東京大学 1998年 文系 第4問 解説

方針・初手
空間座標における正四面体の性質を利用する問題である。 正四面体の頂点から対面(底面)へ下ろした垂線の足は、その面の重心に一致するという性質を活用する。 (1) では、まず正四面体 $ABCD$ の頂点 $D$ の座標を求める。さらに、$\triangle ABD$ を共有するもう1つの正四面体の頂点 $E$ については、平面 $ABD$ に関する対称性を利用して求めるのが簡明である。 (2) では、四面体 $ABDE$ が $zx$ 平面($y=0$)によってどのように分割されるかを考え、線分比から体積比を求めるアプローチか、切断面の面積から直接体積を計算するアプローチが考えられる。
解法1
(1)
与えられた $3$ 点 $A(1, 0, 0)$、$B(-1, 0, 0)$、$C(0, \sqrt{3}, 0)$ について、各辺の長さを求める。
$$ AB = \sqrt{(-1-1)^2 + 0^2 + 0^2} = 2 $$
$$ BC = \sqrt{(0-(-1))^2 + (\sqrt{3}-0)^2 + 0^2} = 2 $$
$$ CA = \sqrt{(1-0)^2 + (0-\sqrt{3})^2 + 0^2} = 2 $$
よって、$\triangle ABC$ は $1$ 辺の長さが $2$ の正三角形である。 したがって、これを $1$ つの面とする正四面体 $ABCD$ の $1$ 辺の長さも $2$ である。
正四面体の性質から、頂点 $D$ から平面 $ABC$($xy$ 平面)に下ろした垂線の足は、$\triangle ABC$ の重心 $G$ に一致する。 重心 $G$ の座標は、
$$ G \left( \frac{1+(-1)+0}{3}, \frac{0+0+\sqrt{3}}{3}, \frac{0+0+0}{3} \right) = \left( 0, \frac{\sqrt{3}}{3}, 0 \right) $$
点 $D$ はこの垂線上にあるため、$D \left( 0, \frac{\sqrt{3}}{3}, z \right)$ とおける。 $z \geqq 0$ の部分にあるという条件から $z > 0$ である。 $AD = 2$ であるから、
$$ (0-1)^2 + \left( \frac{\sqrt{3}}{3} - 0 \right)^2 + (z-0)^2 = 2^2 $$
$$ 1 + \frac{1}{3} + z^2 = 4 $$
$$ z^2 = \frac{8}{3} $$
$z > 0$ より $z = \frac{2\sqrt{6}}{3}$ となり、点 $D$ の座標は $D \left( 0, \frac{\sqrt{3}}{3}, \frac{2\sqrt{6}}{3} \right)$ である。
次に、$\triangle ABD$ を $1$ つの面とするもう $1$ つの正四面体 $ABDE$ について考える。 四面体 $CABD$ と四面体 $EABD$ は、ともに $\triangle ABD$ を底面とする $1$ 辺 $2$ の正四面体である。 正四面体の対称性から、頂点 $C$ および $E$ から平面 $ABD$ に下ろした垂線の足は、ともに $\triangle ABD$ の重心 $G'$ に一致する。 また、点 $C$ と点 $E$ は異なる点であるから、平面 $ABD$ に関して互いに対称な位置関係にある。 すなわち、線分 $CE$ の中点が $G'$ となる。 重心 $G'$ の座標は、
$$ G' \left( \frac{1+(-1)+0}{3}, \frac{0+0+\frac{\sqrt{3}}{3}}{3}, \frac{0+0+\frac{2\sqrt{6}}{3}}{3} \right) = \left( 0, \frac{\sqrt{3}}{9}, \frac{2\sqrt{6}}{9} \right) $$
点 $E$ の座標を $(x_E, y_E, z_E)$ とすると、線分 $CE$ の中点が $G'$ であることから、
$$ \frac{0+x_E}{2} = 0, \quad \frac{\sqrt{3}+y_E}{2} = \frac{\sqrt{3}}{9}, \quad \frac{0+z_E}{2} = \frac{2\sqrt{6}}{9} $$
これらを解いて、
$$ x_E = 0, \quad y_E = \frac{2\sqrt{3}}{9} - \sqrt{3} = -\frac{7\sqrt{3}}{9}, \quad z_E = \frac{4\sqrt{6}}{9} $$
したがって、点 $E$ の座標は $\left( 0, -\frac{7\sqrt{3}}{9}, \frac{4\sqrt{6}}{9} \right)$ である。
(2)
四面体 $ABDE$ の各頂点の $y$ 座標を確認する。
$A: 0$
$B: 0$
$D: \frac{\sqrt{3}}{3} > 0$
$E: -\frac{7\sqrt{3}}{9} < 0$
頂点 $A$ と $B$ は $y=0$ の平面($zx$ 平面)上にあり、頂点 $D$ と $E$ は平面 $y=0$ を挟んで反対側にある。 したがって、四面体 $ABDE$ は平面 $y=0$ によって、四面体 $ABFD$ と四面体 $ABFE$ に分割される。ここで、点 $F$ は線分 $DE$ と平面 $y=0$ の交点である。 問題で求められている $y \leqq 0$ の部分の体積は、四面体 $ABFE$ の体積である。
四面体 $ABFD$ と四面体 $ABFE$ は、$\triangle ABF$ を底面として共有している。 それぞれの四面体の高さは、頂点 $D, E$ から平面 $y=0$ への距離(すなわち $y$ 座標の絶対値)である。 よって、底面を共有する四面体の体積比は高さの比に等しくなるため、
$$ (\text{四面体 } ABFE \text{ の体積}) : (\text{四面体 } ABFD \text{ の体積}) = |y_E| : |y_D| = \frac{7\sqrt{3}}{9} : \frac{3\sqrt{3}}{9} = 7 : 3 $$
四面体 $ABDE$ 全体の体積を $V$ とすると、求める体積 $V'$ は全体の $\frac{7}{7+3}$ 倍となる。
$$ V' = \frac{7}{10} V $$
$1$ 辺の長さが $2$ の正四面体 $ABDE$ の体積 $V$ は、
$$ V = \frac{\sqrt{2}}{12} \times 2^3 = \frac{2\sqrt{2}}{3} $$
したがって、求める体積 $V'$ は、
$$ V' = \frac{7}{10} \times \frac{2\sqrt{2}}{3} = \frac{7\sqrt{2}}{15} $$
解法2
(2)の別解
点 $E$ の座標を用いて、切断面となる $\triangle ABF$ の面積と四面体の高さから直接体積を計算する。
線分 $DE$ 上にある点 $F$ は $y=0$ を満たす。 $y_D = \frac{3\sqrt{3}}{9}$、$y_E = -\frac{7\sqrt{3}}{9}$ であるため、点 $F$ は線分 $DE$ を $3:7$ に内分する点である。 点 $F$ の $z$ 座標は、
$$ z_F = \frac{7z_D + 3z_E}{3+7} = \frac{7 \times \frac{6\sqrt{6}}{9} + 3 \times \frac{4\sqrt{6}}{9}}{10} = \frac{42\sqrt{6} + 12\sqrt{6}}{90} = \frac{54\sqrt{6}}{90} = \frac{3\sqrt{6}}{5} $$
$x_F = 0, y_F = 0$ であるから、点 $F$ の座標は $\left( 0, 0, \frac{3\sqrt{6}}{5} \right)$ である。
求める部分は四面体 $ABFE$ であり、底面を $zx$ 平面上の $\triangle ABF$ とみる。 底辺 $AB = 2$ に対する高さは $z_F$ であるから、底面積 $S$ は、
$$ S = \frac{1}{2} \times 2 \times \frac{3\sqrt{6}}{5} = \frac{3\sqrt{6}}{5} $$
四面体 $ABFE$ の高さ $h$ は、頂点 $E$ から $zx$ 平面へ下ろした垂線の長さなので、
$$ h = |y_E| = \frac{7\sqrt{3}}{9} $$
したがって、求める体積 $V'$ は、
$$ V' = \frac{1}{3} S h = \frac{1}{3} \times \frac{3\sqrt{6}}{5} \times \frac{7\sqrt{3}}{9} = \frac{7\sqrt{18}}{45} = \frac{21\sqrt{2}}{45} = \frac{7\sqrt{2}}{15} $$
解説
空間図形における正四面体の対称性を活用する典型的な問題である。 (1) では、平面 $ABD$ を共有する $2$ つの正四面体の頂点 $C, E$ が、平面 $ABD$ に関して対称であることを利用すると計算量が大きく減る。対称軸上の点を求める際、正四面体の頂点から対面への垂線の足が重心に一致する事実を当たり前のように使えるようにしておきたい。 (2) は空間図形の切断の基本である。座標が全て求まっているため、どの平面で切断されているか(本問では $y=0$)に気づけば、線分の内分比から容易に体積比を導くことができる。解法2のように具体的に切断面の面積を出して体積を求める方法は、解法1の検算としても非常に有効である。
答え
(1)
$E \left( 0, -\frac{7\sqrt{3}}{9}, \frac{4\sqrt{6}}{9} \right)$
(2)
$\frac{7\sqrt{2}}{15}$
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