、(1) と同じ値をとることが証明された。(証明の詳細は解法を参照)

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