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東北大学 1965年 理系 第4問 解説

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東北大学 1965年 理系 第4問 解説

方針・初手

与えられた3次方程式を $f(x) = 0$ とおき、2つの条件に分けて処理する。 1つ目の条件「3つの根が互いに異なる実数である」は、$f(x)$ が極値をもち、(極大値)$\times$(極小値)$< 0$ となる条件に言い換えられる。 2つ目の条件「$(\alpha - 1)(\beta - 1)(\gamma - 1) < 0$」は、因数定理による恒等式 $f(x) = (x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)$ に $x=1$ を代入することで、式を簡単に評価できる。 その後、得られた $a, b$ に関する不等式が表す領域の境界線の交点や上下関係を調べ、図示の根拠とする。

解法1

方程式の左辺を $f(x)$ とおく。

$$ f(x) = x^3 - 3ax^2 + 3(a^2 - 1)x - 2b $$

$f(x)$ を $x$ について微分すると

$$ f'(x) = 3x^2 - 6ax + 3(a^2 - 1) = 3(x - a + 1)(x - a - 1) $$

$f'(x) = 0$ となる $x$ の値は $x = a-1, a+1$ である。 $a$ が実数であるとき常に $a-1 < a+1$ が成り立つため、$f(x)$ は常に極値をもつ。 方程式 $f(x) = 0$ が互いに異なる3つの実数解をもつための条件は、極大値と極小値の積が負になることである。 すなわち、$f(a-1)f(a+1) < 0$ が成り立つことである。それぞれの値を計算する。

$$ \begin{aligned} f(a-1) &= (a-1)^3 - 3a(a-1)^2 + 3(a^2-1)(a-1) - 2b \\ &= (a-1)^2 \{ (a-1) - 3a + 3(a+1) \} - 2b \\ &= (a-1)^2 (a+2) - 2b \\ &= a^3 - 3a + 2 - 2b \end{aligned} $$

$$ \begin{aligned} f(a+1) &= (a+1)^3 - 3a(a+1)^2 + 3(a^2-1)(a+1) - 2b \\ &= (a+1)^2 \{ (a+1) - 3a + 3(a-1) \} - 2b \\ &= (a+1)^2 (a-2) - 2b \\ &= a^3 - 3a - 2 - 2b \end{aligned} $$

したがって、求める条件は

$$ (a^3 - 3a + 2 - 2b)(a^3 - 3a - 2 - 2b) < 0 $$

これを $2b$ について解くと

$$ a^3 - 3a - 2 < 2b < a^3 - 3a + 2 $$

さらに $b$ について整理する。

$$ \frac{1}{2}a^3 - \frac{3}{2}a - 1 < b < \frac{1}{2}a^3 - \frac{3}{2}a + 1 \cdots \text{①} $$

次に、$\alpha, \beta, \gamma$ は最高次係数が $1$ である3次方程式 $f(x) = 0$ の解であるから、因数定理より次の恒等式が成り立つ。

$$ f(x) = (x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma) $$

両辺に $x=1$ を代入すると

$$ f(1) = (1-\alpha)(1-\beta)(1-\gamma) = -(\alpha - 1)(\beta - 1)(\gamma - 1) $$

与えられた条件より $(\alpha - 1)(\beta - 1)(\gamma - 1) < 0$ であるから、$-f(1) < 0$ すなわち $f(1) > 0$ となる。

$$ f(1) = 1 - 3a + 3(a^2 - 1) - 2b = 3a^2 - 3a - 2 - 2b $$

これが正となるから

$$ 3a^2 - 3a - 2 - 2b > 0 $$

$b$ について整理する。

$$ b < \frac{3}{2}a^2 - \frac{3}{2}a - 1 \cdots \text{②} $$

以上より、成り立つための条件は不等式①および②を同時に満たすことである。 次に、この条件を満たす点 $(a, b)$ の存在範囲を図示するために、境界となる次の3つの曲線を考える。

$$ \begin{cases} C_1 : b = \frac{1}{2}a^3 - \frac{3}{2}a - 1 \\ C_2 : b = \frac{1}{2}a^3 - \frac{3}{2}a + 1 \\ P : b = \frac{3}{2}a^2 - \frac{3}{2}a - 1 \end{cases} $$

$C_2$ と $P$ の上下関係と交点を調べる。

$$ \begin{aligned} \left( \frac{1}{2}a^3 - \frac{3}{2}a + 1 \right) - \left( \frac{3}{2}a^2 - \frac{3}{2}a - 1 \right) &= \frac{1}{2}a^3 - \frac{3}{2}a^2 + 2 \\ &= \frac{1}{2}(a^3 - 3a^2 + 4) \\ &= \frac{1}{2}(a+1)(a-2)^2 \end{aligned} $$

したがって、$C_2$ と $P$ は $a = -1$ で交わり(交点は $(-1, 2)$)、$a = 2$ で接する(接点は $(2, 2)$)。 $a < -1$ のとき $C_2 < P$ であり、$a > -1$ ($a \neq 2$) のとき $C_2 > P$ である。

同様に、$P$ と $C_1$ の上下関係と交点を調べる。

$$ \begin{aligned} \left( \frac{3}{2}a^2 - \frac{3}{2}a - 1 \right) - \left( \frac{1}{2}a^3 - \frac{3}{2}a - 1 \right) &= -\frac{1}{2}a^3 + \frac{3}{2}a^2 \\ &= -\frac{1}{2}a^2(a-3) \end{aligned} $$

したがって、$P$ と $C_1$ は $a = 0$ で接し(接点は $(0, -1)$)、$a = 3$ で交わる(交点は $(3, 8)$)。 $a < 3$ ($a \neq 0$) のとき $P > C_1$ であり、$a > 3$ のとき $P < C_1$ である。

条件①、②を満たす領域は $C_1$ より上側、かつ $C_2$ より下側、かつ $P$ より下側である。 これを総合すると、存在範囲は次のようになる。 (i) $a \le -1$ のとき $C_1 < b < C_2$ (ii) $-1 < a < 3$ のとき $C_1 < b < P$ (iii) $a \ge 3$ のとき 条件を満たす実数 $b$ は存在しない。

よって、図示する領域は座標平面において上記を満たす範囲となる。境界線はいずれも含まない。

解説

3次方程式が異なる3つの実数解をもつ条件として、「極値をもつ」かつ「(極大値)×(極小値) < 0」を利用する典型問題である。 $(\alpha - 1)(\beta - 1)(\gamma - 1) < 0$ という条件を処理する際、解と係数の関係を用いて式を展開して代入しても解けるが、計算が煩雑になりやすい。因数定理から得られる恒等式 $f(x) = (x-\alpha)(x-\beta)(x-\gamma)$ に $x=1$ を代入することで、素早く $f(1)$ の符号についての条件に帰着させるのが非常に有効な工夫である。 図示においては、3次関数と2次関数のグラフの位置関係を正確に把握するために、2曲線の差の関数を構築し、因数分解によって交点と接点を明らかにするプロセスが不可欠である。

答え

成り立つための条件は

$$ \begin{cases} a^3 - 3a - 2 < 2b < a^3 - 3a + 2 \\ 2b < 3a^2 - 3a - 2 \end{cases} $$

点 $(a, b)$ の存在範囲は、以下の3つの曲線を境界とする領域である。 曲線 $C_1 : b = \frac{1}{2}a^3 - \frac{3}{2}a - 1$ 曲線 $C_2 : b = \frac{1}{2}a^3 - \frac{3}{2}a + 1$ 放物線 $P : b = \frac{3}{2}a^2 - \frac{3}{2}a - 1$ 領域は、$a < -1$ においては曲線 $C_1$ の上側かつ $C_2$ の下側、$-1 \le a < 3$ においては曲線 $C_1$ の上側かつ放物線 $P$ の下側の部分である。(ただし、$a=0$ のときの接点 $(0, -1)$ は領域から除外される。) 境界線はすべて含まない。

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