九州大学 1991年 理系 第1問 解説

方針・初手
正四角錐とそれに内接する球の断面を考える問題である。 空間図形のまま扱うのではなく、適切な平面で切断して平面図形の問題に帰着させるのが定石である。 本問では、底面である正方形の各辺の中点を結ぶ平面で切断し、直角三角形の相似を利用して高さを求める。 (2)では(1)で求めた関数について、微分を用いて最小値を求める。
解法1
(1)
正方形 $ABCD$ の辺 $AB$ の中点を $M$ とし、四角錐の高さ $\overline{EO}$ を $h$ とおく。 頂点 $E$ は底面の中心 $O$ の真上にあるため、四角錐に内接する球の中心 $I$ は線分 $EO$ 上にある。 内接球の半径は $1$ であり、底面とは中心 $O$ で接するため、$IO = 1$ である。 また、内接球は側面 $\triangle EAB$ とも接する。この接点を $H$ とすると、対称性から $H$ は線分 $EM$ 上にある。 このとき、点 $I$ と $EM$ 上の接点 $H$ を結ぶ線分は $EM$ と垂直に交わり、$IH = 1$ となる。
$\triangle EOM$ と $\triangle EHI$ において、 $\angle E$ は共通であり、$\angle EOM = \angle EHI = 90^\circ$ であるから、
$$\triangle EOM \sim \triangle EHI$$
が成り立つ。
これより、辺の比について
$$EI : IH = EM : OM$$
が成り立つ。
各線分の長さは、問題の条件より
$$OM = \frac{x}{2}$$
$$EI = EO - IO = h - 1$$
$$IH = 1$$
であり、直角三角形 $EOM$ における三平方の定理より
$$EM = \sqrt{EO^2 + OM^2} = \sqrt{h^2 + \frac{x^2}{4}}$$
であるから、これらを代入して
$$h - 1 : 1 = \sqrt{h^2 + \frac{x^2}{4}} : \frac{x}{2}$$
となる。
内項の積と外項の積は等しいから
$$(h - 1) \cdot \frac{x}{2} = \sqrt{h^2 + \frac{x^2}{4}}$$
となる。四角錐の内部に半径 $1$ の球が存在するためには $h > 2$ でなければならない。よって $h - 1 > 0$ であり、$x > 0$ であるから両辺は正である。 両辺を $2$ 乗して整理する。
$$\frac{x^2}{4} (h - 1)^2 = h^2 + \frac{x^2}{4}$$
$$\frac{x^2}{4} (h^2 - 2h + 1) = h^2 + \frac{x^2}{4}$$
$$\frac{x^2}{4} h^2 - \frac{x^2}{2} h = h^2$$
$h > 0$ より両辺を $h$ で割ると
$$\frac{x^2}{4} h - \frac{x^2}{2} = h$$
$$h \left( \frac{x^2}{4} - 1 \right) = \frac{x^2}{2}$$
$$h \left( \frac{x^2 - 4}{4} \right) = \frac{x^2}{2}$$
ここで $h > 0$ かつ $\frac{x^2}{2} > 0$ であるから、$\frac{x^2 - 4}{4} > 0$ すなわち $x > 2$ である。 したがって、$h$ は次のように求まる。
$$h = \frac{2x^2}{x^2 - 4}$$
(2)
四角錐 $ABCDE$ の体積を $V$ とすると、底面積は $x^2$、高さは $h = \frac{2x^2}{x^2 - 4}$ であるから
$$V = \frac{1}{3} \cdot x^2 \cdot h = \frac{1}{3} x^2 \cdot \frac{2x^2}{x^2 - 4} = \frac{2x^4}{3(x^2 - 4)}$$
となる。
$t = x^2$ とおくと、(1)より $x > 2$ であるから $t > 4$ である。 このとき、$V$ を $t$ の関数 $f(t)$ として表すと
$$f(t) = \frac{2t^2}{3(t - 4)}$$
となる。これを $t$ で微分すると
$$f'(t) = \frac{2}{3} \cdot \frac{2t(t - 4) - t^2 \cdot 1}{(t - 4)^2} = \frac{2}{3} \cdot \frac{t^2 - 8t}{(t - 4)^2} = \frac{2t(t - 8)}{3(t - 4)^2}$$
となる。
$t > 4$ において $f'(t) = 0$ となるのは $t = 8$ のときである。 増減表は以下のようになる。
| $t$ | $(4)$ | $\cdots$ | $8$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|
| $f'(t)$ | $-$ | $0$ | $+$ | |
| $f(t)$ | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ |
増減表より、$f(t)$ は $t = 8$ のとき極小かつ最小となる。 このとき、$x^2 = 8$ と $x > 2$ より $x = 2\sqrt{2}$ である。
また、最小値は
$$f(8) = \frac{2 \cdot 8^2}{3(8 - 4)} = \frac{128}{12} = \frac{32}{3}$$
となる。
解説
立体図形に球が内接する問題の典型であり、空間図形のまま考えるのではなく、適切な平面による断面を考えることが定石である。 本問では、底面の中心を通り辺に垂直な平面( $\triangle EOM$ を含む平面 )で切断すると、内接球の大円の一部が現れ、直角三角形の相似関係から高さをスムーズに立式できる。 (2) は(1)で求めた関数を微分する計算問題だが、$t = x^2$ と置換することで微分計算の負担を大きく軽減できる。
答え
(1) $\overline{EO} = \frac{2x^2}{x^2 - 4}$
(2) $x = 2\sqrt{2}$ のとき、最小値 $\frac{32}{3}$
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