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東京大学 1983年 理系 第5問 解説

数学1/立体図形数学2/微分法テーマ/空間図形テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
東京大学 1983年 理系 第5問 解説

方針・初手

正四角錐の底面の1辺の長さと高さを文字で置き、内接球の半径をこれらの文字を用いて表す。 立体の相似拡大・縮小によって表面積の比は変わらないため、文字を2つ用いても実質的に1変数の関数に帰着できる。 比を1つの変数(辺の長さの比や、断面の角度)で表した後、微分法を用いて関数の最大値を求める。式の形を見て適切に置換を行うことで、計算量を減らすことができる。

解法1

正四角錐 $V$ の高さを $h$、底面の正方形の1辺の長さを $2a$ とする($a>0, h>0$)。

底面の正方形の中心を O、頂点を P とし、O を通り底面の辺に平行な平面で $V$ を切った断面を考える。 この断面は、底辺の長さが $2a$、高さが $h$ の二等辺三角形となる。

$V$ に内接する球 $S$ は、底面とすべての側面に接するため、その中心は線分 OP 上にある。したがって、球 $S$ をこの平面で切った断面は、先ほどの二等辺三角形に内接する円(球の大円)となる。 球 $S$ の半径を $r$ とすると、二等辺三角形の面積を2通りで表すことで、

$$ \frac{1}{2} \cdot 2a \cdot h = \frac{1}{2}r(2a + 2\sqrt{a^2 + h^2}) $$

$$ ah = r(a + \sqrt{a^2 + h^2}) $$

$$ r = \frac{ah}{a + \sqrt{a^2 + h^2}} $$

を得る。

次に $V$ の表面積を求める。底面積は $(2a)^2 = 4a^2$ である。

4つの側面はすべて合同な二等辺三角形であり、その高さは断面の二等辺三角形の斜辺の長さに等しく $\sqrt{a^2 + h^2}$ であるから、側面積の合計は

$$ 4 \times \left( \frac{1}{2} \cdot 2a \cdot \sqrt{a^2 + h^2} \right) = 4a\sqrt{a^2 + h^2} $$

よって、$V$ の表面積は

$$ 4a^2 + 4a\sqrt{a^2 + h^2} = 4a(a + \sqrt{a^2 + h^2}) $$

となる。一方、球 $S$ の表面積は $4\pi r^2$ であるから、比 $R$ は

$$ R = \frac{4\pi \left( \frac{ah}{a + \sqrt{a^2 + h^2}} \right)^2}{4a(a + \sqrt{a^2 + h^2})} = \frac{\pi a h^2}{(a + \sqrt{a^2 + h^2})^3} $$

ここで、分母分子を $a^3$ で割ると

$$ R = \frac{\pi \left(\frac{h}{a}\right)^2}{\left(1 + \sqrt{1 + \left(\frac{h}{a}\right)^2}\right)^3} $$

となるので、$x = \frac{h}{a}$ ($x>0$) とおく。さらに $t = \sqrt{1 + x^2}$ とおくと、$x>0$ より $t>1$ であり $x^2 = t^2 - 1$ となる。 これを $R$ の式に代入すると、

$$ R = \frac{\pi (t^2 - 1)}{(1 + t)^3} = \frac{\pi (t - 1)(t + 1)}{(t + 1)^3} = \frac{\pi (t - 1)}{(t + 1)^2} $$

$f(t) = \frac{\pi (t - 1)}{(t + 1)^2}$ とおき、$t>1$ の範囲で微分すると

$$ f'(t) = \pi \frac{1 \cdot (t + 1)^2 - (t - 1) \cdot 2(t + 1)}{(t + 1)^4} = \pi \frac{(t + 1) - 2(t - 1)}{(t + 1)^3} = \frac{\pi (3 - t)}{(t + 1)^3} $$

$f'(t) = 0$ となるのは $t = 3$ のときである。$t>1$ における $f(t)$ の増減表は以下のようになる。

$t$ $(1)$ $\cdots$ $3$ $\cdots$
$f'(t)$ $+$ $0$ $-$
$f(t)$ $\nearrow$ 極大かつ最大 $\searrow$

増減表より、$t=3$ のとき $R$ は最大となる。 このとき $x^2 = 3^2 - 1 = 8$ より $x = 2\sqrt{2}$ であり、$h = 2\sqrt{2}a$ という条件を満たす正四角錐が確かに存在する。 最大値は

$$ f(3) = \frac{\pi (3 - 1)}{(3 + 1)^2} = \frac{2\pi}{16} = \frac{\pi}{8} $$

解法2

正四角錐 $V$ の頂点を P、底面の正方形の中心を O とする。O を通り底面の辺に平行な平面で $V$ を切った断面の二等辺三角形において、頂角の半分を $\theta$ とおく。

図形的性質から $0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ である。 $V$ の高さを $h$ とすると、底面の正方形の1辺の長さは $2h\tan\theta$ となる。

球 $S$ の半径を $r$ とすると、球の中心から側面の三角形に下ろした垂線の長さも $r$ であり、直角三角形の幾何的関係から

$$ \sin\theta = \frac{r}{h - r} $$

が成り立つ。これを $r$ について解くと

$$ h\sin\theta - r\sin\theta = r \iff r = \frac{h\sin\theta}{1 + \sin\theta} $$

となる。

次に $V$ の表面積を計算する。底面積は $(2h\tan\theta)^2 = 4h^2\tan^2\theta$ である。 側面の三角形の高さは断面の二等辺三角形の斜辺の長さに等しく $\frac{h}{\cos\theta}$ であるから、側面積の合計は

$$ 4 \times \left( \frac{1}{2} \cdot 2h\tan\theta \cdot \frac{h}{\cos\theta} \right) = \frac{4h^2\sin\theta}{\cos^2\theta} $$

よって、$V$ の表面積は

$$ 4h^2\tan^2\theta + \frac{4h^2\sin\theta}{\cos^2\theta} = 4h^2 \left( \frac{\sin^2\theta + \sin\theta}{\cos^2\theta} \right) = \frac{4h^2\sin\theta(1 + \sin\theta)}{\cos^2\theta} $$

一方、球 $S$ の表面積は

$$ 4\pi r^2 = \frac{4\pi h^2\sin^2\theta}{(1 + \sin\theta)^2} $$

である。したがって、比 $R$ は

$$ R = \frac{\frac{4\pi h^2\sin^2\theta}{(1 + \sin\theta)^2}}{\frac{4h^2\sin\theta(1 + \sin\theta)}{\cos^2\theta}} = \frac{\pi\sin\theta\cos^2\theta}{(1 + \sin\theta)^3} $$

ここで $\cos^2\theta = 1 - \sin^2\theta = (1 - \sin\theta)(1 + \sin\theta)$ を用いると、

$$ R = \frac{\pi\sin\theta(1 - \sin\theta)(1 + \sin\theta)}{(1 + \sin\theta)^3} = \frac{\pi\sin\theta(1 - \sin\theta)}{(1 + \sin\theta)^2} $$

となる。$s = \sin\theta$ とおくと、$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より $0 < s < 1$ である。 $g(s) = \frac{\pi s(1 - s)}{(1 + s)^2}$ とおいて微分すると

$$ g'(s) = \pi \frac{(1 - 2s)(1 + s)^2 - (s - s^2) \cdot 2(1 + s)}{(1 + s)^4} = \pi \frac{(1 - 2s)(1 + s) - 2s(1 - s)}{(1 + s)^3} = \frac{\pi (1 - 3s)}{(1 + s)^3} $$

$g'(s) = 0$ となるのは $s = \frac{1}{3}$ のときである。 $0 < s < 1$ において、増減表は以下のようになる。

$s$ $(0)$ $\cdots$ $\frac{1}{3}$ $\cdots$ $(1)$
$g'(s)$ $+$ $0$ $-$
$g(s)$ $\nearrow$ 極大かつ最大 $\searrow$

増減表より、$s = \frac{1}{3}$ のとき $R$ は最大となる。 最大値は

$$ g\left(\frac{1}{3}\right) = \frac{\pi \cdot \frac{1}{3} \cdot \frac{2}{3}}{\left(1 + \frac{1}{3}\right)^2} = \frac{\frac{2\pi}{9}}{\frac{16}{9}} = \frac{\pi}{8} $$

解説

本問は空間図形の計量と、1変数関数の最大値を求める問題の融合である。 空間図形の問題では、対象となる立体を対称面で切断し、平面図形に帰着させて考えるのが定石である。本問では、底面の正方形の中心を通り辺に平行な平面で切断することで、正四角錐を二等辺三角形に、内接球をその内接円に帰着させることができる。

また、相似な立体において表面積の比は一定であるという性質があるため、文字を2つ用いて立式した場合でも、変数の比(あるいは角度)を新たな変数とすることで実質的に1変数の最大・最小問題に帰着させることができる。立式後、式の形を見て適切に置換(解法1における $t$ や解法2における $\sin\theta$)を行うことで、微分計算の負担を大幅に減らし、計算ミスを防ぐことができる。

答え

$$ \frac{\pi}{8} $$

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