大阪大学 2013年 理系 第4問 解説

方針・初手
空間図形を回転させた立体の体積を求める問題である。まずは、$x$ 軸まわりに回転させてできる円すい $V$ の領域を、$x, y, z$ の不等式で表す。
次に、この円すい $V$ を $y$ 軸まわりに回転させた立体の体積を求めるため、回転軸である $y$ 軸に垂直な平面 $y=t$ で立体を切断する。回転体の平面 $y=t$ における切り口は、円すい $V$ の平面 $y=t$ における断面上の点について、原点からの距離の2乗 $x^2+z^2$ の最大値と最小値を調べることで決定できる。
あるいは、点 $(x, y, z)$ が回転後の立体に含まれるための条件を、同値変形によって直接求める方法も有効である。
解法1
$xy$ 平面上の三角形 $OAB$ は、頂点が $O(0,0,0)$、 $A(1,0,0)$、 $B(1,1,0)$ であり、その周および内部は
$$ 0 \le x \le 1, \quad 0 \le y \le x, \quad z=0 $$
で表される領域である。 これを $x$ 軸のまわりに回転させてできる円すい $V$ は、各 $x \in [0, 1]$ において $yz$ 平面に平行な断面が半径 $x$ の円となるため、次の不等式で表される。
$$ y^2 + z^2 \le x^2, \quad 0 \le x \le 1 $$
この円すい $V$ を $y$ 軸のまわりに回転させた立体を $W$ とし、その体積を求める。 立体 $W$ を $y$ 軸に垂直な平面 $y=t$ で切断し、その断面積 $S(t)$ を求める。 円すい $V$ を平面 $y=t$ で切断したときの断面 $D_t$ は、
$$ t^2 + z^2 \le x^2, \quad 0 \le x \le 1 $$
で表される。実数 $x, z$ が存在するためには $x^2 \ge t^2$ すなわち $x \ge |t|$ であり、$x \le 1$ より $-1 \le t \le 1$ である。
断面 $D_t$ の点を $y$ 軸のまわりに回転させると、$xz$ 平面上における原点からの距離 $r = \sqrt{x^2+z^2}$ を半径とする円を描く。したがって、回転後の平面 $y=t$ における切り口は、$r^2 = x^2+z^2$ の最大値と最小値によって定まる円環領域となる。
断面 $D_t$ における $r^2$ の最大値と最小値を調べる。
$$ r^2 = x^2 + z^2 $$
不等式 $z^2 \le x^2 - t^2$ を用いると、
$$ r^2 = x^2 + z^2 \le x^2 + (x^2 - t^2) = 2x^2 - t^2 $$
$0 \le x \le 1$ より $x^2 \le 1$ であるから、
$$ 2x^2 - t^2 \le 2 - t^2 $$
等号は、$x=1$ かつ $z^2 = 1 - t^2$ のときに成立する。$-1 \le t \le 1$ のもとでこのような実数 $z$ は存在し、この点は $D_t$ 内にある。よって $r^2$ の最大値は $2 - t^2$ である。
一方、$z^2 \ge 0$ であるから、
$$ r^2 = x^2 + z^2 \ge x^2 $$
不等式 $t^2 + z^2 \le x^2$ より $x^2 \ge t^2$ であるから、
$$ r^2 \ge t^2 $$
等号は、$z=0$ かつ $x=|t|$ のときに成立する。この点も $D_t$ 内にある。よって $r^2$ の最小値は $t^2$ である。
以上より、平面 $y=t$ における立体 $W$ の切り口は、半径 $|t|$ の円の外部かつ半径 $\sqrt{2-t^2}$ の円の内部であり、その断面積 $S(t)$ は、
$$ S(t) = \pi (2 - t^2) - \pi t^2 = 2\pi (1 - t^2) $$
となる。
したがって、求める立体 $W$ の体積は、
$$ \begin{aligned} \int_{-1}^1 S(t) dt &= \int_{-1}^1 2\pi (1 - t^2) dt \\ &= 2\pi \left[ t - \frac{t^3}{3} \right]_{-1}^1 \\ &= 2\pi \left( \frac{2}{3} - \left( -\frac{2}{3} \right) \right) \\ &= \frac{8}{3}\pi \end{aligned} $$
である。
解法2
円すい $V$ の不等式は、解法1と同様に
$$ y^2 + z^2 \le x^2, \quad 0 \le x \le 1 $$
である。 立体 $W$ は、$V$ 内の点を $y$ 軸のまわりに回転させた点の集まりである。 点 $Q(X, Y, Z)$ が立体 $W$ に含まれるための条件は、円すい $V$ 内の点 $P(x, y, z)$ が存在して、
$$ \begin{cases} Y = y \\ X^2 + Z^2 = x^2 + z^2 \end{cases} $$
を満たすことである。 $R^2 = X^2 + Z^2$ とおき、$V$ の条件式に $y=Y$ と $z^2 = R^2 - x^2$ を代入すると、
$$ Y^2 + R^2 - x^2 \le x^2, \quad 0 \le x \le 1 $$
となる。$2x^2 \ge Y^2 + R^2$ より $x^2 \ge \frac{Y^2 + R^2}{2}$ である。 また、$z$ が実数として存在するための条件 $z^2 \ge 0$ より、$x^2 \le R^2$ が必要である。
したがって、求める条件は、$x^2$ についての2つの区間
$$ \left[ \frac{Y^2 + R^2}{2}, R^2 \right] \quad \text{と} \quad [0, 1] $$
が共通部分をもつことである。(ここで $Y^2 \ge 0, R^2 \ge 0$ より $\frac{Y^2 + R^2}{2} \ge 0$ は常に成り立つ) 2つの区間が共通部分をもつ条件は、
$$ \frac{Y^2 + R^2}{2} \le R^2 \quad \text{かつ} \quad \frac{Y^2 + R^2}{2} \le 1 $$
である。これを整理すると、
$$ Y^2 \le R^2 \quad \text{かつ} \quad Y^2 + R^2 \le 2 $$
すなわち、
$$ Y^2 \le X^2 + Z^2 \le 2 - Y^2 $$
となる。この不等式を満たす $(X, Z)$ が存在するためには、$Y^2 \le 2 - Y^2$ より $Y^2 \le 1$ すなわち $-1 \le Y \le 1$ が必要である。
ゆえに、立体 $W$ を平面 $y=Y$ で切断したときの断面は、$X^2 + Z^2$ が $Y^2$ 以上 $2-Y^2$ 以下となる円環領域であり、その面積 $S(Y)$ は、
$$ S(Y) = \pi(2 - Y^2) - \pi Y^2 = 2\pi(1 - Y^2) $$
である。
求める体積は、
$$ \int_{-1}^1 2\pi (1 - Y^2) dY = \frac{8}{3}\pi $$
となる。
解説
空間における回転体の体積を求める問題の典型的な良問である。 2回の回転が組み合わさっているが、1回目の回転後の立体を不等式で立式できれば、あとは通常の回転体の問題に帰着する。
解法1は、回転軸に垂直な平面で切断し、その断面における「回転軸からの距離の最大値・最小値」を調べるという、最もオーソドックスで確実な方針である。最大値や最小値を与える点が、実際にその領域内に存在するかどうかの確認は忘れてはならない。
解法2は、点が回転体に含まれる条件を「方程式・不等式を満たす実数の存在条件」として同値変形していく手法(いわゆるファクシミリの原理の応用)である。変数が多くなるため式の見通しを立てる力が必要であるが、図形的な直感に頼らず代数的に処理できるため、複雑な領域の回転体では非常に強力な武器になる。
答え
$$ \frac{8}{3}\pi $$
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