大阪大学 2003年 理系 第4問 解説

方針・初手
与えられた関数方程式 $a_{kl} = a_k + a_l$ が、対数関数の性質 $\log(xy) = \log x + \log y$ と一致することに着目して解き進める。 (1)は、指数と対数の性質を用いて実数の区間の被覆を考える。 (2)は、数列の強意単調増加性と $a_{k^n} = n a_k$ という性質を用いて評価式を作り、(1)の対数の評価式と辺々を比較する。 (3)は、(2)で得られた不等式において $n \to \infty$ の極限をとることで、数列の一般項を決定する。
解法1
(1)
$k, l$ を2以上の自然数とし、$n$ を自然数とする。 不等式 $l^{m-1} \leqq k^n < l^m$ について、すべての辺は正であるから、底を $e$ とする自然対数をとると、
$$ (m-1)\log l \leqq n \log k < m \log l $$
となる。$l \geqq 2$ より $\log l > 0$ であるから、各辺を $\log l$ で割ると、
$$ m - 1 \leqq n \frac{\log k}{\log l} < m $$
となる。 ここで、$k \geqq 2$, $n \geqq 1$, $\log l > 0$ であるから、$n \frac{\log k}{\log l}$ は正の実数である。 任意の実数 $x$ に対して、$N \leqq x < N+1$ をみたす整数 $N$ がただ1つ存在し、特に $x > 0$ ならば $N \geqq 0$ である。 したがって、$m-1 = N$ とおけば、$m = N+1 \geqq 1$ となり、条件をみたす自然数 $m$ がただ1つ存在することが示された。
(2)
与えられた条件 $a_{kl} = a_k + a_l$ を用いて、任意の自然数 $n$ について $a_{k^n} = n a_k$ が成り立つことを数学的帰納法で示す。
(i)
$n=1$ のとき
$a_{k^1} = 1 \cdot a_k$ であり、成立する。
(ii)
$n=p$ のとき
$a_{k^p} = p a_k$ が成り立つと仮定する。 $n=p+1$ のとき、
$$ a_{k^{p+1}} = a_{k^p \cdot k} = a_{k^p} + a_k = p a_k + a_k = (p+1) a_k $$
となり、$n=p+1$ のときも成立する。 (i)、(ii) より、任意の自然数 $n$ について $a_{k^n} = n a_k$ が成り立つ。
また、$a_{kl} = a_k + a_l$ において $k=1, l=1$ とすると、$a_1 = a_1 + a_1$ より $a_1 = 0$ である。 条件より数列 $\{a_k\}$ は $a_k < a_{k+1}$ をみたす単調増加数列であるから、自然数 $x, y$ に対して $x < y$ ならば $a_x < a_y$、 $x \leqq y$ ならば $a_x \leqq a_y$ が成り立つ。 (1)より、ある自然数 $m$ が存在して $l^{m-1} \leqq k^n < l^m$ が成り立つから、単調増加性を用いて各辺の $a$ の項を考えると、
$$ a_{l^{m-1}} \leqq a_{k^n} < a_{l^m} $$
となる。ここで $a_{l^{m-1}} = (m-1)a_l$、$a_{k^n} = n a_k$、$a_{l^m} = m a_l$ であるから、
$$ (m-1)a_l \leqq n a_k < m a_l $$
となる。$l \geqq 2$ のとき $a_l > a_1 = 0$、また $n \geqq 1$ であるから、各辺を $n a_l (>0)$ で割ると、
$$ \frac{m-1}{n} \leqq \frac{a_k}{a_l} < \frac{m}{n} $$
を得る。 一方で、(1)の証明中で示したように、
$$ m-1 \leqq n \frac{\log k}{\log l} < m $$
が成り立つので、各辺を $n$ で割ると、
$$ \frac{m-1}{n} \leqq \frac{\log k}{\log l} < \frac{m}{n} $$
すなわち、
$$ - \frac{m}{n} < - \frac{\log k}{\log l} \leqq - \frac{m-1}{n} $$
となる。 これら2つの不等式を辺々加えると、
$$ \frac{m-1}{n} - \frac{m}{n} < \frac{a_k}{a_l} - \frac{\log k}{\log l} < \frac{m}{n} - \frac{m-1}{n} $$
$$ - \frac{1}{n} < \frac{a_k}{a_l} - \frac{\log k}{\log l} < \frac{1}{n} $$
となり、示された。
(3)
(2)で得られた不等式において、$l=2$ とすると、
$$ - \frac{1}{n} < \frac{a_k}{a_2} - \frac{\log k}{\log 2} < \frac{1}{n} $$
となる。ここで $n$ は任意の自然数である。 $n \to \infty$ の極限をとると、$-\frac{1}{n} \to 0$ かつ $\frac{1}{n} \to 0$ であるから、はさみうちの原理より、
$$ \frac{a_k}{a_2} - \frac{\log k}{\log 2} = 0 $$
$$ \frac{a_k}{a_2} = \frac{\log k}{\log 2} = \log_2 k $$
となる。$a_2 = a$ であるから、
$$ a_k = a \log_2 k $$
となる。 なお、単調増加性より $a_2 > a_1 = 0$ なので $a > 0$ である。このとき、求めた一般項 $a_k = a \log_2 k$ は、$a_{kl} = a \log_2(kl) = a \log_2 k + a \log_2 l = a_k + a_l$ を満たし、さらに $k \geqq 1$ において単調増加性も満たすので、十分性を満たしている。
解説
関数方程式 $f(xy) = f(x) + f(y)$ をみたす単調増加な関数が対数関数 $f(x) = c \log x$ に限られるという、いわゆるコーシーの関数方程式の一種を背景とした問題である。 本問では、関数の定義域が自然数(数列)に制限されているが、不等式で挟み込んで極限をとるという解析的なアプローチで一般項を決定できる。 (1)や(2)の誘導に素直に従えば(3)の $n \to \infty$ の極限は自然に見えるが、(2)の不等式の両辺の差の評価を「辺々を引く(マイナスを掛けてから足す)」ことで正確に行う部分が重要になる。
答え
(1)
略証(解法1参照)
(2)
略証(解法1参照)
(3)
$a_k = a \log_2 k$
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