名古屋大学 1995年 理系 第5問 解説

方針・初手
各頂点の座標を文字で置き、2点間の距離の2乗の公式を用いて $a^2, b^2, c^2$ を座標の成分で表す。 整数問題において、「整数の2乗の偶奇は、元の整数の偶奇と一致する」こと、すなわち任意の整数 $n$ について $n^2 \equiv n \pmod 2$ が成り立つことを活用して証明を進める。
解法1
三角形の3頂点の座標を $A(x_1, y_1), B(x_2, y_2), C(x_3, y_3)$ とする。 条件 a) より、$x_1, x_2, x_3, y_1, y_2, y_3$ はすべて整数である。 三角形の3辺の長さを $a=BC, b=CA, c=AB$ とすると、2点間の距離の2乗の公式より以下が成り立つ。
$$ a^2 = (x_2-x_3)^2 + (y_2-y_3)^2 $$
$$ b^2 = (x_3-x_1)^2 + (y_3-y_1)^2 $$
$$ c^2 = (x_1-x_2)^2 + (y_1-y_2)^2 $$
任意の整数 $n$ について、$n^2 - n = n(n-1)$ は連続する2つの整数の積であるため必ず偶数となる。 すなわち、$n^2$ と $n$ の偶奇は一致し、合同式を用いると $n^2 \equiv n \pmod 2$ と表せる。
この性質を用いて、$a^2+b^2+c^2$ の偶奇を調べる。
$$ \begin{aligned} a^2+b^2+c^2 &= (x_2-x_3)^2 + (y_2-y_3)^2 + (x_3-x_1)^2 + (y_3-y_1)^2 + (x_1-x_2)^2 + (y_1-y_2)^2 \\ &\equiv (x_2-x_3) + (y_2-y_3) + (x_3-x_1) + (y_3-y_1) + (x_1-x_2) + (y_1-y_2) \pmod 2 \\ &= (x_2 - x_3 + x_3 - x_1 + x_1 - x_2) + (y_2 - y_3 + y_3 - y_1 + y_1 - y_2) \pmod 2 \\ &= 0 + 0 \pmod 2 \\ &= 0 \pmod 2 \end{aligned} $$
したがって、$a^2+b^2+c^2$ は偶数である。
次に、$a+b+c$ の偶奇を調べる。 条件 b) より、$a, b, c$ はすべて整数であるため、先ほどと同様に $n^2 \equiv n \pmod 2$ の性質を利用できる。
$$ \begin{aligned} a+b+c &\equiv a^2+b^2+c^2 \pmod 2 \end{aligned} $$
すでに $a^2+b^2+c^2 \equiv 0 \pmod 2$ であることを示しているため、以下が成り立つ。
$$ a+b+c \equiv 0 \pmod 2 $$
したがって、$a+b+c$ も偶数である。
解説
整数における「2乗しても偶奇は変わらない」という基本的な性質をうまく活用できるかがポイントである。 式を展開して $2(x_1^2+x_2^2+x_3^2 - x_1x_2 - x_2x_3 - x_3x_1) + \dots$ のようにして2の倍数であることを示すことも可能だが、合同式を用いて和の形にしてしまう方が、文字の相殺が明確になり記述が非常に簡潔になる。$a+b+c$ の証明も、$a^2+b^2+c^2$ の結果に帰着させることで一瞬で終わる。
答え
各頂点の座標から求めた辺の長さの2乗の和について、整数の偶奇の性質 $n^2 \equiv n \pmod 2$ を用いることで、$a^2+b^2+c^2$ が偶数であることを示した。さらに、辺の長さが整数であることから同様の性質を適用し、$a+b+c$ も偶数であることを示した。
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