大阪大学 2003年 理系 第5問 解説

方針・初手
問題の条件である「主軸が座標軸に平行で $x$ 軸、$y$ 軸の両方に接する」ことから、中心座標と長短半径の関係を定式化する。中心の $x$ 座標を $a$、$y$ 座標を $b$ とおけば、長短半径は $|a|, |b|$ となる。 この楕円が点 $\text{A}(1, 2)$ を通るという条件を立式し、それが実数 $b \neq 0$ の解をもつための $a$ の条件に帰着させる。
解法1
(1)
求める楕円の主軸は座標軸に平行で、$x$ 軸および $y$ 軸の両方に接する。 中心の $x$ 座標が $a$ であることから、中心の $y$ 座標を $b$ とおくと、楕円の長半径および短半径はそれぞれ $|a|, |b|$ となる。 したがって、この楕円の方程式は次のように表される。
$$ \frac{(x-a)^2}{a^2} + \frac{(y-b)^2}{b^2} = 1 \quad (a \neq 0, b \neq 0) $$
この楕円が点 $\text{A}(1, 2)$ を通るため、座標を代入して以下の式を得る。
$$ \frac{(1-a)^2}{a^2} + \frac{(2-b)^2}{b^2} = 1 $$
これを変形すると、
$$ \left(\frac{1}{a} - 1\right)^2 + \left(\frac{2}{b} - 1\right)^2 = 1 $$
$$ \left(\frac{2}{b} - 1\right)^2 = 1 - \left(\frac{1}{a} - 1\right)^2 = \frac{2a-1}{a^2} \quad \cdots \text{①} $$
このような楕円が存在するための条件は、①を満たす $0$ でない実数 $b$ が存在することである。 ここで、$b$ は $0$ でない任意の実数をとるため、$X = \frac{2}{b} - 1$ とおくと、$X$ は $-1$ 以外のすべての実数値をとる。 よって、条件は「$X^2 = \frac{2a-1}{a^2}$ を満たす $X \neq -1$ なる実数 $X$ が存在すること」に帰着する。
まず、左辺は $X^2 \ge 0$ であるから、右辺も $0$ 以上でなければならない。 $a \neq 0$ より $a^2 > 0$ であるため、
$$ 2a - 1 \ge 0 \iff a \ge \frac{1}{2} $$
このとき、①の実数解は $X = \pm \frac{\sqrt{2a-1}}{|a|}$ となる。 もしこの解が $X = -1$ のみとなる場合、条件を満たす $b$ は存在しない。 $X^2 = 1$ となるのは、$\frac{2a-1}{a^2} = 1$ より $a^2 - 2a + 1 = 0$、すなわち $a = 1$ のときである。 $a=1$ のとき、$X^2 = 1$ より解は $X = 1, -1$ となる。 解として $X=1$ が含まれており、これは $X \neq -1$ を満たすため、対応する $b$ ($b=1$) が存在する。
以上より、求める $a$ の範囲は
$$ a \ge \frac{1}{2} $$
(2)
(1) の議論より、楕円がちょうど2つ存在するための条件は、①が $-1$ でない相異なる2つの実数解をもつことである。 ①が相異なる2つの実数解をもつ条件は、$\frac{2a-1}{a^2} > 0$ より $a > \frac{1}{2}$ である。 また、その解の1つが $-1$ となるのは $a = 1$ のときであり、このとき解は $X = 1, -1$ となり、$X \neq -1$ を満たす解は1つしかないため、楕円は1つしか存在しない。 よって、楕円がちょうど2つ存在するような $a$ の条件は、
$$ a > \frac{1}{2} \quad \text{かつ} \quad a \neq 1 $$
である。このとき、$a > 0$ より $|a| = a$ であるから、①の2解に対応する $b$ の値を $b_1, b_2$ とすると、
$$ \frac{2}{b} - 1 = \pm \frac{\sqrt{2a-1}}{a} $$
$$ \frac{2}{b} = \frac{a \pm \sqrt{2a-1}}{a} $$
$$ b = \frac{2a}{a \pm \sqrt{2a-1}} $$
中心 $\text{B}, \text{C}$ の座標は $(a, b_1), (a, b_2)$ であり、$x$ 座標が等しい。したがって、線分 $\text{BC}$ は $y$ 軸に平行であり、その長さは $|b_1 - b_2|$ である。
$$ \text{BC} = |b_1 - b_2| = \left| \frac{2a}{a - \sqrt{2a-1}} - \frac{2a}{a + \sqrt{2a-1}} \right| $$
$$ = \left| \frac{2a(a + \sqrt{2a-1}) - 2a(a - \sqrt{2a-1})}{a^2 - (2a - 1)} \right| = \frac{4a\sqrt{2a-1}}{(a-1)^2} $$
$\triangle \text{ABC}$ について、底辺を $\text{BC}$ とすると、高さは点 $\text{A}(1, 2)$ と直線 $x=a$ の距離 $|a-1|$ である。 したがって、面積 $S(a)$ は
$$ S(a) = \frac{1}{2} \cdot \text{BC} \cdot |a-1| = \frac{1}{2} \cdot \frac{4a\sqrt{2a-1}}{(a-1)^2} \cdot |a-1| = \frac{2a\sqrt{2a-1}}{|a-1|} $$
次に、$S(a)$ の増減を調べる。 $a > 1$ のとき、$|a-1| = a-1$ より、
$$ S(a) = \frac{2a\sqrt{2a-1}}{a-1} $$
これを $a$ で微分する。
$$ S'(a) = \frac{ \left( 2\sqrt{2a-1} + 2a \cdot \frac{1}{\sqrt{2a-1}} \right)(a-1) - 2a\sqrt{2a-1} }{(a-1)^2} $$
$$ = \frac{ (4a-2+2a)(a-1) - 2a(2a-1) }{(a-1)^2 \sqrt{2a-1}} = \frac{ 6a^2-8a+2 - 4a^2+2a }{(a-1)^2 \sqrt{2a-1}} = \frac{ 2(a^2-3a+1) }{(a-1)^2 \sqrt{2a-1}} $$
$S'(a) = 0$ とすると、$a^2-3a+1=0$ より $a = \frac{3 \pm \sqrt{5}}{2}$ である。 $a > 1$ より極値をとる $a$ は $a = \frac{3+\sqrt{5}}{2}$ のみである。
$\frac{1}{2} < a < 1$ のとき、$|a-1| = -(a-1)$ より、
$$ S(a) = -\frac{2a\sqrt{2a-1}}{a-1} $$
となり、$S'(a) = -\frac{ 2(a^2-3a+1) }{(a-1)^2 \sqrt{2a-1}}$ である。 この区間では $\frac{3-\sqrt{5}}{2} \approx 0.38 < \frac{1}{2}$ より常に $a^2-3a+1 < 0$ となるため、$S'(a) > 0$ である。
また、極限を調べると、
$$ \lim_{a \to \frac{1}{2}+0} S(a) = 0 $$
$$ \lim_{a \to 1} S(a) = \infty $$
$$ \lim_{a \to \infty} S(a) = \lim_{a \to \infty} \frac{2a\sqrt{a}\sqrt{2-\frac{1}{a}}}{a\left(1-\frac{1}{a}\right)} = \infty $$
ここで、$a = \alpha = \frac{3+\sqrt{5}}{2}$ における極小値 $S(\alpha)$ を計算する。$\alpha^2 - 3\alpha + 1 = 0$ より $(\alpha-1)^2 = \alpha$ である。
$$ S(\alpha)^2 = \frac{4\alpha^2(2\alpha-1)}{(\alpha-1)^2} = \frac{4\alpha^2(2\alpha-1)}{\alpha} = 4\alpha(2\alpha-1) = 4(2\alpha^2-\alpha) $$
$\alpha^2 = 3\alpha-1$ を代入して整理すると、
$$ S(\alpha)^2 = 4(2(3\alpha-1)-\alpha) = 4(5\alpha-2) = 4\left(5 \cdot \frac{3+\sqrt{5}}{2} - 2\right) = 22 + 10\sqrt{5} $$
したがって、極小値は $S(\alpha) = \sqrt{22 + 10\sqrt{5}}$ である。 増減表は以下のようになる。
| $a$ | $\left(\frac{1}{2}\right)$ | $\cdots$ | $(1)$ | $\cdots$ | $\frac{3+\sqrt{5}}{2}$ | $\cdots$ |
|---|---|---|---|---|---|---|
| $S'(a)$ | $+$ | $-$ | $0$ | $+$ | ||
| $S(a)$ | $(0)$ | $\nearrow$ | $\infty$ | $\searrow$ | 極小 | $\nearrow$ |
グラフは $a=1/2$ のとき $0$ から出発し、$a=1$ を漸近線として単調に増加する。また $a>1$ 側では $a=1$ の漸近線から下降して極小値をとり、その後再び発散する概形となる。
解説
図形の方程式を文字で設定し、通る点の条件から未知数についての方程式へと帰着させる問題である。 (1) では「方程式が実数解をもつ条件」を考えるが、$b$ が分母にあることから $b \neq 0$(すなわち $X \neq -1$)という除外条件に注意する必要がある。解が2つあるうちの1つが除外条件に抵触する場合($a=1$ のとき)の丁寧な確認がポイントとなる。 (2) は面積を関数として立式し、微分によって増減を調べる計算問題である。絶対値記号が含まれるため、場合分けをして符号を正しく処理することが求められる。極小値の計算では、直接代入するのではなく、方程式 $a^2-3a+1=0$ を用いた次数下げを行うと計算ミスを防ぎやすい。
答え
(1)
$a \ge \frac{1}{2}$
(2)
$S(a)$ のグラフは直線 $a=1$ を漸近線とし、以下の特徴をもつ。
- $\frac{1}{2} < a < 1$ において単調増加し、$\lim_{a \to \frac{1}{2}+0} S(a) = 0$。
- $a > 1$ において、 $a = \frac{3+\sqrt{5}}{2}$ で極小値 $\sqrt{22+10\sqrt{5}}$ をとる。
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