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大阪大学 1999年 理系 第2問 解説

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大阪大学 1999年 理系 第2問 解説

方針・初手

3つの頂点がすべて有理点であるような正三角形が存在すると仮定し、矛盾を導く背理法を用いる。

座標平面上の図形を平行移動しても、頂点の座標の差は変わらない。有理数どうしの差は有理数であるから、ある正三角形の3つの頂点がすべて有理点であるならば、その正三角形を平行移動して1つの頂点を原点に重ねたとき、移動後の3つの頂点もすべて有理点となる。

したがって、1つの頂点が原点 $O(0, 0)$ にあり、残りの2つの頂点が有理点であるような正三角形が存在すると仮定して矛盾を導けばよい。

解法1

3頂点が $O(0, 0), A(a, b), B(c, d)$ である正三角形が存在すると仮定する。ここで、$a, b, c, d$ はすべて有理数であり、点 $A$ と点 $B$ は原点とは異なる点である。

正三角形の1辺の長さを $L$ とすると、$L > 0$ であり、

$$ L^2 = a^2 + b^2 = c^2 + d^2 $$

が成り立つ。$a, b, c, d$ は有理数であるから、$L^2$ は正の有理数である。

次に、正三角形 $OAB$ の面積 $S$ を2通りの方法で表す。

まず、3頂点の座標を用いると、面積 $S$ は次のように表される。

$$ S = \frac{1}{2}|ad - bc| $$

$a, b, c, d$ は有理数であるから、$ad - bc$ も有理数であり、$S$ は有理数である。

一方で、1辺の長さが $L$ の正三角形の面積 $S$ は、幾何学的に次のように表される。

$$ S = \frac{1}{2} \cdot L \cdot L \cdot \sin 60^\circ = \frac{\sqrt{3}}{4}L^2 $$

これら2つの式から $S$ を消去すると、

$$ \frac{1}{2}|ad - bc| = \frac{\sqrt{3}}{4}L^2 $$

が成り立つ。これを $\sqrt{3}$ について解くと、

$$ \sqrt{3} = \frac{2|ad - bc|}{L^2} $$

となる。

ここで、$a, b, c, d$ は有理数であるから、分子の $2|ad - bc|$ は有理数である。また、分母の $L^2$ は正の有理数である。有理数を $0$ でない有理数で割った商は有理数であるから、右辺は有理数となる。

しかし、これは $\sqrt{3}$ が無理数であることに矛盾する。

したがって、3つの頂点がすべて有理点である正三角形は存在しない。

解法2

3頂点が $O(0, 0), A(a, b), B(c, d)$ である正三角形が存在すると仮定する。ここで、$a, b, c, d$ はすべて有理数であり、点 $A$ と点 $B$ は原点とは異なる点である。

複素数平面上で考えると、点 $B$ は、点 $A$ を原点 $O$ を中心として $60^\circ$ または $-60^\circ$ だけ回転させた点である。

点 $A, B$ を表す複素数をそれぞれ $\alpha = a + bi, \beta = c + di$ とすると、

$$ \beta = \alpha (\cos(\pm 60^\circ) + i\sin(\pm 60^\circ)) $$

が成り立つ(複号同順)。これを展開すると、

$$ c + di = (a + bi)\left(\frac{1}{2} \pm \frac{\sqrt{3}}{2}i\right) $$

$$ c + di = \left(\frac{1}{2}a \mp \frac{\sqrt{3}}{2}b\right) + \left(\pm \frac{\sqrt{3}}{2}a + \frac{1}{2}b\right)i $$

となる。両辺の実部と虚部を比較すると、

$$ \begin{cases} c = \frac{1}{2}a \mp \frac{\sqrt{3}}{2}b \\ d = \pm \frac{\sqrt{3}}{2}a + \frac{1}{2}b \end{cases} $$

が成り立つ。これらの式を変形して $\sqrt{3}$ を含む項を左辺にまとめると、

$$ \begin{cases} \pm \sqrt{3}b = a - 2c \\ \mp \sqrt{3}a = b - 2d \end{cases} $$

となる。

ここで、点 $A$ は原点ではないため、$a = 0$ と $b = 0$ が同時に成り立つことはない。すなわち、$a \neq 0$ または $b \neq 0$ のいずれかが成り立つ。

(i)

$b \neq 0$ のとき

第1式から、

$$ \pm \sqrt{3} = \frac{a - 2c}{b} $$

となる。$a, b, c$ は有理数であり、$b \neq 0$ であるから、右辺は有理数となる。これは $\sqrt{3}$ が無理数であることに矛盾する。

(ii)

$a \neq 0$ のとき

第2式から、

$$ \mp \sqrt{3} = \frac{b - 2d}{a} $$

となる。$a, b, d$ は有理数であり、$a \neq 0$ であるから、右辺は有理数となる。これも $\sqrt{3}$ が無理数であることに矛盾する。

(i)、(ii) いずれの場合も矛盾が生じる。

したがって、3つの頂点がすべて有理点である正三角形は存在しない。

解説

「〜が存在しないことを示せ」や「〜が無理数であることを用いてよい」という問題文から、背理法を用いることが強く示唆される典型的な証明問題である。

図形を平行移動して1つの頂点を原点に固定する操作は、計算を大幅に簡略化する重要なテクニックである。有理点という性質は平行移動(有理点どうしの差をとる操作)によって保たれるため、一般性を失うことなく原点を頂点の一つとして扱うことができる。

解法1の面積に注目するアプローチは、行列式(サラスの公式)による三角形の面積公式と幾何学的な面積公式を比較するもので、非常に簡明に結論を導くことができる。解法2の複素数平面を用いるアプローチは、回転移動を代数的に処理する強力な方法であり、実部と虚部の比較から自然に無理数と有理数の等式を引き出すことができる。

答え

(証明は解答の通り)3つの頂点がすべて有理点である正三角形は存在しないことが示された。

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