東京大学 1973年 文系 第4問 解説

方針・初手
関数 $g(x) = f(x) - ax$ を設定し、区間 $1 \leqq x \leqq 3$ における最大値と最小値を考える。 $g(x)$ は $1 \leqq x \leqq 2$ および $2 \leqq x \leqq 3$ のそれぞれの区間で $x$ の1次関数(または定数関数)となるため、区間の両端点 $x=1, 2, 3$ のいずれかで最大値および最小値をとる。 したがって、$x=1, 2, 3$ における $g(x)$ の値を求め、それらの大小関係を実数 $a$ の値によって場合分けして $V(a)$ を求める。
解法1
関数 $g(x) = f(x) - ax$ とおく。
$$ g(x) = \begin{cases} 1 - ax & (1 \leqq x \leqq 2) \\ (1 - a)x - 1 & (2 \leqq x \leqq 3) \end{cases} $$
$g(x)$ はそれぞれの区間において $x$ の1次関数または定数関数であるから、最大値および最小値をとる候補は区間の端点 $x = 1, 2, 3$ に限られる。それぞれの値を計算すると以下のようになる。
$$ \begin{aligned} g(1) &= 1 - a \\ g(2) &= 1 - 2a \\ g(3) &= 2 - 3a \end{aligned} $$
これらの大小関係を比較するため、2式ずつの差をとる。
$$ \begin{aligned} g(1) - g(2) &= a \\ g(2) - g(3) &= a - 1 \\ g(1) - g(3) &= 2a - 1 \end{aligned} $$
これらの差が $0$ となる $a = 0, \frac{1}{2}, 1$ を境界として場合分けを行う。
(i)
$a < 0$ のとき
$g(1) - g(2) < 0$ かつ $g(2) - g(3) < 0$ であるから、$g(1) < g(2) < g(3)$ となる。 したがって、最大値は $g(3)$、最小値は $g(1)$ であり、$V(a)$ は次のようになる。
$$ V(a) = g(3) - g(1) = (2 - 3a) - (1 - a) = 1 - 2a $$
(ii)
$0 \leqq a < \frac{1}{2}$ のとき
$g(1) - g(2) \geqq 0$ かつ $g(1) - g(3) < 0$ であるから、$g(2) \leqq g(1) < g(3)$ となる。 したがって、最大値は $g(3)$、最小値は $g(2)$ であり、$V(a)$ は次のようになる。
$$ V(a) = g(3) - g(2) = (2 - 3a) - (1 - 2a) = 1 - a $$
(iii)
$\frac{1}{2} \leqq a < 1$ のとき
$g(2) - g(3) < 0$ かつ $g(1) - g(3) \geqq 0$ であるから、$g(2) < g(3) \leqq g(1)$ となる。 したがって、最大値は $g(1)$、最小値は $g(2)$ であり、$V(a)$ は次のようになる。
$$ V(a) = g(1) - g(2) = (1 - a) - (1 - 2a) = a $$
(iv)
$a \geqq 1$ のとき
$g(1) - g(2) > 0$ かつ $g(2) - g(3) \geqq 0$ であるから、$g(3) \leqq g(2) < g(1)$ となる。 したがって、最大値は $g(1)$、最小値は $g(3)$ であり、$V(a)$ は次のようになる。
$$ V(a) = g(1) - g(3) = (1 - a) - (2 - 3a) = 2a - 1 $$
以上 (i) 〜 (iv) より、$V(a)$ は次のような関数となる。
$$ V(a) = \begin{cases} 1 - 2a & (a < 0) \\ 1 - a & (0 \leqq a < \frac{1}{2}) \\ a & (\frac{1}{2} \leqq a < 1) \\ 2a - 1 & (a \geqq 1) \end{cases} $$
$a$ の各区間における増減を調べると、$V(a)$ は $a < \frac{1}{2}$ において単調減少、$a \geqq \frac{1}{2}$ において単調増加する。 したがって、$V(a)$ は $a = \frac{1}{2}$ のとき最小値をとる。
最小値は $V\left(\frac{1}{2}\right) = \frac{1}{2}$ である。
解法2
図形的な意味から $V(a)$ を求める。 $f(x) - ax = k$ とおくと、$f(x) = ax + k$ と変形できる。 これは、直線 $y = ax + k$ が $1 \leqq x \leqq 3$ において $y = f(x)$ のグラフと共有点をもつときの $y$ 切片 $k$ を表している。 したがって、$V(a)$ はこの条件を満たす $k$ の最大値と最小値の差に等しい。
$y = f(x)$ のグラフは、3点 $\text{A}(1, 1), \text{B}(2, 1), \text{C}(3, 2)$ を結ぶ折れ線である。 傾き $a$ の直線を上下に平行移動させ、折れ線と共有点をもつ $y$ 切片 $k$ の範囲を考える。線分 AB, BC, AC の傾きはそれぞれ $0, 1, \frac{1}{2}$ である。
(1)
$a < 0$ のとき
$y$ 切片が最大となるのは直線が点 C を通るときで $k = 2 - 3a$。 $y$ 切片が最小となるのは直線が点 A を通るときで $k = 1 - a$。 よって $V(a) = (2 - 3a) - (1 - a) = 1 - 2a$。
(2)
$0 \leqq a < \frac{1}{2}$ のとき
$y$ 切片が最大となるのは直線が点 C を通るときで $k = 2 - 3a$。 $y$ 切片が最小となるのは直線が点 B を通るときで $k = 1 - 2a$。 よって $V(a) = (2 - 3a) - (1 - 2a) = 1 - a$。
(3)
$\frac{1}{2} \leqq a < 1$ のとき
$y$ 切片が最大となるのは直線が点 A を通るときで $k = 1 - a$。 $y$ 切片が最小となるのは直線が点 B を通るときで $k = 1 - 2a$。 よって $V(a) = (1 - a) - (1 - 2a) = a$。
(4)
$a \geqq 1$ のとき
$y$ 切片が最大となるのは直線が点 A を通るときで $k = 1 - a$。 $y$ 切片が最小となるのは直線が点 C を通るときで $k = 2 - 3a$。 よって $V(a) = (1 - a) - (2 - 3a) = 2a - 1$。
以上から $V(a)$ の式が求まり、最小値が $a = \frac{1}{2}$ のとき $\frac{1}{2}$ であることが分かる。
解説
折れ線からなる関数の最大値・最小値を扱う典型問題である。 関数が1次関数の組み合わせで定義されているため、最大値や最小値をとる候補が「区間の端点」または「関数の切り替わる点」に限られることに着目するのがポイントとなる。 数式のみで処理する解法1でも十分に簡潔だが、解法2のように「直線 $y = ax + k$ の $y$ 切片のとりうる幅」と図形的に解釈することで、視覚的にも見通しよく場合分けの境界(線分の傾き)を発見することができる。
答え
(i)
$\frac{1}{2}$
(ii)
$a = \frac{1}{2}$
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