大阪大学 2005年 理系 第2問 解説

方針・初手
問題文の指示通り、数学的帰納法を用いて等式 $S(n) = T(n)$ が成り立つことを証明する。 数学的帰納法の基本手順に従い、$n=1$ の場合の成立を示した後、$n=k$ での成立を仮定して $n=k+1$ の場合の成立を示す。その際、$S(k+1)$ と $S(k)$ の関係、および $T(k+1)$ と $T(k)$ の関係をそれぞれ数式で表現し、仮定 $S(k) = T(k)$ を用いて $S(k+1) = T(k+1)$ を導く。
解法1
$S(n) = T(n)$ を $(A)$ とする。
(i)
$n=1$ のとき
$$ S(1) = \sum_{p=1}^{2} \frac{(-1)^{p-1}}{p} = \frac{(-1)^0}{1} + \frac{(-1)^1}{2} = 1 - \frac{1}{2} = \frac{1}{2} $$
$$ T(1) = \sum_{q=1}^{1} \frac{1}{1+q} = \frac{1}{1+1} = \frac{1}{2} $$
よって、$S(1) = T(1)$ となり、$n=1$ のとき $(A)$ は成り立つ。
(ii)
$n=k$ ($k$ は正の整数) のとき、$(A)$ が成り立つと仮定する。 すなわち、
$$ S(k) = T(k) $$
が成り立つとする。
$n=k+1$ のときの $S(k+1)$ について、
$$ \begin{aligned} S(k+1) &= \sum_{p=1}^{2(k+1)} \frac{(-1)^{p-1}}{p} \\ &= \sum_{p=1}^{2k+2} \frac{(-1)^{p-1}}{p} \\ &= \sum_{p=1}^{2k} \frac{(-1)^{p-1}}{p} + \frac{(-1)^{2k}}{2k+1} + \frac{(-1)^{2k+1}}{2k+2} \\ &= S(k) + \frac{1}{2k+1} - \frac{1}{2k+2} \quad \cdots \text{①} \end{aligned} $$
が成り立つ。
また、$n=k+1$ のときの $T(k+1)$ について、
$$ \begin{aligned} T(k+1) &= \sum_{q=1}^{k+1} \frac{1}{(k+1)+q} \\ &= \frac{1}{k+2} + \frac{1}{k+3} + \cdots + \frac{1}{2k+1} + \frac{1}{2k+2} \end{aligned} $$
ここで、$T(k) = \sum_{q=1}^{k} \frac{1}{k+q} = \frac{1}{k+1} + \frac{1}{k+2} + \cdots + \frac{1}{2k}$ であるから、
$$ \begin{aligned} T(k+1) &= \left( \frac{1}{k+1} + \frac{1}{k+2} + \cdots + \frac{1}{2k} \right) - \frac{1}{k+1} + \frac{1}{2k+1} + \frac{1}{2k+2} \\ &= T(k) - \frac{1}{k+1} + \frac{1}{2k+1} + \frac{1}{2k+2} \quad \cdots \text{②} \end{aligned} $$
が成り立つ。
①、②より、$S(k+1) - T(k+1)$ を計算すると、
$$ \begin{aligned} S(k+1) - T(k+1) &= \left( S(k) + \frac{1}{2k+1} - \frac{1}{2k+2} \right) - \left( T(k) - \frac{1}{k+1} + \frac{1}{2k+1} + \frac{1}{2k+2} \right) \\ &= \{ S(k) - T(k) \} + \frac{1}{k+1} - \frac{2}{2k+2} \end{aligned} $$
帰納法の仮定より $S(k) - T(k) = 0$ であり、また $\frac{2}{2k+2} = \frac{1}{k+1}$ であるから、
$$ S(k+1) - T(k+1) = 0 + \frac{1}{k+1} - \frac{1}{k+1} = 0 $$
すなわち、$S(k+1) = T(k+1)$ となり、$n=k+1$ のときも $(A)$ は成り立つ。
(i), (ii) より、すべての正の整数 $n$ について $S(n) = T(n)$ が成り立つことが示された。
解説
与えられた等式は、交代調和級数の部分和に関する有名な性質である。数学的帰納法を用いる際の最大のポイントは、$n=k+1$ のときの式を $n=k$ のときの式を用いて表すことである。
$S(n)$ は和の上端が $2n$ であるため、$n=k+1$ にすると項が $2$ つ増えることに注意する。 $T(n)$ は和の各項にも $n$ が含まれているため、$T(k+1)$ を展開して書き下し、そこから意図的に $T(k)$ の形を作り出す必要がある。具体的には、$T(k)$ には存在する $\frac{1}{k+1}$ の項が $T(k+1)$ には存在しないため、これを足して引くという操作(あるいは $T(k+1)$ の式から分離する操作)が求められる。このシグマ記号の扱いや項のズレを正確に処理できるかが、この問題を解く鍵となる。
答え
すべての正の整数 $n$ において $S(n) = T(n)$ が成り立つことが証明された。(証明の詳細は解法1を参照)
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