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大阪大学 1993年 理系 第4問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学3/極限テーマ/場合分け
大阪大学 1993年 理系 第4問 解説

方針・初手

(1) は、$A$の試行と$B$の試行が独立であることを利用し、$Y=k$となる確率と、$A$の試行において5回中少なくとも4回「$k$以下の番号が出る」確率の積を計算する。後者は反復試行の確率を用いる。

(2) は、$Y$がとり得る値 $k=1, 2, \dots, N$ のすべてについて (1) で求めた確率を足し合わせたものが $p(N)$ となる。その極限は和の極限なので、式を変形して区分求積法に持ち込む。

解法1

(1)

$B$が取り出したボールの番号が $Y=k$ となる確率は、

$$ \frac{1}{N} $$

である。

一方、$A$が1回の試行で $k$ 以下の番号のボールを取り出す確率は $\frac{k}{N}$ であり、$k$ より大きい番号のボールを取り出す確率は $\frac{N-k}{N}$ である。

$A$が5回の試行で取り出すボールの番号 $X_1, X_2, \cdots, X_5$ のうち、少なくとも4つが $k$ 以下となるのは、「ちょうど4つが $k$ 以下となる」または「5つすべてが $k$ 以下となる」のいずれかであり、これらは互いに排反である。

反復試行の確率より、ちょうど4つが $k$ 以下となる確率は、

$$ {}_5\mathrm{C}_{4} \left(\frac{k}{N}\right)^4 \left(\frac{N-k}{N}\right)^1 = 5 \cdot \frac{k^4(N-k)}{N^5} = \frac{5Nk^4 - 5k^5}{N^5} $$

5つすべてが $k$ 以下となる確率は、

$$ {}_5\mathrm{C}_{5} \left(\frac{k}{N}\right)^5 = \frac{k^5}{N^5} $$

したがって、$X_1, X_2, \cdots, X_5$ のうち少なくとも4つが $k$ 以下となる確率は、これらの和であり、

$$ \frac{5Nk^4 - 5k^5}{N^5} + \frac{k^5}{N^5} = \frac{5Nk^4 - 4k^5}{N^5} $$

$A$の試行と$B$の試行は独立であるから、求める確率 $p(N, k)$ はこれと $Y=k$ となる確率の積である。

$$ p(N, k) = \frac{1}{N} \cdot \frac{5Nk^4 - 4k^5}{N^5} = \frac{5Nk^4 - 4k^5}{N^6} $$

(2)

$Y$ は $1$ から $N$ までのいずれかの自然数の値をとるので、$X_1, X_2, \cdots, X_5$ のうち少なくとも4つが $Y$ 以下であるという事象の確率 $p(N)$ は、$Y=k$ ($k=1, 2, \cdots, N$) となる各排反事象の確率 $p(N, k)$ の和として表される。

$$ p(N) = \sum_{k=1}^N p(N, k) = \sum_{k=1}^N \frac{5Nk^4 - 4k^5}{N^6} $$

極限 $\lim_{N \to \infty} p(N)$ を求めるために、式を区分求積法が使える形に変形する。

$$ \begin{aligned} p(N) &= \frac{1}{N} \sum_{k=1}^N \frac{5Nk^4 - 4k^5}{N^5} \\ &= \frac{1}{N} \sum_{k=1}^N \left\{ 5 \left(\frac{k}{N}\right)^4 - 4 \left(\frac{k}{N}\right)^5 \right\} \end{aligned} $$

$N \to \infty$ としたときの極限は、区分求積法より定積分で表される。

$$ \begin{aligned} \lim_{N \to \infty} p(N) &= \lim_{N \to \infty} \frac{1}{N} \sum_{k=1}^N \left\{ 5 \left(\frac{k}{N}\right)^4 - 4 \left(\frac{k}{N}\right)^5 \right\} \\ &= \int_0^1 (5x^4 - 4x^5) dx \\ &= \left[ x^5 - \frac{4}{6}x^6 \right]_0^1 \\ &= \left[ x^5 - \frac{2}{3}x^6 \right]_0^1 \\ &= 1 - \frac{2}{3} \\ &= \frac{1}{3} \end{aligned} $$

解説

独立な事象の確率、反復試行の確率、和の極限(区分求積法)を組み合わせた典型的な問題である。

(1) では $B$の事象と$A$の事象が独立であることを意識し、それぞれの確率を掛けること、また「少なくとも」の条件を正しく場合分けして足し合わせることがポイントとなる。

(2) は $Y$ の値が確定していない場合の確率を全確率の定理(あるいは和の法則)を用いて $\Sigma$ で表す。その後は区分求積法の基本形 $\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n} \sum_{k=1}^n f\left(\frac{k}{n}\right) = \int_0^1 f(x) dx$ に帰着させればよい。

答え

(1)

$$ p(N, k) = \frac{5Nk^4 - 4k^5}{N^6} $$

(2)

$$ \lim_{N \to \infty} p(N) = \frac{1}{3} $$

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