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東京大学 1966年 文系 第4問 解説

数学1/図形計量数学2/三角関数テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
東京大学 1966年 文系 第4問 解説

方針・初手

定円 $O$ の中心を通る直線上に頂点 $A, R$ があり、直線 $AA'$ に関して図形全体が対称であることに着目する。四辺形 $APRQ$ は対角線が直交する凧形(kite)となるため、その面積は「$2$ つの対角線の長さの積の半分」として計算できる。

円 $A$ の半径をどのように設定するかが最初の分かれ道となる。半径自体を文字 $r$ で置く方針と、角度を用いて各線分の長さを三角比で表す方針が考えられる。角度を用いる方が、式が簡潔になり計算の負担が少ない。

解法1

図形の対称性から、点 $P$ と $Q$ は直径 $AA'$ を軸として線対称の位置にある。 円 $O$ の半径は $1$ であるから、$AA' = 2$ である。

$\angle PAA' = \theta$ とおく。円 $A$ が円 $O$ と $2$ 点で交わるとき、$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ である。

線分 $AA'$ は円 $O$ の直径であるから、円周角の定理より $\angle APA' = 90^\circ$ である。 直角三角形 $APA'$ において、$AP$ の長さは

$$ AP = AA' \cos\theta = 2\cos\theta $$

と表される。これが円 $A$ の半径となる。 点 $R$ は円 $A$ と直径 $AA'$ の交点であるから、線分 $AR$ の長さも円 $A$ の半径に等しく、

$$ AR = 2\cos\theta $$

である。

次に、点 $P$ から直線 $AA'$ に下ろした垂線の足を $H$ とする。 直角三角形 $APH$ において、$PH$ の長さは

$$ PH = AP \sin\theta = 2\cos\theta\sin\theta $$

となる。 対称性から線分 $PQ$ は直線 $AA'$ と直交し、点 $H$ は線分 $PQ$ の中点であるから

$$ PQ = 2PH = 4\cos\theta\sin\theta $$

となる。

四辺形 $APRQ$ の対角線 $AR$ と $PQ$ は互いに直交するため、求める面積 $S$ は

$$ \begin{aligned} S &= \frac{1}{2} \cdot AR \cdot PQ \\ &= \frac{1}{2} (2\cos\theta)(4\cos\theta\sin\theta) \\ &= 4\cos^2\theta\sin\theta \end{aligned} $$

と表される。 ここで $\sin\theta = t$ とおくと、$0 < \theta < \frac{\pi}{2}$ より $0 < t < 1$ であり、

$$ \cos^2\theta = 1 - \sin^2\theta = 1 - t^2 $$

であるから、$S$ を $t$ の関数 $f(t)$ として表すと

$$ f(t) = 4(1 - t^2)t = 4(t - t^3) $$

となる。 これを $t$ について微分すると

$$ f'(t) = 4(1 - 3t^2) $$

$0 < t < 1$ において $f'(t) = 0$ となるのは $t = \frac{1}{\sqrt{3}}$ のときである。 $0 < t < \frac{1}{\sqrt{3}}$ では $f'(t) > 0$、$\frac{1}{\sqrt{3}} < t < 1$ では $f'(t) < 0$ となるため、$f(t)$ は $t = \frac{1}{\sqrt{3}}$ で最大値をとる。

このときの最大値は

$$ \begin{aligned} f\left(\frac{1}{\sqrt{3}}\right) &= 4 \left( \frac{1}{\sqrt{3}} - \frac{1}{3\sqrt{3}} \right) \\ &= 4 \cdot \frac{2}{3\sqrt{3}} \\ &= \frac{8}{3\sqrt{3}} \\ &= \frac{8\sqrt{3}}{9} \end{aligned} $$

となる。

解法2

座標平面上に、円 $O$ の中心を原点 $(0,0)$、定点 $A$ を $(-1,0)$、$A'$ を $(1,0)$ となるように設定する。 円 $O$ の方程式は

$$ x^2 + y^2 = 1 $$

である。 円 $A$ の半径を $r$ とする。円 $A$ が円 $O$ と $2$ 点で交わり、かつ直径 $AA'$ 上に点 $R$ が存在するための条件から、$0 < r < 2$ である。 円 $A$ の方程式は

$$ (x+1)^2 + y^2 = r^2 $$

である。 これら $2$ つの円の交点 $P, Q$ の座標を求めるため、第 $2$ 式から第 $1$ 式を辺々引くと

$$ (x+1)^2 - x^2 = r^2 - 1 $$

$$ 2x + 1 = r^2 - 1 $$

$$ x = \frac{r^2}{2} - 1 $$

これが点 $P, Q$ および対角線の交点の $x$ 座標である。 これを円 $O$ の方程式に代入して $y$ 座標を求めると

$$ \begin{aligned} y^2 &= 1 - \left(\frac{r^2}{2} - 1\right)^2 \\ &= 1 - \left(\frac{r^4}{4} - r^2 + 1\right) \\ &= r^2 - \frac{r^4}{4} \\ &= \frac{r^2(4 - r^2)}{4} \end{aligned} $$

したがって、線分 $PQ$ の長さは $y$ 座標の正負の差であるから

$$ PQ = 2 \sqrt{\frac{r^2(4 - r^2)}{4}} = r\sqrt{4 - r^2} $$

となる。 一方、点 $R$ は円 $A$ 上にあり、半直線 $AA'$ 上の点であるから、その $x$ 座標は $-1 + r$ となる。 四辺形 $APRQ$ は対角線 $AR$ と $PQ$ が直交し、交点の $x$ 座標について

$$ -1 < \frac{r^2}{2} - 1 < r - 1 $$

が成り立つため、線分 $AR$ 上で交差する凸な凧形となる。対角線 $AR$ の長さは $r$ である。 よって、四辺形 $APRQ$ の面積 $S$ は

$$ S = \frac{1}{2} \cdot AR \cdot PQ = \frac{1}{2} r^2 \sqrt{4 - r^2} $$

と表される。 $S > 0$ であるから、$S$ が最大となるとき、$S^2$ も最大となる。

$$ g(r) = S^2 = \frac{1}{4} r^4 (4 - r^2) = r^4 - \frac{1}{4} r^6 $$

とおき、$r$ で微分すると

$$ \begin{aligned} g'(r) &= 4r^3 - \frac{6}{4} r^5 \\ &= \frac{1}{2} r^3 (8 - 3r^2) \end{aligned} $$

$0 < r < 2$ において $g'(r) = 0$ となるのは $r^2 = \frac{8}{3}$、すなわち $r = \frac{2\sqrt{6}}{3}$ のときである。 増減を調べると、このとき $g(r)$ は極大かつ最大となる。

最大値は

$$ \begin{aligned} g\left(\frac{2\sqrt{6}}{3}\right) &= \left(\frac{8}{3}\right)^2 - \frac{1}{4}\left(\frac{8}{3}\right)^3 \\ &= \frac{64}{9} - \frac{1}{4} \cdot \frac{512}{27} \\ &= \frac{64}{9} - \frac{128}{27} \\ &= \frac{64}{27} \end{aligned} $$

求める $S$ の最大値はその正の平方根であるから

$$ \sqrt{\frac{64}{27}} = \frac{8}{3\sqrt{3}} = \frac{8\sqrt{3}}{9} $$

となる。

解説

図形の面積を $1$ 変数関数に帰着させて最大値を求める典型的な微分の応用問題である。

図形問題で変数を設定する際は、「長さ」を基準にするか「角度」を基準にするかで計算量に大きな差が出ることが多い。本問のように円が複数絡む問題や、直角三角形が内在している問題では、解法1のように角度をパラメータとするほうがルート(無理関数)を避けられ、微分の計算が非常に容易になる。

解法2のように座標と方程式による代数的な処理も確実な方法であり、幾何的なひらめきに依存せずに機械的に解を進めることができる。ルートを含む関数の最大値を求める際、中身が正であることを確認した上で「平方して最大値を考える」という手法は、計算ミスを減らすための重要なテクニックである。

答え

$$ \frac{8\sqrt{3}}{9} $$

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