名古屋大学 1985年 理系 第4問 解説

方針・初手
(1) は確率の定義に従い、全事象と条件を満たす事象の数をそれぞれ求める。全事象は $n^2$ 通りである。選んだ2つの数の和が $k$ 以下となる組の数を、一方の数を固定して数え上げる。$k \leqq n$ の条件に注意する。
(2) は、(1)で求めた確率から $k$ についての2次不等式を導く。$M(n, a)$ はその不等式を満たす最大の自然数であることから、不等式によって $M(n, a)$ の範囲を絞り込み、はさみうちの原理を用いて極限を計算する。
解法1
(1)
1から $n$ までの自然数から重複を許して2つの数を選ぶとき、その選び方は全部で $n^2$ 通りあり、これらは同様に確からしい。
選ばれた2つの数を順に $X_1, X_2$ とする。和 $X = X_1 + X_2$ が $k$ 以下となるような組 $(X_1, X_2)$ の総数を求める。
条件より $1 \leqq X_1 \leqq n, 1 \leqq X_2 \leqq n$ である。
$X_1 = i$ ($i = 1, 2, \dots, k-1$) のとき、$X_1 + X_2 \leqq k$ より $1 \leqq X_2 \leqq k - i$ となる。
問題の条件 $k \leqq n$ より $k - i < n$ であるため、条件を満たす自然数 $X_2$ はすべて $n$ 以下に収まり、その個数は $k-i$ 個である。
したがって、和が $k$ 以下となる組 $(X_1, X_2)$ の総数は
$$ \sum_{i=1}^{k-1} (k - i) = \sum_{j=1}^{k-1} j = \frac{1}{2}k(k-1) $$
よって、求める確率 $p(n, k)$ は
$$ p(n, k) = \frac{k(k-1)}{2n^2} $$
(2)
条件 $p(n, k) \leqq a$ より
$$ \frac{k(k-1)}{2n^2} \leqq a \iff k^2 - k \leqq 2an^2 $$
$p(n, k)$ は $k \leqq n$ に対して定義されている。$k = n$ のとき、
$$ p(n, n) = \frac{n(n-1)}{2n^2} = \frac{1}{2} - \frac{1}{2n} $$
$0 < a < \frac{1}{2}$ であるから、$n > \frac{1}{1-2a}$ のとき $\frac{1}{2} - \frac{1}{2n} > a$ となり、$p(n, n) > a$ となる。
したがって、極限 $n \to \infty$ を考える上では $n$ は十分大きいとしてよく、このとき条件 $p(n, k) \leqq a$ を満たす最大の自然数 $k$ は $n$ より小さくなる。ゆえに、$M(n, a)$ は制限 $k \leqq n$ を考慮せず、単純に不等式 $k^2 - k \leqq 2an^2$ を満たす最大の自然数として求めてよい。
$M = M(n, a)$ とおくと、$k=M$ は不等式 $k^2 - k \leqq 2an^2$ を満たすが、$k=M+1$ は満たさない。すなわち
$$ M^2 - M \leqq 2an^2 < (M+1)^2 - (M+1) $$
整理して
$$ M^2 - M \leqq 2an^2 < M^2 + M $$
これを $M$ について解く。
$M^2 - M - 2an^2 \leqq 0$ より、
$$ M \leqq \frac{1 + \sqrt{1 + 8an^2}}{2} $$
$M^2 + M - 2an^2 > 0$ と $M > 0$ より、
$$ M > \frac{-1 + \sqrt{1 + 8an^2}}{2} $$
したがって、$M$ は以下の範囲にある。
$$ \frac{\sqrt{1 + 8an^2} - 1}{2} < M \leqq \frac{\sqrt{1 + 8an^2} + 1}{2} $$
各辺を正の数 $n$ で割ると
$$ \frac{\sqrt{1 + 8an^2} - 1}{2n} < \frac{M}{n} \leqq \frac{\sqrt{1 + 8an^2} + 1}{2n} $$
ここで、両端の式の極限を求めると
$$ \lim_{n \to \infty} \frac{\sqrt{1 + 8an^2} \pm 1}{2n} = \lim_{n \to \infty} \frac{\sqrt{\frac{1}{n^2} + 8a} \pm \frac{1}{n}}{2} = \frac{\sqrt{8a}}{2} = \sqrt{2a} $$
よって、はさみうちの原理より
$$ \lim_{n \to \infty} \frac{M(n, a)}{n} = \sqrt{2a} $$
解説
(1) は確率の基本問題である。全事象と条件を満たす事象の数を正確に数え上げることが求められる。$k \leqq n$ の条件があるため、$X_1$ と $X_2$ が $n$ を超えるケースを心配する必要がなく、単純な数列の和に帰着する。
(2) における $M(n, a)$ は、ガウス記号を用いて $M(n, a) = \left[ \frac{1 + \sqrt{1 + 8an^2}}{2} \right]$ と表すことができる。極限計算においては、この定義式から自然にはさみうちの原理を用いるのが定石である。また、厳密な答案を作成するためには、$n \to \infty$ において $M(n,a) < n$ となること(つまり問題の前提である $k \leqq n$ に抵触しないこと)を確認しておくことが望ましい。
答え
(1)
$$ p(n, k) = \frac{k(k-1)}{2n^2} $$
(2)
$$ \lim_{n \to \infty} \frac{M(n, a)}{n} = \sqrt{2a} $$
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