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東京大学 1988年 文系 第1問 解説

数学C/式と曲線数学2/図形と式テーマ/二次曲線
東京大学 1988年 文系 第1問 解説

方針・初手

動点 $P$ の軌跡が、2定点 $A, B$ を焦点とする楕円であることを利用する。 直線 $m$ は $A, B$ を通る直線 $l$ と平行であるため、線分 $AB$ の中点を原点とする座標平面を設定し、楕円の方程式と直線の方程式の交点として処理する。

解法1

線分 $AB$ の中点を原点 $O$ とし、直線 $l$ を $x$ 軸、線分 $AB$ の垂直二等分線を $y$ 軸とする座標平面を設定する。 $A, B$ 間の距離は 10 であるから、$A(-5, 0), B(5, 0)$ としても一般性を失わない。

$A, P$ 間の距離と $B, P$ 間の距離の和が 15 であるような点 $P$ の軌跡は、点 $A, B$ を焦点とし、長軸の長さが 15 の楕円となる。 この楕円の方程式を

$$ \frac{x^2}{a^2} + \frac{y^2}{b^2} = 1 \quad (a > b > 0) $$

とおく。長軸の長さが $2a = 15$ より $a = \frac{15}{2}$ である。 焦点の $x$ 座標は $\pm \sqrt{a^2 - b^2} = \pm 5$ であるから、

$$ a^2 - b^2 = 25 $$

$$ b^2 = \left(\frac{15}{2}\right)^2 - 25 = \frac{225}{4} - \frac{100}{4} = \frac{125}{4} $$

したがって、この楕円の方程式は

$$ \frac{4x^2}{225} + \frac{4y^2}{125} = 1 $$

となる。

直線 $m$ は直線 $l$ ($x$ 軸) に平行であるから、その方程式を $y = d$ ($d > 0$) とおく。この $d$ が求める距離である。 点 $P$ は直線 $m$ 上を動くため、$P$ が条件 $AP + BP = 15$ を満たすとき、$P$ は直線 $m$ と楕円の交点にある。

ある時刻と、その 5 秒後に $P$ は交点にあった。$P$ は秒速 1 メートルで直線 $m$ 上を一定の向きに動いているため、この 2 つの交点の間の距離は $1 \times 5 = 5$ メートルである。 楕円は $y$ 軸に関して対称であり、直線 $y = d$ と楕円の交点も $y$ 軸に関して対称な 2 点となる。 したがって、交点の $x$ 座標は $\pm \frac{5}{2}$ である。

交点の1つ $\left(\frac{5}{2}, d\right)$ は楕円上にあるから、方程式に代入して、

$$ \frac{4}{225} \left(\frac{5}{2}\right)^2 + \frac{4d^2}{125} = 1 $$

$$ \frac{4}{225} \cdot \frac{25}{4} + \frac{4d^2}{125} = 1 $$

$$ \frac{1}{9} + \frac{4d^2}{125} = 1 $$

$$ \frac{4d^2}{125} = \frac{8}{9} $$

$$ d^2 = \frac{8}{9} \cdot \frac{125}{4} = \frac{250}{9} $$

$d > 0$ より、

$$ d = \frac{\sqrt{250}}{3} = \frac{5\sqrt{10}}{3} $$

以上より、2 直線 $l, m$ のあいだの距離は $\frac{5\sqrt{10}}{3}$ メートルである。

解説

2定点からの距離の和が一定である点 $P$ の軌跡を考え、楕円の定義に結びつけるのが最大のポイントである。 「ある時刻」と「その5秒後」に同じ条件を満たし、かつ速さが一定で向きも変わらないことから、条件を満たす楕円上の2点間の距離が5メートルであることが分かる。 線分 $AB$ の中点を原点にとり、図形の対称性を活用して座標を設定することで、計算量を大幅に減らすことができる。

答え

$$ \frac{5\sqrt{10}}{3} $$

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