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東京大学 1985年 理系 第3問 解説

数学1/立体図形数学C/空間ベクトルテーマ/空間図形テーマ/面積・体積
東京大学 1985年 理系 第3問 解説

方針・初手

四面体 $OPQR$ の体積を求めるために、まずは点 $P$ をそれぞれの平面に関して対称移動させた点 $Q, R$ の座標(または点 $P$ を始点とするベクトル $\vec{PQ}, \vec{PR}$)を求める必要がある。 そのため、条件から2つの平面の方程式を立式することが初手となる。

四面体の体積計算においては、4つの頂点座標を直接扱うと式が煩雑になるため、頂点の1つ(ここでは $P$ または $O$)を始点とする3つのベクトルを用いた底面積と高さの計算に帰着させるか、立体全体の対称性に注目して分割する工夫が有効である。

解法1

$x$ 軸を含む平面を $\alpha$ とすると、その方程式は定数 $k$ を用いて $y + kz = 0$ と表せる。 平面 $\alpha$ は点 $(t, t, 1)$ を通るため、

$$ t + k \cdot 1 = 0 \iff k = -t $$

よって、平面 $\alpha$ の方程式は $y - tz = 0$ である。 同様に、$y$ 軸を含む平面を $\beta$ とすると、その方程式は $x + lz = 0$ と表せ、点 $(t, t, 1)$ を通ることから $l = -t$ となり、平面 $\beta$ の方程式は $x - tz = 0$ である。

点 $Q$ は点 $P(t, t, 0)$ と平面 $\alpha$ に関して対称な点である。 平面 $\alpha$ の法線ベクトルは $\vec{n_\alpha} = (0, 1, -t)$ であり、直線 $PQ$ はこれに平行なので、実数 $s$ を用いて $\vec{PQ} = s(0, 1, -t)$ とおける。 線分 $PQ$ の中点の座標は $P + \frac{1}{2}\vec{PQ} = \left(t, t + \frac{s}{2}, -\frac{st}{2}\right)$ であり、これが平面 $\alpha$ 上にあるから、

$$ \left(t + \frac{s}{2}\right) - t\left(-\frac{st}{2}\right) = 0 $$

$$ t + \frac{s}{2}(1 + t^2) = 0 \iff s = -\frac{2t}{1+t^2} $$

したがって、

$$ \vec{PQ} = \left(0, -\frac{2t}{1+t^2}, \frac{2t^2}{1+t^2}\right) = \frac{2t}{1+t^2}(0, -1, t) $$

同様に、点 $R$ は点 $P$ と平面 $\beta$ に関して対称な点である。 平面 $\beta$ の法線ベクトル $\vec{n_\beta} = (1, 0, -t)$ を用いて同じ計算を行うと、

$$ \vec{PR} = \frac{2t}{1+t^2}(-1, 0, t) $$

ここで、点 $P$ を頂点とし、$\triangle PQR$ を底面とする四面体として体積 $V$ を求める。 底面 $\triangle PQR$ の面積を $S$ とする。ベクトル $\vec{u} = (0, -1, t)$ と $\vec{v} = (-1, 0, t)$ について、

$$ |\vec{u}|^2 = 1+t^2, \quad |\vec{v}|^2 = 1+t^2, \quad \vec{u} \cdot \vec{v} = t^2 $$

であるから、これらが張る三角形の面積は

$$ \frac{1}{2}\sqrt{|\vec{u}|^2|\vec{v}|^2 - (\vec{u} \cdot \vec{v})^2} = \frac{1}{2}\sqrt{(1+t^2)^2 - t^4} = \frac{\sqrt{2t^2+1}}{2} $$

よって、各辺が $\frac{2t}{1+t^2}$ 倍されている $\triangle PQR$ の面積 $S$ は、

$$ S = \left(\frac{2t}{1+t^2}\right)^2 \times \frac{\sqrt{2t^2+1}}{2} = \frac{2t^2\sqrt{2t^2+1}}{(1+t^2)^2} $$

次に、頂点 $O(0, 0, 0)$ から平面 $PQR$ に下ろした垂線の長さ(高さ) $h$ を求める。 平面 $PQR$ はベクトル $\vec{u}$ と $\vec{v}$ の両方に平行であり、その法線ベクトル $\vec{n}$ は $\vec{n} \cdot \vec{u} = 0$ かつ $\vec{n} \cdot \vec{v} = 0$ を満たす。これを解くと $\vec{n} = (t, t, 1)$ が取れる。 平面 $PQR$ は点 $P(t, t, 0)$ を通るから、その方程式は

$$ t(x - t) + t(y - t) + 1 \cdot (z - 0) = 0 \iff tx + ty + z - 2t^2 = 0 $$

点 $O(0, 0, 0)$ と平面 $PQR$ の距離 $h$ は、点と平面の距離の公式より

$$ h = \frac{|t \cdot 0 + t \cdot 0 + 1 \cdot 0 - 2t^2|}{\sqrt{t^2 + t^2 + 1^2}} = \frac{2t^2}{\sqrt{2t^2+1}} $$

以上より、求める四面体の体積 $V$ は

$$ V = \frac{1}{3} S h = \frac{1}{3} \cdot \frac{2t^2\sqrt{2t^2+1}}{(1+t^2)^2} \cdot \frac{2t^2}{\sqrt{2t^2+1}} = \frac{4t^4}{3(1+t^2)^2} $$

解法2

図形の対称性に着目して体積を求める。 解法1の $\vec{PQ}, \vec{PR}$ の結果から、点 $Q, R$ の座標はそれぞれ $\vec{OQ} = \vec{OP} + \vec{PQ}$, $\vec{OR} = \vec{OP} + \vec{PR}$ として以下のように求まる。

$$ \begin{aligned} Q\left(t, \frac{t(t^2-1)}{1+t^2}, \frac{2t^2}{1+t^2}\right) \\ R\left(\frac{t(t^2-1)}{1+t^2}, t, \frac{2t^2}{1+t^2}\right) \end{aligned} $$

点 $O, P$ はともに平面 $y = x$ 上にあり、点 $Q, R$ は $x$ 座標と $y$ 座標が入れ替わった関係にあるため、平面 $y = x$ に関して対称である。 線分 $QR$ の中点を $M$ とすると、$M$ は平面 $y = x$ 上にあり、その座標は

$$ M\left(\frac{t^3}{1+t^2}, \frac{t^3}{1+t^2}, \frac{2t^2}{1+t^2}\right) $$

である。 四面体 $OPQR$ は、平面 $y = x$(すなわち $\triangle OPM$ を含む平面)によって、2つの合同な四面体 $Q-OPM$ と $R-OPM$ に2等分される。

$\triangle OPM$ の面積を求める。

$$ |\vec{OP}|^2 = 2t^2 $$

$$ |\vec{OM}|^2 = 2\left(\frac{t^3}{1+t^2}\right)^2 + \left(\frac{2t^2}{1+t^2}\right)^2 = \frac{2t^4(t^2+2)}{(1+t^2)^2} $$

$$ \vec{OP} \cdot \vec{OM} = t \cdot \frac{t^3}{1+t^2} + t \cdot \frac{t^3}{1+t^2} + 0 = \frac{2t^4}{1+t^2} $$

したがって、$\triangle OPM$ の面積は

$$ \frac{1}{2} \sqrt{|\vec{OP}|^2|\vec{OM}|^2 - (\vec{OP} \cdot \vec{OM})^2} = \frac{1}{2} \sqrt{ \frac{4t^6(t^2+2)}{(1+t^2)^2} - \frac{4t^8}{(1+t^2)^2} } = \frac{\sqrt{2}t^3}{1+t^2} $$

四面体 $Q-OPM$ の高さは、点 $Q$ から平面 $x - y = 0$ までの距離 $d$ であるから

$$ d = \frac{\left|t - \frac{t(t^2-1)}{1+t^2}\right|}{\sqrt{1^2 + (-1)^2 + 0^2}} = \frac{1}{\sqrt{2}} \left| \frac{2t}{1+t^2} \right| = \frac{\sqrt{2}t}{1+t^2} $$

求める体積 $V$ は四面体 $Q-OPM$ の体積の2倍であるから

$$ V = 2 \times \left( \frac{1}{3} \times \frac{\sqrt{2}t^3}{1+t^2} \times \frac{\sqrt{2}t}{1+t^2} \right) = \frac{4t^4}{3(1+t^2)^2} $$

解説

平面の方程式を素早く立てる力と、空間座標における対称点の求め方が問われる問題である。 対称点 $Q, R$ の座標を求める際、原点 $O$ からの絶対座標を直接計算しようとすると分数が連なって見通しが悪くなる。解法1のように、点 $P$ を始点とするベクトル $\vec{PQ}, \vec{PR}$ を計算することで式がスリムになり、その後の外積的な処理(平面の法線ベクトルの決定)や面積計算への接続がスムーズになる。

解法2のように、立体の対称性(本問では $x$ 座標と $y$ 座標の対称性)に気づくことができると、複雑な平面の方程式を立てることなく距離や面積の計算が完了し、計算ミスのリスクを大幅に減らすことができる。

答え

$$ \frac{4t^4}{3(1+t^2)^2} $$

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