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大阪大学 2000年 理系 第5問 解説

数学1/立体図形数学1/図形計量テーマ/空間図形テーマ/最大・最小
大阪大学 2000年 理系 第5問 解説

方針・初手

立方体の1辺の長さを $a$、球の半径を $r$ とし、体積が等しいという条件から $a$ と $r$ の大小関係を定量的に評価する。この関係を用いて、立方体の頂点間の距離や、辺を含む直線と球の中心との距離を球の半径 $r$(または直径 $2r$)と比較することで、球の内部に含めることができる頂点や辺の最大数を論理的に絞り込む。

解法1

(1)

立方体の1辺の長さを $a$、球の半径を $r$ とする。両者の体積が等しいので、以下の関係が成り立つ。

$$ a^3 = \frac{4}{3}\pi r^3 $$

$\pi = 3.14\cdots > 3.14$ であるから、以下のように評価できる。

$$ a^3 > \frac{4 \times 3.14}{3} r^3 = \frac{12.56}{3} r^3 > 4 r^3 $$

球の直径 $2r$ と立方体の面対角線の長さ $\sqrt{2}a$ を比較する。

$$ (\sqrt{2}a)^3 = 2\sqrt{2} a^3 = 2\sqrt{2} \cdot \frac{4}{3}\pi r^3 = \frac{8\sqrt{2}\pi}{3} r^3 $$

$\sqrt{2} > 1.41$, $\pi > 3.14$ より、係数を評価する。

$$ \frac{8\sqrt{2}\pi}{3} > \frac{8 \times 1.41 \times 3.14}{3} = \frac{35.4192}{3} > 11 > 8 $$

したがって、$(\sqrt{2}a)^3 > 8r^3 = (2r)^3$ となり、$\sqrt{2}a > 2r$ が成り立つ。

球の直径が $\sqrt{2}a$ よりも短いため、距離が $\sqrt{2}a$ 以上離れた2つの点が同時に球の内部に含まれることはない。 立方体の8つの頂点を、隣り合わない4点ずつの2つのグループ(2つの正四面体)に分けると、同じグループに属する任意の2頂点間の距離は $\sqrt{2}a$ である。したがって、各グループから球の内部に含まれる頂点は最大1個である。 ゆえに、球の内部に含まれる頂点の数は最大でも $1+1=2$ 個である。

一方、立方体の隣り合う2頂点(距離 $a$)について考える。

$$ a^3 = \frac{4}{3}\pi r^3 < \frac{4 \times 4}{3} r^3 < 8r^3 = (2r)^3 $$

より $a < 2r$ が成り立つ。 したがって、立方体の1つの辺の中点に球の中心を一致させたとき、その辺の両端の2頂点は中心からの距離が $\frac{a}{2} < r$ となり、同時に球の内部に含まれる。 以上より、最大2個の頂点が含まれるようにできる。

(2)

立方体の辺が球の内部と共通の点を持つ条件は、球の中心から辺(を含む直線)までの距離が $r$ 未満で、かつ交差位置が辺の線分上にあることである。 球の中心を $(x, y, z)$ とし、立方体の頂点を $0 \le x \le a, 0 \le y \le a, 0 \le z \le a$ の範囲にとる。 まず $r^2$ の評価を行う。

$$ r^3 = \frac{3}{4\pi}a^3 $$

$\pi > 3.14$ より $\frac{3}{4\pi} < \frac{3}{12.56} \approx 0.2388$ であり、

$$ r^2 = \left(\frac{3}{4\pi}\right)^{\frac{2}{3}} a^2 \approx 0.385 a^2 < \frac{1}{2}a^2 $$

z軸に平行な4本の辺との距離の平方 $d_1^2, d_2^2, d_3^2, d_4^2$ はそれぞれ以下のように表される。

$$ \begin{aligned} d_1^2 &= x^2+y^2 \\ d_2^2 &= (a-x)^2+y^2 \\ d_3^2 &= x^2+(a-y)^2 \\ d_4^2 &= (a-x)^2+(a-y)^2 \end{aligned} $$

これらから2つを選んだときの和を評価する。対角にある辺(例えば $d_1$ と $d_4$)については、

$$ d_1^2 + d_4^2 = x^2+y^2 + (a-x)^2+(a-y)^2 = 2\left(x-\frac{a}{2}\right)^2 + 2\left(y-\frac{a}{2}\right)^2 + a^2 \ge a^2 $$

$a^2 > 2r^2$ であるから、対角の2辺が同時に球と交わることはない。 隣り合う3本(例えば $d_1, d_2, d_3$)が同時に交わると仮定すると、

$$ d_1^2 + d_2^2 = 2\left(x-\frac{a}{2}\right)^2 + \frac{1}{2}a^2 + 2y^2 < 2r^2 $$

$$ 2y^2 < 2r^2 - \frac{1}{2}a^2 < 2(0.385a^2) - 0.5a^2 = 0.27a^2 $$

より $y^2 < 0.135a^2$ となる。同様に $d_1^2 + d_3^2 < 2r^2$ より $x^2 < 0.135a^2$ となる。 しかしこのとき、$x < \sqrt{0.135}a \approx 0.367a$ となり、$a-x > 0.633a$ より $(a-x)^2 > 0.4a^2$ となる。 したがって $d_2^2 = (a-x)^2+y^2 > 0.4a^2 > 0.385a^2 > r^2$ となり、$d_2 < r$ であることに矛盾する。 ゆえに、どの方向の平行な4本についても、球と交わるのは最大2本である。これにより、全体で交わる辺は最大でも $2 \times 3 = 6$ 本以下であるとわかる。

さらに、6本の辺と交わると仮定すると、x, y, zの各方向についてちょうど2本の辺と交わる必要がある。 ある方向で2本の辺と交わる場合、上記の評価からそれらは隣り合う2辺であり、球の中心座標はある1つの軸成分が $0$ または $a$ に近く(面に近い)、もう1つの軸成分が $\frac{a}{2}$ に近い(中央)必要がある。 具体的には以下を満たす必要がある。

これらを同時に満たす点 $(x,y,z)$ を探す。対称性を考慮して $x \approx \frac{a}{2}$ かつ $y \approx 0$ と仮定すると、y方向で2辺と交わるためには $x \approx 0, a$(矛盾)または $z \approx 0, a$ が必要となる。 そこで $x \approx \frac{a}{2}, y \approx 0, z \approx 0$ とすると、残るx方向の条件である「$y \approx \frac{a}{2}$ または $z \approx \frac{a}{2}$」を満たすことができず矛盾する。 したがって、各方向で2本ずつ交わるような点は存在せず、6本の辺と交わることは不可能である。ゆえに最大本数は5本以下である。

実際に5本の辺と交わる配置は存在する。球の中心を立方体の1つの辺の中点 $\left(\frac{a}{2}, 0, 0\right)$ に一致させたとき、

$r^2 \approx 0.385a^2 > 0.25a^2 = (0.5a)^2$ より、これら5本の辺への距離はすべて $r$ 未満となり、辺と交わる。 よって、最大5本の辺と共通点を持つようにできる。

解説

空間図形における幾何的な直感を、不等式を用いた定量的な評価に落とし込めるかを問う難問である。体積が等しいという条件から $a$ と $r$ の比が決まるため、立方体の特徴的な長さ(辺、面対角線など)と球の直径を比較することが第一歩となる。(2) においては、距離の2乗の和の評価を用いて、特定のグループ内で交わる辺の数の上限を論理的に絞り込む手法が有効である。

答え

(1)

2個

(2)

5個

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