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東京工業大学 2003年 理系 第4問 解説

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東京工業大学 2003年 理系 第4問 解説

方針・初手

(1) では、関数の次数と最高次の係数に関する命題を数学的帰納法によって証明する。漸化式から $f_{k+1}(x)$ の最高次の項がどのように作られるかに着目する。

(2) では、$x=0$ における微分係数 $f_n^{(k)}(0)$ が、多項式 $f_n(x)$ を展開したときの $x^k$ の係数に $k!$ を掛けた値に等しいことに着目する。各次数の係数について漸化式を立てて一般項を求める。

解法1

(1)

$f_n(x)$ が $(n+1)$ 次多項式であり、その最高次 $x^{n+1}$ の係数を $a_n$ とおくと、 $a_n = n!(n-1)!$ となることを、数学的帰納法により証明する。

(i)

$n=1$ のとき 与えられた条件より $f_1(x) = x^2$ である。 これは $2$ 次多項式であり、$n+1 = 2$ より次数は一致する。 また、$x^2$ の係数は $1$ であり、$1!0! = 1 \cdot 1 = 1$ より $a_1 = 1!0!$ が成り立つ。 よって、$n=1$ のときは成立する。

(ii)

$n=k$ のとき $f_k(x)$ が $(k+1)$ 次多項式であり、最高次 $x^{k+1}$ の係数が $a_k = k!(k-1)!$ であると仮定する。 このとき、$f_k(x)$ は $(k+1)$ 次以下の項を用いて次のように表せる。

$$ f_k(x) = a_k x^{k+1} + (\text{$k$ 次以下の多項式}) $$

これを $x$ で $2$ 回微分すると、

$$ f_k^{(1)}(x) = a_k(k+1) x^k + (\text{$k-1$ 次以下の多項式}) $$

$$ f_k^{(2)}(x) = a_k(k+1)k x^{k-1} + (\text{$k-2$ 次以下の多項式}) $$

となる。漸化式 $f_{k+1}(x) = f_k(x) + x^3 f_k^{(2)}(x)$ に代入すると、

$$ f_{k+1}(x) = \left\{ a_k x^{k+1} + (\text{$k$ 次以下の多項式}) \right\} + x^3 \left\{ a_k(k+1)k x^{k-1} + (\text{$k-2$ 次以下の多項式}) \right\} $$

$$ f_{k+1}(x) = a_k(k+1)k x^{k+2} + a_k x^{k+1} + (\text{$k+1$ 次以下の多項式}) $$

ここで、$a_k \neq 0$ かつ $k \ge 1$ であるため、$a_k(k+1)k \neq 0$ となる。 したがって、$f_{k+1}(x)$ は $(k+2)$ 次多項式であることが示された。 また、その最高次 $x^{k+2}$ の係数 $a_{k+1}$ は、

$$ a_{k+1} = a_k(k+1)k $$

となる。仮定より $a_k = k!(k-1)!$ を代入すると、

$$ a_{k+1} = k!(k-1)! \cdot (k+1)k = (k+1)! k! $$

となり、$n=k+1$ のときも主張が成立することが示された。

(i), (ii) より、すべての自然数 $n$ について $f_n(x)$ は $(n+1)$ 次多項式であり、$x^{n+1}$ の係数は $n!(n-1)!$ である。

(2)

多項式 $f_n(x)$ の $x^m$ の係数を $c_{n,m}$ とおく。 マクローリン展開の考え方から、多項式 $f_n(x)$ について次が成り立つ。

$$ f_n^{(m)}(0) = m! c_{n,m} $$

したがって、各次数の係数 $c_{n,m}$ の一般項を求めればよい。 $f_n(x)$ を和記号を用いて次のように表す。

$$ f_n(x) = \sum_{m=0}^{\infty} c_{n,m} x^m $$

これを $2$ 回微分すると、

$$ f_n^{(2)}(x) = \sum_{m=2}^{\infty} m(m-1) c_{n,m} x^{m-2} $$

両辺に $x^3$ を掛けると、

$$ x^3 f_n^{(2)}(x) = \sum_{m=2}^{\infty} m(m-1) c_{n,m} x^{m+1} $$

ここで、$m+1$ を改めて $m$ と置き直すと、

$$ x^3 f_n^{(2)}(x) = \sum_{m=3}^{\infty} (m-1)(m-2) c_{n,m-1} x^m $$

これを漸化式 $f_{n+1}(x) = f_n(x) + x^3 f_n^{(2)}(x)$ に代入する。

$$ \sum_{m=0}^{\infty} c_{n+1,m} x^m = \sum_{m=0}^{\infty} c_{n,m} x^m + \sum_{m=3}^{\infty} (m-1)(m-2) c_{n,m-1} x^m $$

両辺の各次数の係数を比較すると、以下の関係式が得られる。

$$ c_{n+1, 0} = c_{n, 0} $$

$$ c_{n+1, 1} = c_{n, 1} $$

$$ c_{n+1, 2} = c_{n, 2} $$

$$ c_{n+1, m} = c_{n, m} + (m-1)(m-2) c_{n, m-1} \quad (m \ge 3) $$

また、$f_1(x) = x^2$ より、初期条件は以下の通りである。 $c_{1, 2} = 1$、それ以外の $m$ については $c_{1, m} = 0$

これらの漸化式を用いて、$c_{n, 1}, c_{n, 2}, c_{n, 3}, c_{n, 4}$ を順に求める。

($x^1$ の係数) $c_{n+1, 1} = c_{n, 1}$ より、数列 $\{c_{n, 1}\}$ は定数数列である。 $c_{1, 1} = 0$ より、常に $c_{n, 1} = 0$ である。 よって、$f_n^{(1)}(0) = 1! \cdot 0 = 0$

($x^2$ の係数) $c_{n+1, 2} = c_{n, 2}$ より、数列 $\{c_{n, 2}\}$ も定数数列である。 $c_{1, 2} = 1$ より、常に $c_{n, 2} = 1$ である。 よって、$f_n^{(2)}(0) = 2! \cdot 1 = 2$

($x^3$ の係数) 漸化式に $m=3$ を代入すると、

$$ c_{n+1, 3} = c_{n, 3} + 2 \cdot 1 \cdot c_{n, 2} = c_{n, 3} + 2 $$

数列 $\{c_{n, 3}\}$ は、初項 $c_{1, 3} = 0$、公差 $2$ の等差数列であるから、

$$ c_{n, 3} = 0 + (n-1) \cdot 2 = 2(n-1) $$

よって、$f_n^{(3)}(0) = 3! \cdot 2(n-1) = 12(n-1)$

($x^4$ の係数) 漸化式に $m=4$ を代入すると、

$$ c_{n+1, 4} = c_{n, 4} + 3 \cdot 2 \cdot c_{n, 3} = c_{n, 4} + 6 \cdot 2(n-1) = c_{n, 4} + 12(n-1) $$

階差数列の一般項が $12(n-1)$ であることがわかる。 $n \ge 2$ のとき、

$$ c_{n, 4} = c_{1, 4} + \sum_{k=1}^{n-1} 12(k-1) = 0 + 12 \cdot \frac{1}{2} (n-1-1)(n-1) = 6(n-1)(n-2) $$

この式は $n=1$ のとき $c_{1, 4} = 6 \cdot 0 \cdot (-1) = 0$ となり、成立する。 よって、$f_n^{(4)}(0) = 4! \cdot 6(n-1)(n-2) = 144(n-1)(n-2)$

解説

関数の累次構成(漸化式)と微分の値に関する問題である。 (1) は最高次の項の振る舞いだけを抽出し、漸化式を立てて帰納法で証明するアプローチが最も確実である。 (2) は $x=0$ における微分係数が多項式の係数に直結していることを利用すると見通しが良い。直接 $f_n(x)$ を順に計算して法則性を推測し帰納法で示すことも可能だが、すべての次数についての係数漸化式を立ててしまう方が計算量が少なく、論理も簡潔になる。

答え

(1) $f_n(x)$ が $(n+1)$ 次多項式であることは証明された。 $x^{n+1}$ の係数は $n!(n-1)!$

(2) $f_n^{(1)}(0) = 0$ $f_n^{(2)}(0) = 2$ $f_n^{(3)}(0) = 12(n-1)$ $f_n^{(4)}(0) = 144(n-1)(n-2)$

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