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大阪大学 1971年 文系 第2問 解説

数学C/複素数平面数学A/整数問題テーマ/整数の証明
大阪大学 1971年 文系 第2問 解説

方針・初手

ド・モアブルの定理を用いて $z^n$ を極形式で表す。複素数 $z^m$ と $z^n$ が等しくなるための偏角の条件(差が $2\pi$ の整数倍)を立式し、$a$ が有理数・無理数のそれぞれの場合について考察を進める。

解法1

ド・モアブルの定理より、自然数 $n$ に対して以下が成り立つ。

$$ z^n = \cos 2na\pi + i \sin 2na\pi $$

異なる自然数 $m, n$ ($m > n$ とする)について、$z^m = z^n$ が成り立つための必要十分条件は、その偏角の差が $2\pi$ の整数倍になることである。すなわち、ある整数 $k$ を用いて次のように表せることである。

$$ 2ma\pi - 2na\pi = 2k\pi $$

これを整理すると、次のようになる。

$$ (m - n)a = k $$

(1)

$a$ は有理数であるから、$a = \frac{q}{p}$ ($p, q$ は互いに素な整数、$p \ge 1$)と表すことができる。 $q=0$ のときは既約性より $p=1$ であり、$z=1$ となるから、相異なる値は $1=p$ 個である。 以下では $q\neq 0$ として、これを上の条件式に代入する。

$$ (m - n)\frac{q}{p} = k $$

$$ m - n = \frac{kp}{q} $$

$m - n$ は整数であり、$p$ と $q$ は互いに素であるから、$k$ は $q$ の倍数でなければならない。$k = ql$ ($l$ は整数)とおくと、次のように表せる。

$$ m - n = pl $$

すなわち、$z^m = z^n$ が成り立つことは、$m - n$ が $p$ の倍数であること、つまり $m$ と $n$ を $p$ で割った余りが等しいことと同値である。

すべての自然数 $n$ は $p$ で割った余りによって $p$ 個のグループ(余りが $0, 1, 2, \dots, p-1$)に分類され、それぞれのグループ内で $z^n$ の値は一致し、異なるグループ間では $z^n$ の値は異なる。

したがって、相異なる $z^n$ は $p$ 個存在する。

(2)

自然数 $m, n$ ($m \neq n$)について、$z^m = z^n$ となるような組が存在すると仮定する。

対称性から $m > n$ としても一般性を失わない。このとき、上で導いた条件式 $(m - n)a = k$ ($k$ は整数)が成り立つ。

$m > n$ より $m - n \neq 0$ であるから、両辺を $m - n$ で割ると次のようになる。

$$ a = \frac{k}{m - n} $$

$k$ と $m - n$ はともに整数であり、$m - n \neq 0$ であるため、これは $a$ が有理数であることを意味する。

しかし、これは $a$ が無理数であるという条件に矛盾する。

したがって、背理法により、$z^m = z^n$ となるような自然数 $m, n$ ($m \neq n$)は存在しない。すなわち、$z, z^2, \dots, z^n, \dots$ はすべて相異なる。

解説

複素平面上の点の回転に関する基本的な問題である。極形式を用いた複素数の累乗はド・モアブルの定理を用いて処理するのが鉄則である。

複素数が等しいという条件から偏角に関する方程式を導き、それを整数問題として処理する流れは頻出であるため、確実に押さえておきたい。

(1) では、有理数を「互いに素な整数を用いた既約分数」で表すことで、取り得る値の種類が分母の値に依存することを見抜く必要がある。

答え

(1)

$a = \frac{q}{p}$ ($p, q$ は互いに素な整数、$p \ge 1$)と表したとき、$p$ 個。

(2)

$z^m = z^n$ ($m \neq n$)と仮定すると $a$ が有理数となり矛盾することから、すべて相異なることが示される。(証明は解法1を参照)

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