東北大学 1963年 理系 第4問 解説

方針・初手
点 $P, Q$ は円 $x^2 + y^2 = 1$ 上にあり、線分 $OP, OQ$ は $y$ 軸に関して対称で $\angle POQ = 2\theta$ であることから、それぞれの点の座標を $\theta$ を用いて設定します。問題文には $P, Q$ の左右の指定がないため、対称性を利用して一方の配置に固定して計算を進め、最後に両方の場合を考慮します。
(1) は直線の交点を求める基本的な計算です。 (2) は「なす角」の条件から、点 $R$ における楕円の接線の傾きを特定することが最大の山場です。直線が作る角の領域に直線 $OR$ が「含まれない」という条件を、傾き角(偏角)の不等式を用いて丁寧に処理し、接線の傾きを一意に決定します。
解法1
(1)
$\angle POQ = 2\theta$ ($2\theta$ は鋭角より $0 < \theta < \pi/4$) であり、線分 $OP, OQ$ は $y$ 軸に関して対称であるから、動径 $OP, OQ$ の $y$ 軸からの角度はそれぞれ $\theta$ である。
ここで一般性を失わず、点 $Q$ が第1象限、点 $P$ が第2象限にあるとする。このとき、直線 $OQ$ の $x$ 軸正の向きからの角度は $\pi/2 - \theta$ となるため、$Q$ の座標は $(\sin\theta, \cos\theta)$ とおける。同様に $P$ の座標は $(-\sin\theta, \cos\theta)$ となる。
点 $Q$ における円 $x^2 + y^2 = 1$ の接線の方程式は、
$$ (\sin\theta)x + (\cos\theta)y = 1 \cdots ① $$
直線 $OP$ の方程式は $y = \frac{\cos\theta}{-\sin\theta}x$ より、
$$ x = -y \frac{\sin\theta}{\cos\theta} \cdots ② $$
①に②を代入して $x$ を消去すると、
$$ \left( -y \frac{\sin\theta}{\cos\theta} \right) \sin\theta + y\cos\theta = 1 $$
$$ y \left( \frac{\cos^2\theta - \sin^2\theta}{\cos\theta} \right) = 1 $$
$\cos^2\theta - \sin^2\theta = \cos 2\theta$ であるから、
$$ y = \frac{\cos\theta}{\cos 2\theta} $$
これを②に代入して、
$$ x = - \frac{\cos\theta}{\cos 2\theta} \cdot \frac{\sin\theta}{\cos\theta} = -\frac{\sin\theta}{\cos 2\theta} $$
$0 < \theta < \pi/4$ より $\cos 2\theta > 0$ であるため、この交点は直線 $OP$ の $y>0$ の部分、すなわち線分 $OP$ の延長上にある。
もし点 $P$ と $Q$ の位置を逆にした場合、対称性から $y$ 座標は変わらず $x$ 座標の符号が反転する。したがって、求める $R$ の座標は以下のようになる。
$$ \left( \pm\frac{\sin\theta}{\cos 2\theta}, \frac{\cos\theta}{\cos 2\theta} \right) \quad \text{(複号任意)} $$
(2)
以降、(1) で設定した $Q(\sin\theta, \cos\theta), P(-\sin\theta, \cos\theta)$ の場合について考える($P, Q$ を逆にしても、楕円の対称性より $A, B$ の関係は変わらない)。
このとき $R(X_0, Y_0)$ とおくと、$X_0 = -\frac{\sin\theta}{\cos 2\theta}, Y_0 = \frac{\cos\theta}{\cos 2\theta}$ である。 $R$ は楕円 $Ax^2 + By^2 = 1$ 上の点であるから、
$$ A \left( -\frac{\sin\theta}{\cos 2\theta} \right)^2 + B \left( \frac{\cos\theta}{\cos 2\theta} \right)^2 = 1 $$
整理して、$\cos 2\theta = k$ を用いると、
$$ A \sin^2\theta + B \cos^2\theta = k^2 \cdots ③ $$
次に、$R$ における楕円の接線 $l$ の傾きを求める。 直線 $QR$ は点 $Q$ における円の接線であり、その法線ベクトルは $\vec{OQ} = (\sin\theta, \cos\theta)$ である。したがって、直線 $QR$ の方向ベクトルは $(\cos\theta, -\sin\theta)$ ととれ、$x$ 軸の正の向きとなす角(傾き角)は $-\theta$ である。 一方、直線 $OR$ は直線 $OP$ であり、点 $P(-\sin\theta, \cos\theta)$ を通ることから、その傾き角は $\pi/2 + \theta$ である。
接線 $l$ の傾き角を $\alpha$ とする。直線 $l$ と直線 $QR$ のなす角が $3\theta$ であることから、$|\alpha - (-\theta)| = 3\theta$ すなわち $\alpha = 2\theta$ または $\alpha = -4\theta$ となる。 問題の条件「直線 $OR$ を内部に含まない方の角」を満たす $\alpha$ を絞り込む。
(i) $\alpha = 2\theta$ のとき 直線 $l$ と直線 $QR$ が作る角 $3\theta$ の領域は、偏角が $[-\theta, 2\theta]$ およびその対頂角の範囲である。 $0 < \theta < \pi/4$ であるため、$2\theta < \pi/2 < \pi/2 + \theta < \pi - \theta$ が成り立ち、直線 $OR$ (偏角 $\pi/2 + \theta$)はこの領域に含まれない。これは条件を満たす。
(ii) $\alpha = -4\theta$ のとき 直線 $l$ と直線 $QR$ が作る角 $3\theta$ の領域は、偏角が $[-4\theta, -\theta]$ およびその対頂角の範囲である。直線 $OR$ の対頂角側の偏角は $\pi/2 + \theta - \pi = \theta - \pi/2$ である。 これが領域に含まれる条件は $-4\theta < \theta - \pi/2 < -\theta$ であり、整理すると $\theta > \pi/10$ のときに内部に含まれてしまうため、条件を満たさない。
以上より、接線 $l$ の傾き角は $\alpha = 2\theta$ であり、その傾きは $\tan 2\theta$ と定まる。
一方で、接線 $l$ の方程式は $A X_0 x + B Y_0 y = 1$ であるから、その傾きは $-\frac{A X_0}{B Y_0}$ と表せる。これらを等置すると、
$$ -\frac{A \left(-\frac{\sin\theta}{\cos 2\theta}\right)}{B \left(\frac{\cos\theta}{\cos 2\theta}\right)} = \tan 2\theta $$
$$ \frac{A}{B} \tan\theta = \tan 2\theta $$
正接の倍角の公式より $\tan 2\theta = \frac{2\tan\theta}{1 - \tan^2\theta}$ であるから、両辺を $\tan\theta$ ($>0$) で割って、
$$ \frac{A}{B} = \frac{2}{1 - \tan^2\theta} = \frac{2\cos^2\theta}{\cos^2\theta - \sin^2\theta} = \frac{1 + \cos 2\theta}{\cos 2\theta} = \frac{1 + k}{k} $$
すなわち、$A = \frac{1+k}{k}B$ が得られる。これを③に代入する。
$$ \left( \frac{1+k}{k}B \right) \sin^2\theta + B \cos^2\theta = k^2 $$
$$ B \left( \frac{(1+k)\sin^2\theta + k\cos^2\theta}{k} \right) = k^2 $$
カッコ内の分子は、
$$ \sin^2\theta + k(\sin^2\theta + \cos^2\theta) = \sin^2\theta + k $$
ここで半角の公式より $\sin^2\theta = \frac{1 - \cos 2\theta}{2} = \frac{1 - k}{2}$ であるから、
$$ \sin^2\theta + k = \frac{1 - k}{2} + k = \frac{1 + k}{2} $$
したがって、
$$ B \left( \frac{1 + k}{2k} \right) = k^2 $$
$$ B = \frac{2k^3}{1+k} $$
これを $A = \frac{1+k}{k}B$ に代入して、
$$ A = \frac{1+k}{k} \cdot \frac{2k^3}{1+k} = 2k^2 $$
解説
(2)における「なす角」の解釈と絞り込みが全てを握る問題です。 交差する2直線が作る角は通常2種類(鋭角と鈍角、あるいは両方直角)存在します。本問では「なす角が $3\theta$」となる直線が2本引ける中で、「直線 $OR$ を内部に含まない」という幾何学的な位置関係を数式に落とし込む必要があります。 解答のように、各直線の $x$ 軸からの「傾き角(偏角)」を調べ、角の内部領域を不等式で表現して条件判定を行う手法は、図形的な直感に頼るよりも厳密で確実なアプローチとなります。
答え
(1) $$ \left( \pm\frac{\sin\theta}{\cos 2\theta}, \frac{\cos\theta}{\cos 2\theta} \right) \quad \text{(複号任意)} $$
(2) $$ A = 2k^2, \quad B = \frac{2k^3}{1+k} $$
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