東京大学 1973年 文系 第3問 解説

方針・初手
四角錐の対称性から、平面 $ABK$ と平面 $VCD$ の交わりを考える。平面と平面の交線の性質を利用するか、図形を座標空間に配置して直線や平面の方程式を立てることで、切り口の形状を特定する。その後は、四面体の体積比を用いるか、底面積と高さを直接計算して体積を求める。
解法1
辺 $AB, CD$ の中点をそれぞれ $M, N$ とする。平面 $VMN$ による断面を考える。 頂点 $V$ から底面 $ABCD$ に下ろした垂線の足 $H$ は、正方形の対角線の交点であり、線分 $MN$ の中点に一致する。 $AB = 4\sqrt{3}$ より $MN = 4\sqrt{3}$ であり、$HM = HN = 2\sqrt{3}$ である。
平面 $VMN$ を、直線 $MN$ を $x$ 軸、直線 $VH$ を $y$ 軸とする座標平面として捉える。 $H(0, 0)$ とすると、$M(2\sqrt{3}, 0)$、$N(-2\sqrt{3}, 0)$、$V(0, 6)$ と表せる。 点 $K$ は線分 $VH$ 上にあり $VK = 4$ なので、$HK = 6 - 4 = 2$ となり、$K(0, 2)$ である。
点 $K$ と辺 $AB$ を含む平面で四角錐を切断したとき、平面 $VCD$ との交線を線分 $QR$ ($Q$ は $VD$ 上、$R$ は $VC$ 上) とし、その中点を $L$ とする。 点 $L$ は平面 $VMN$ 上にあるため、直線 $MK$ と直線 $VN$ の交点となる。
直線 $MK$ の方程式は、傾きが $\frac{2 - 0}{0 - 2\sqrt{3}} = -\frac{1}{\sqrt{3}}$ であるから、
$$ y - 2 = -\frac{1}{\sqrt{3}}x \iff x + \sqrt{3}y = 2\sqrt{3} $$
となる。
直線 $VN$ の方程式は、傾きが $\frac{6 - 0}{0 - (-2\sqrt{3})} = \sqrt{3}$ であるから、
$$ y = \sqrt{3}x + 6 $$
となる。
これらを連立して解く。第2式を第1式に代入して、
$$ x + \sqrt{3}(\sqrt{3}x + 6) = 2\sqrt{3} $$
$$ 4x + 6\sqrt{3} = 2\sqrt{3} \iff 4x = -4\sqrt{3} \iff x = -\sqrt{3} $$
このとき $y = \sqrt{3}(-\sqrt{3}) + 6 = 3$ となり、交点 $L$ の座標は $(-\sqrt{3}, 3)$ である。
点 $V(0, 6)$ と点 $N(-2\sqrt{3}, 0)$ の中点の座標は $(-\sqrt{3}, 3)$ となるため、点 $L$ は線分 $VN$ の中点であることが分かる。 また、平面 $ABK$ と平面 $VCD$ の交線 $QR$ は、辺 $AB$ に平行な辺 $CD$ に対して平行になる。 よって、三角形 $VCD$ において線分 $QR$ は辺 $CD$ と平行で、中線 $VN$ の中点 $L$ を通るため、中点連結定理により $Q, R$ はそれぞれ辺 $VD, VC$ の中点である。
四角錐 $V-ABCD$ の体積 $W$ は、
$$ W = \frac{1}{3} \cdot (4\sqrt{3})^2 \cdot 6 = 96 $$
である。
求める立体は四角錐 $V-ABRQ$ であり、これを面 $VAR$ で四面体 $V-ABR$ と四面体 $V-AQR$ に分割して考える。 また、元の四角錐 $V-ABCD$ を面 $VAC$ で四面体 $V-ABC$ と四面体 $V-ACD$ に分割すると、それぞれの体積は $\frac{1}{2}W = 48$ である。
四面体 $V-ABR$ は、四面体 $V-ABC$ と底面 $\triangle VAB$ を共有し、高さの比が $VR : VC = 1 : 2$ なので、体積は
$$ 48 \times \frac{1}{2} = 24 $$
となる。
四面体 $V-AQR$ は、四面体 $V-ACD$ と頂点 $V$ を共有し、辺の比から体積は
$$ 48 \times \frac{VA}{VA} \cdot \frac{VQ}{VD} \cdot \frac{VR}{VC} = 48 \times 1 \cdot \frac{1}{2} \cdot \frac{1}{2} = 12 $$
となる。
よって、求める体積は $24 + 12 = 36$ である。
解法2
空間座標を設定して体積を直接計算する。 点 $H$ を原点 $(0, 0, 0)$ とし、底面の辺が $x$ 軸、$y$ 軸に平行になるように $x, y, z$ 軸を定める。 各頂点の座標は、$A(2\sqrt{3}, -2\sqrt{3}, 0)$、$B(2\sqrt{3}, 2\sqrt{3}, 0)$、$C(-2\sqrt{3}, 2\sqrt{3}, 0)$、$D(-2\sqrt{3}, -2\sqrt{3}, 0)$、$V(0, 0, 6)$ と置ける。 点 $K$ は線分 $VH$ 上で $VK = 4$ なので $K(0, 0, 2)$ である。
点 $A, B, K$ を通る平面 $\alpha$ の方程式を求める。 辺 $AB$ は直線 $x = 2\sqrt{3}, z = 0$ であり、平面 $\alpha$ は $y$ 軸に平行である。 $x$ 切片が $2\sqrt{3}$、$z$ 切片が $2$ となる平面であるため、その方程式は
$$ \frac{x}{2\sqrt{3}} + \frac{z}{2} = 1 \iff x + \sqrt{3}z = 2\sqrt{3} $$
となる。
平面 $\alpha$ が辺 $VC, VD$ と交わる点をそれぞれ $R, Q$ とする。 線分 $VC$ は媒介変数 $t \ (0 \le t \le 1)$ を用いて、
$$ (x, y, z) = (0, 0, 6) + t(-2\sqrt{3}-0, 2\sqrt{3}-0, 0-6) = (-2\sqrt{3}t, 2\sqrt{3}t, 6-6t) $$
と表せる。これを平面 $\alpha$ の方程式に代入して、
$$ -2\sqrt{3}t + \sqrt{3}(6 - 6t) = 2\sqrt{3} $$
$$ -8\sqrt{3}t = -4\sqrt{3} \iff t = \frac{1}{2} $$
よって、点 $R$ は辺 $VC$ の中点であり、対称性から点 $Q$ も辺 $VD$ の中点である。 座標は $R(-\sqrt{3}, \sqrt{3}, 3), Q(-\sqrt{3}, -\sqrt{3}, 3)$ となる。
求める立体は、四角形 $ABRQ$ を底面とし、頂点を $V$ とする四角錐である。 四角形 $ABRQ$ の面積 $S$ を求める。 $AB = 4\sqrt{3}$、$QR = \sqrt{0^2 + (2\sqrt{3})^2 + 0^2} = 2\sqrt{3}$ であり、$AB \parallel QR$ より等脚台形である。 辺 $AB$ の中点 $M(2\sqrt{3}, 0, 0)$ と辺 $QR$ の中点 $L(-\sqrt{3}, 0, 3)$ の距離が台形の高さになる。
$$ ML = \sqrt{(-\sqrt{3} - 2\sqrt{3})^2 + 0^2 + (3 - 0)^2} = \sqrt{27 + 9} = 6 $$
したがって、底面積 $S$ は
$$ S = \frac{1}{2} (4\sqrt{3} + 2\sqrt{3}) \times 6 = 18\sqrt{3} $$
となる。
次に、頂点 $V(0, 0, 6)$ から平面 $\alpha: x + \sqrt{3}z - 2\sqrt{3} = 0$ に下ろした垂線の長さ $d$(四角錐の高さ)を求める。 点と平面の距離公式より、
$$ d = \frac{|0 + \sqrt{3} \cdot 6 - 2\sqrt{3}|}{\sqrt{1^2 + 0^2 + (\sqrt{3})^2}} = \frac{4\sqrt{3}}{2} = 2\sqrt{3} $$
となる。
以上より、求める体積は
$$ \frac{1}{3} \times S \times d = \frac{1}{3} \times 18\sqrt{3} \times 2\sqrt{3} = 36 $$
となる。
解説
立体の切断では、平面同士の交線が平行になる性質($AB \parallel CD$ ならば、平面 $ABK$ と平面 $VCD$ の交線もそれらに平行)を利用して切り口の形状を予想することが定石である。 解法1のように断面(平面 $VMN$)を取り出して2次元の問題に帰着させることで、切り口の比率を簡潔に求めることができる。四面体の体積比の公式は、高さを直接求めにくい立体を扱う際に非常に強力である。 一方、解法2のように空間座標を導入し、平面の方程式や点と平面の距離公式を用いて直接計算するアプローチは、計算量は増えるが思考の飛躍が少なく、確実性の高い解法と言える。
答え
$$ 36 $$
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