大阪大学 1985年 理系 第5問 解説

方針・初手
空間図形における共通部分の切り口と体積を求める問題である。図形が立方体とその頂点からなるため、適切に座標軸を設定して各立体を不等式で表す方針が確実である。
問題文の「立方体 $ABCD-EFGO$」という表記から、$O$ を原点とし、$E, F, G$ が $xy$ 平面上の点、$A, B, C, D$ がその真上の点であると解釈して座標を定める。それぞれの三角すいの内部を不等式で表現し、平面 $z=a$ 上での断面領域の条件を立式する。断面領域の形状が $a$ の値によって変化することに注意し、正しく場合分けを行って切り口の面積 $S(a)$ を求める。
解法1
空間に座標系を導入する。頂点 $O$ を原点 $(0,0,0)$ とし、底面となる四角形 $EFGO$ を $xy$ 平面上にとる。頂点の対応順序から、$E(1,0,0)$、$F(1,1,0)$、$G(0,1,0)$ とすれば、これらは1辺の長さが1の正方形をなす。 また、上面の四角形 $ABCD$ については、各頂点が底面の頂点の真上($z=1$ 平面上)にあるため、$A(1,0,1)$、$B(1,1,1)$、$C(0,1,1)$、$D(0,0,1)$ と座標を設定できる。
まず、三角すい $P$(頂点 $A$、底面 $\triangle OFG$)の内部および境界を表す不等式を求める。 底面 $\triangle OFG$ は $z=0$ 上にあり、頂点の座標からその領域は $0 \le x \le y \le 1$ と表せる。 三角すい $P$ 内の点 $(x, y, z)$ は、実数 $t$ ($0 \le t \le 1$) と底面内の点 $(x_0, y_0, 0)$ ($0 \le x_0 \le y_0 \le 1$) を用いて、線分上の点として次のように表せる。
$$ (x, y, z) = (1-t)(1, 0, 1) + t(x_0, y_0, 0) $$
各成分を比較すると、$x = 1-t+tx_0$、$y = ty_0$、$z = 1-t$ である。 第3成分より $t = 1-z$ となり、これを他の成分に代入して整理すると、
$$ \begin{aligned} x_0 &= \frac{x-z}{1-z} \\ y_0 &= \frac{y}{1-z} \end{aligned} $$
ただし $z \neq 1$ とする。条件 $0 \le x_0 \le y_0 \le 1$ に代入すると、
$$ 0 \le \frac{x-z}{1-z} \le \frac{y}{1-z} \le 1 $$
分母 $1-z > 0$ を掛けて整理すると、三角すい $P$ の領域は以下の不等式で表される($z=1$ でも成立する)。
$$ z \le x \le y+z \le 1 $$
次に、三角すい $Q$(頂点 $C$、底面 $\triangle OFE$)の内部および境界を表す不等式を求める。 底面 $\triangle OFE$ の領域は $z=0$ 上の $0 \le y \le x \le 1$ である。 同様に、実数 $s$ ($0 \le s \le 1$) と底面内の点 $(x_1, y_1, 0)$ ($0 \le y_1 \le x_1 \le 1$) を用いて、
$$ (x, y, z) = (1-s)(0, 1, 1) + s(x_1, y_1, 0) $$
成分を比較して $s = 1-z$ を消去し、条件 $0 \le y_1 \le x_1 \le 1$ に代入すると、三角すい $Q$ の領域は以下の不等式で表される。
$$ z \le y \le x+z \le 1 $$
立体 $V$ は $P$ と $Q$ の共通部分であるから、上記の2組の不等式を同時に満たす領域である。
(1) 平面 $z=a$ による $V$ の切り口の面積の最大値
平面 $z=a$ ($0 \le a \le 1$) による切り口の領域 $V(a)$ を考える。 $z=a$ を $P$ と $Q$ の領域の式に代入すると、
$$ a \le x \le y+a \le 1 \quad \text{かつ} \quad a \le y \le x+a \le 1 $$
これを $x, y$ の連立不等式として整理すると、以下のようになる。
$$ \begin{aligned} a &\le x \le 1-a \\ a &\le y \le 1-a \\ -a &\le x-y \le a \end{aligned} $$
この領域が存在するためには、$a \le 1-a$ すなわち $0 \le a \le \frac{1}{2}$ である必要がある。$a > \frac{1}{2}$ のとき、切り口は空集合となり面積は $0$ である。
$0 \le a \le \frac{1}{2}$ のとき、領域 $V(a)$ は $xy$ 平面上の正方形 $R: [a, 1-a] \times [a, 1-a]$ のうち、2直線 $y = x-a$ と $y = x+a$ で挟まれた部分である。正方形 $R$ の1辺の長さは $1-2a$ である。
直線 $y = x-a$ は正方形の右下の頂点 $(1-a, a)$ を切り落とすか検討する。頂点 $(1-a, a)$ において $x-y = (1-a)-a = 1-2a$ であり、これが $a$ より大きいとき、すなわち $1-2a > a \iff a < \frac{1}{3}$ のとき、領域外となる直角二等辺三角形が存在する。 この切り落とされる三角形の直角を挟む2辺の長さは、正方形の辺上の交点から考えて $(1-a) - 2a = 1-3a$ となる。 対称性より、左上の頂点 $(a, 1-a)$ 側でも全く合同な直角二等辺三角形が切り落とされる。
したがって、切り口の面積 $S(a)$ は次のように場合分けされる。
(i)
$0 \le a < \frac{1}{3}$ のとき
正方形 $R$ の面積から、直角を挟む辺の長さが $1-3a$ の直角二等辺三角形2つ分を引く。
$$ \begin{aligned} S(a) &= (1-2a)^2 - 2 \times \frac{1}{2}(1-3a)^2 \\ &= (1 - 4a + 4a^2) - (1 - 6a + 9a^2) \\ &= -5a^2 + 2a \end{aligned} $$
これを平方完成すると、
$$ S(a) = -5\left(a - \frac{1}{5}\right)^2 + \frac{1}{5} $$
この区間において、$S(a)$ は $a = \frac{1}{5}$ のとき最大値 $\frac{1}{5}$ をとる。
(ii)
$\frac{1}{3} \le a \le \frac{1}{2}$ のとき
直線 $y=x-a$ および $y=x+a$ は正方形 $R$ の外側にあり、領域が切り落とされないため、$V(a)$ は正方形 $R$ そのものとなる。
$$ S(a) = (1-2a)^2 $$
この区間において $S(a)$ は単調減少であり、最大値は $a = \frac{1}{3}$ のときの $\frac{1}{9}$ である。
(i), (ii) より、$S(a)$ 全体を通じた最大値は $\frac{1}{5}$ である。
(2) $V$ の体積
求める体積 $W$ は、断面積 $S(a)$ を $a=0$ から $a=\frac{1}{2}$ まで積分することで得られる。
$$ \begin{aligned} W &= \int_{0}^{\frac{1}{2}} S(a) \,da \\ &= \int_{0}^{\frac{1}{3}} (-5a^2 + 2a) \,da + \int_{\frac{1}{3}}^{\frac{1}{2}} (1-2a)^2 \,da \end{aligned} $$
それぞれの定積分を計算する。
$$ \begin{aligned} \int_{0}^{\frac{1}{3}} (-5a^2 + 2a) \,da &= \left[ -\frac{5}{3}a^3 + a^2 \right]_{0}^{\frac{1}{3}} \\ &= -\frac{5}{3} \cdot \frac{1}{27} + \frac{1}{9} \\ &= -\frac{5}{81} + \frac{9}{81} = \frac{4}{81} \end{aligned} $$
$$ \begin{aligned} \int_{\frac{1}{3}}^{\frac{1}{2}} (1-2a)^2 \,da &= \left[ -\frac{1}{6}(1-2a)^3 \right]_{\frac{1}{3}}^{\frac{1}{2}} \\ &= 0 - \left( -\frac{1}{6}\left(1 - \frac{2}{3}\right)^3 \right) \\ &= \frac{1}{6} \cdot \frac{1}{27} = \frac{1}{162} \end{aligned} $$
これらを足し合わせて体積を求める。
$$ W = \frac{4}{81} + \frac{1}{162} = \frac{8}{162} + \frac{1}{162} = \frac{9}{162} = \frac{1}{18} $$
解説
立体図形の構成がやや複雑なため、座標系に落とし込んで機械的に処理する解法が最も見通しが良い。線分上の点をパラメータ表示し、パラメータを消去して不等式を得る手法は、領域を図示する際の典型的なテクニックである。 切り口の面積を求める際、領域の形状が特定の高さで変化することに気付く必要がある。本問では $a = \frac{1}{3}$ を境に切り口が六角形から正方形に変わる。この場合分けを正確に行えるかが、積分の計算を正しく完了するための最大の関門となる。
答え
(1)
$\frac{1}{5}$
(2)
$\frac{1}{18}$
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