東京大学 1967年 文系 第5問 解説

方針・初手
点 $(x, y)$ を固定したときに、与えられた方程式を満たす正の実数 $a$ が存在するための $(x, y)$ の条件を求める「逆像法」の考え方を用いる。 方程式を $a$ について整理し、$a > 0$ において実数解をもつ条件を調べるのが第一の手である。
解法1
点 $(x, y)$ が求める範囲にある条件は、方程式
$$ \frac{x^2}{a} + ay^2 = 1 $$
を満たす正の実数 $a$ が存在することである。 この方程式の両辺に $a$ を掛けて整理すると、
$$ y^2 a^2 - a + x^2 = 0 $$
となる。これを $a$ についての方程式とみて、正の実数解をもつ条件を考える。
(i)
$y = 0$ のとき
方程式は $-a + x^2 = 0$ となる。これを解くと
$$ a = x^2 $$
これが $a > 0$ を満たすための条件は $x^2 > 0$、すなわち $x \neq 0$ である。 したがって、点 $(x, y)$ が $x$ 軸上にある場合は、原点 $(0, 0)$ のみが除外される。
(ii)
$y \neq 0$ のとき
方程式は $a$ の2次方程式となる。左辺を $f(a)$ とおく。
$$ f(a) = y^2 a^2 - a + x^2 $$
条件は、$f(a) = 0$ が $a > 0$ に少なくとも1つの実数解をもつことである。 放物線 $b = f(a)$ を考えると、 $a$ 切片は $f(0) = x^2 \ge 0$ であり、軸の方程式は $a = \frac{1}{2y^2}$ である。 $y \neq 0$ より軸は常に $a > 0$ の部分にあるため、$f(a) = 0$ が実数解をもてば、その解は少なくとも1つは正となる($f(0) = 0$ のときは、$a = 0$ ともう一つの正の解をもつ)。 したがって、求める条件は $f(a) = 0$ が実数解をもつこと、すなわち判別式 $D \ge 0$ である。
$$ D = (-1)^2 - 4 \cdot y^2 \cdot x^2 \ge 0 $$
$$ 1 - 4x^2 y^2 \ge 0 $$
$$ x^2 y^2 \le \frac{1}{4} $$
$$ -\frac{1}{2} \le xy \le \frac{1}{2} $$
(i)、(ii) の結果をまとめる。 $y = 0$ のときは $-\frac{1}{2} \le x \cdot 0 \le \frac{1}{2}$ を常に満たすが、(i) より原点 $(0,0)$ が除外されている。 $y \neq 0$ のときは $-\frac{1}{2} \le xy \le \frac{1}{2}$ であり、この範囲に原点が含まれることはない。 よって、求める範囲は
$$ -\frac{1}{2} \le xy \le \frac{1}{2} \quad \text{ただし} \quad (x, y) \neq (0, 0) $$
である。
解法2
点 $(x, y)$ が求める範囲にある条件は、$a > 0$ で定義された関数
$$ g(a) = \frac{x^2}{a} + ay^2 $$
の値域に $1$ が含まれることである。
(i)
$x = 0, y = 0$ のとき
$g(a) = 0$ となり、$g(a) = 1$ を満たす $a$ は存在しない。
(ii)
$x \neq 0, y = 0$ のとき
$g(a) = \frac{x^2}{a}$ となる。 $a > 0$ の範囲で $g(a)$ は正の実数全体を動くため、$g(a) = 1$ となる $a$ は存在する。
(iii)
$x = 0, y \neq 0$ のとき
$g(a) = ay^2$ となる。 $a > 0$ の範囲で $g(a)$ は正の実数全体を動くため、$g(a) = 1$ となる $a$ は存在する。
(iv)
$x \neq 0, y \neq 0$ のとき
$a > 0$ より $\frac{x^2}{a} > 0, ay^2 > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より
$$ g(a) = \frac{x^2}{a} + ay^2 \ge 2 \sqrt{\frac{x^2}{a} \cdot ay^2} = 2\sqrt{x^2 y^2} = 2|xy| $$
等号が成立するのは $\frac{x^2}{a} = ay^2$、すなわち $a = \left| \frac{x}{y} \right| > 0$ のときである。 また、$a \to +0$ および $a \to \infty$ のとき $g(a) \to \infty$ であり、$g(a)$ は $a > 0$ において連続であるから、$g(a)$ は最小値 $2|xy|$ 以上のすべての実数値をとる。 したがって、$g(a) = 1$ となる $a > 0$ が存在するための条件は
$$ 2|xy| \le 1 $$
$$ -\frac{1}{2} \le xy \le \frac{1}{2} $$
である。
以上の (i) 〜 (iv) より、求める範囲は
$$ -\frac{1}{2} \le xy \le \frac{1}{2} \quad \text{かつ} \quad (x, y) \neq (0, 0) $$
である。
解説
軌跡や領域を求める問題において、動くパラメータ(本問では $a$)の方程式とみて実数解条件に帰着させる「逆像法(逆手流)」の典型問題である。 解法1では $a$ の2次方程式として解の配置問題に帰着させている。軸の位置と端点の符号に注目すれば、単なる判別式の条件だけで済むことがわかる。 解法2では関数の値域として捉え、相加平均と相乗平均の大小関係を用いて最小値を求めている。直感的に理解しやすく計算も少ないが、等号成立条件の確認と、値域が連続であることを踏まえる必要がある。
答え
求める範囲は
$$ -\frac{1}{2} \le xy \le \frac{1}{2} \quad \text{ただし} \quad (x, y) \neq (0, 0) $$
図示すると以下のようになる。 双曲線 $y = \frac{1}{2x}$ と $y = -\frac{1}{2x}$ に挟まれた領域である(境界線は含み、原点のみを除く)。
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