トップ 東京工業大学 1993年 理系 第5問

東京工業大学 1993年 理系 第5問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学C/平面ベクトルテーマ/場合分けテーマ/不等式の証明
東京工業大学 1993年 理系 第5問 解説

方針・初手

ベクトル $\overrightarrow{OP}$ と $\overrightarrow{OQ}$ のなす角が鋭角になるための条件を、内積を用いて数式化する。得られた条件式において、サイコロの目の積の大小関係が問われるため、変数の対称性を利用して計算量を減らす工夫をするのが手っ取り早い。

解法1

$x_1, x_2, x_3, x_4$ はサイコロの目であるから、すべて $1$ 以上 $6$ 以下の整数である。 したがって、$x_1 > 0, x_2 > 0, x_3 > 0, -x_4 < 0$ が成り立つ。 これより、点 $P(x_1, x_2)$ は第1象限に、点 $Q(x_3, -x_4)$ は第4象限にあることがわかる。 よって、2つのベクトルのなす角 $\angle POQ$ は $0^\circ < \angle POQ < 180^\circ$ の範囲にある。

$\angle POQ$ が鋭角($0^\circ < \angle POQ < 90^\circ$)となるための必要十分条件は、

$$ \cos \angle POQ > 0 \iff \overrightarrow{OP} \cdot \overrightarrow{OQ} > 0 $$

が成り立つことである。

$\overrightarrow{OP} = (x_1, x_2)$、$\overrightarrow{OQ} = (x_3, -x_4)$ であるから、内積を計算すると

$$ \overrightarrow{OP} \cdot \overrightarrow{OQ} = x_1 x_3 + x_2(-x_4) = x_1 x_3 - x_2 x_4 $$

となる。したがって、なす角が鋭角になる条件は

$$ x_1 x_3 - x_2 x_4 > 0 \iff x_1 x_3 > x_2 x_4 $$

と表せる。

サイコロを4回ふったときのすべての目の出方は $6^4 = 1296$ 通りであり、これらは同様に確からしい。 ここで、$X = x_1 x_3$、$Y = x_2 x_4$ とおく。 $X$ と $Y$ はともに「2個のサイコロの目の積」であり、独立に同じ確率分布に従う。 したがって、対称性から

$$ P(X > Y) = P(X < Y) $$

が成り立つ。 すべての事象は $X > Y$、$X = Y$、$X < Y$ のいずれかであるから、確率の和は $1$ になり、

$$ P(X > Y) + P(X = Y) + P(X < Y) = 1 $$

$$ 2P(X > Y) + P(X = Y) = 1 $$

$$ P(X > Y) = \frac{1 - P(X = Y)}{2} $$

と変形できる。よって、$X = Y$ となる確率、すなわち $x_1 x_3 = x_2 x_4$ となる確率を求めればよい。

2個のサイコロの目の積がとりうる値 $k$ と、その値になる目の出方の場合の数 $n(k)$ を数え上げる。 全 $36$ 通りのうち、以下のようになる。

(確認:総数は $5 \times 1 + 10 \times 2 + 1 \times 3 + 2 \times 4 = 36$ 通りであり、網羅できている)

$X = Y$ となる場合の数は、それぞれの値 $k$ に対して $X$ と $Y$ がともに $k$ となる場合の数を足し合わせたものであるから、

$$ \sum_{k} \{n(k)\}^2 = 5 \times 1^2 + 10 \times 2^2 + 1 \times 3^2 + 2 \times 4^2 $$

$$ = 5 + 40 + 9 + 32 = 86 \text{ (通り)} $$

となる。 したがって、$X = Y$ となる確率 $P(X = Y)$ は

$$ P(X = Y) = \frac{86}{1296} = \frac{43}{648} $$

である。

以上より、求める確率 $P(X > Y)$ は

$$ P(X > Y) = \frac{1 - \frac{43}{648}}{2} = \frac{\frac{605}{648}}{2} = \frac{605}{1296} $$

となる。

解説

なす角が鋭角になる条件を「内積が正」に帰着させるのが基本である。図形的な条件を代数的な不等式 $x_1 x_3 > x_2 x_4$ に翻訳できるかが問われている。 確率の計算においては、不等式をそのまま数え上げようとすると膨大な場合分けが必要になる。左辺と右辺の文字が同じ構造(2個のサイコロの目の積)を持っていることに着目し、対称性を利用して $x_1 x_3 = x_2 x_4$ となる場合の計算に持ち込むのが最も効率的かつ正確な典型処理である。

答え

$$ \frac{605}{1296} $$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。