東京大学 1966年 文系 第5問 解説

方針・初手
与えられた2点を直径の両端とする球面の中心座標と半径を求めることが第一歩である。 中心は2点の中点として、半径は中心からいずれか1点までの距離として計算できる。 球面の情報が得られたあとは、方程式に平面や直線の条件を代入して代数的に解くか、中心から平面や直線までの距離を利用して幾何的に解くかのアプローチがある。
解法1
与えられた2点を $\text{A}(10, 2, 5)$、$\text{B}(-6, 10, 11)$ とする。 球面の中心を $\text{C}$ とすると、点 $\text{C}$ は線分 $\text{AB}$ の中点であるから、その座標は
$$ \left( \frac{10 - 6}{2}, \frac{2 + 10}{2}, \frac{5 + 11}{2} \right) = (2, 6, 8) $$
となる。
また、球面の半径を $r$ とすると、$r^2 = \text{CA}^2$ より
$$ r^2 = (10 - 2)^2 + (2 - 6)^2 + (5 - 8)^2 = 8^2 + (-4)^2 + (-3)^2 = 64 + 16 + 9 = 89 $$
である。したがって、この球面の方程式は
$$ (x - 2)^2 + (y - 6)^2 + (z - 8)^2 = 89 \quad \cdots \text{①} $$
と表される。
(1)
球面①が $xy$ 平面から切り取る図形は、①に $z = 0$ を代入して得られる。
$$ (x - 2)^2 + (y - 6)^2 + (-8)^2 = 89 $$
$$ (x - 2)^2 + (y - 6)^2 + 64 = 89 $$
$$ (x - 2)^2 + (y - 6)^2 = 25 $$
これは、$xy$ 平面上で中心 $(2, 6)$、半径 $5$ の円を表す。 よって、求める円の面積は
$$ \pi \cdot 5^2 = 25\pi $$
となる。
(2)
球面①が $z$ 軸から切り取る線分は、$z$ 軸との交点を結んだ線分である。 ①に $z$ 軸の方程式である $x = 0$ および $y = 0$ を代入すると
$$ (-2)^2 + (-6)^2 + (z - 8)^2 = 89 $$
$$ 4 + 36 + (z - 8)^2 = 89 $$
$$ (z - 8)^2 = 49 $$
$$ z - 8 = \pm 7 $$
$$ z = 1, 15 $$
交点の座標は $(0, 0, 1)$ と $(0, 0, 15)$ であるから、切り取る線分の長さはこれらの距離に等しく
$$ |15 - 1| = 14 $$
となる。
解法2
球面の中心を $\text{C}(2, 6, 8)$、半径を $r$ とすると、$r = \sqrt{89}$ である。これらは解法1と同様に求まる。
(1)
中心 $\text{C}(2, 6, 8)$ から $xy$ 平面(方程式は $z = 0$)に下ろした垂線の足を $\text{H}_1$ とすると、$\text{H}_1(2, 6, 0)$ である。 線分 $\text{CH}_1$ の長さは点 $\text{C}$ の $z$ 座標の絶対値に等しく、$\text{CH}_1 = 8$ である。
球面が $xy$ 平面から切り取る円の半径を $R$ とすると、三平方の定理より
$$ R^2 = r^2 - \text{CH}_1^2 = 89 - 8^2 = 25 $$
したがって、求める円の面積は
$$ \pi R^2 = 25\pi $$
となる。
(2)
中心 $\text{C}(2, 6, 8)$ から $z$ 軸に下ろした垂線の足を $\text{H}_2$ とすると、$\text{H}_2(0, 0, 8)$ である。 線分 $\text{CH}_2$ の長さの2乗は、三平方の定理より
$$ \text{CH}_2^2 = (2 - 0)^2 + (6 - 0)^2 + (8 - 8)^2 = 4 + 36 = 40 $$
球面が $z$ 軸から切り取る線分の長さを $L$ とすると、線分の半分、垂線 $\text{CH}_2$、半径 $r$ が直角三角形をなすため、三平方の定理より
$$ \left( \frac{L}{2} \right)^2 = r^2 - \text{CH}_2^2 = 89 - 40 = 49 $$
$L > 0$ であるから、$\frac{L}{2} = 7$ となり
$$ L = 14 $$
となる。
解説
空間座標における球面の方程式と、平面や直線との交わりを問う基本問題である。 解法1のように球面の方程式に条件($z=0$ や $x=0, y=0$)を代入して代数的に処理するのが最も確実でわかりやすい。 解法2のように、球の中心から平面や直線への距離を求め、三平方の定理を用いて切り取られる図形の計量を行う手法も実戦的で重要である。空間図形を平面図形(切り口の円や、中心を含む平面での断面)に帰着させる考え方は、より複雑な問題でも有効に働く。
答え
(1)
$25\pi$
(2)
$14$
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