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東京大学 2000年 理系 第1問 解説

数学C/式と曲線数学2/図形と式テーマ/二次曲線テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小
東京大学 2000年 理系 第1問 解説

方針・初手

三角形の頂点を座標平面上に設定し、条件を満たす楕円の方程式を文字でおいて接する条件を立式する。また、特定の方向に拡大・縮小するアフィン変換を用いて、楕円を円に帰着させて面積を最大化する方針も有効である。

解法1

直角二等辺三角形 $ABC$ の辺 $BC$ の中点を原点 $O$ とし、直線 $BC$ を $x$軸にとる。

$BC=2$ であり、$AB=AC$ の直角二等辺三角形であるから、$A$ は $y$軸上にあり、$\angle A = 90^\circ$ より $OA = \frac{1}{2}BC = 1$ である。

よって、各頂点の座標は $A(0, 1)$、$B(-1, 0)$、$C(1, 0)$ と表せる。 辺 $BC, CA, AB$ の存在する直線の方程式はそれぞれ以下のようになる。

直線 $BC$ : $y = 0$

直線 $CA$ : $x + y - 1 = 0$

直線 $AB$ : $x - y + 1 = 0$

求める楕円はひとつの軸が $BC$ ($x$軸) に平行であるから、その方程式を

$$ \frac{(x-p)^2}{a^2} + \frac{(y-q)^2}{b^2} = 1 \quad (a>0, b>0) $$

とおく。この楕円の面積は $S = \pi ab$ である。

楕円は直線 $BC$ ($y=0$) に接し、かつ $\triangle ABC$ の内部に含まれるため、接点の $y$座標は $0$ であり、楕円の中心の $y$座標は $q = b$ となる。 したがって、楕円の方程式は

$$ \frac{(x-p)^2}{a^2} + \frac{(y-b)^2}{b^2} = 1 $$

となる。 次に、この楕円が直線 $x + y - 1 = 0$ と $x - y + 1 = 0$ に接する条件を求める。

一般に、楕円 $\frac{X^2}{a^2} + \frac{Y^2}{b^2} = 1$ に接する傾き $m$ の接線の方程式は $Y = mX \pm \sqrt{a^2m^2+b^2}$ と表される。 求める楕円は、上記の標準形の楕円を $x$軸方向に $p$、$y$軸方向に $b$ だけ平行移動したものであるから、接線の方程式は

$$ y - b = m(x - p) \pm \sqrt{a^2m^2+b^2} $$

すなわち

$$ y = m x - m p + b \pm \sqrt{a^2m^2+b^2} $$

となる。 直線 $CA$ ($y = -x + 1$) は $m = -1$ の接線であるから、その $y$切片について

$$ p + b \pm \sqrt{a^2+b^2} = 1 \iff 1 - p - b = \pm \sqrt{a^2+b^2} $$

両辺を2乗して

$$ (1 - p - b)^2 = a^2 + b^2 \quad \cdots (1) $$

直線 $AB$ ($y = x + 1$) は $m = 1$ の接線であるから、その $y$切片について

$$ -p + b \pm \sqrt{a^2+b^2} = 1 \iff 1 + p - b = \pm \sqrt{a^2+b^2} $$

両辺を2乗して

$$ (1 + p - b)^2 = a^2 + b^2 \quad \cdots (2) $$

(1)と(2)の辺々を引くと

$$ (1 - p - b)^2 - (1 + p - b)^2 = 0 $$

$$ \{ (1 - p - b) - (1 + p - b) \} \{ (1 - p - b) + (1 + p - b) \} = 0 $$

$$ (-2p)(2 - 2b) = 0 $$

$$ -4p(1 - b) = 0 $$

楕円が $\triangle ABC$ の内部に存在するため、その短径・長径の制約から $0 < b < 1$ である。 よって $1 - b \neq 0$ であり、$p = 0$ を得る。 $p=0$ を(1)に代入すると

$$ (1 - b)^2 = a^2 + b^2 $$

$$ 1 - 2b + b^2 = a^2 + b^2 $$

$$ a^2 = 1 - 2b $$

$a > 0$ より、面積 $S = \pi ab$ は

$$ S = \pi b \sqrt{1 - 2b} $$

となる。 $f(b) = S^2 = \pi^2 b^2 (1 - 2b) = \pi^2 (b^2 - 2b^3)$ とおく。 $a^2 > 0$ より $1 - 2b > 0$ すなわち $0 < b < \frac{1}{2}$ の範囲で $f(b)$ の最大値を求める。

$$ f'(b) = \pi^2 (2b - 6b^2) = 2\pi^2 b(1 - 3b) $$

$f'(b) = 0$ となるのは $b = \frac{1}{3}$ のときである。 $0 < b < \frac{1}{3}$ で $f'(b) > 0$、$\frac{1}{3} < b < \frac{1}{2}$ で $f'(b) < 0$ であるため、$f(b)$ は $b = \frac{1}{3}$ で最大値をとる。 最大値は

$$ f \left( \frac{1}{3} \right) = \pi^2 \left\{ \left(\frac{1}{3}\right)^2 - 2\left(\frac{1}{3}\right)^3 \right\} = \pi^2 \left( \frac{1}{9} - \frac{2}{27} \right) = \frac{\pi^2}{27} $$

$S > 0$ であるから、$S$ の最大値は

$$ \sqrt{\frac{\pi^2}{27}} = \frac{\sqrt{3}}{9}\pi $$

である。

解法2

アフィン変換を用いて、楕円を円に帰着させる。

$\triangle ABC$ を、頂点の座標が $A(0, 1)$、$B(-1, 0)$、$C(1, 0)$ となるように配置する。 この平面を $y$軸方向に $k$ 倍 ($k > 0$) 拡大・縮小する変換を行うと、求める楕円は円に変換される。 このとき、$\triangle ABC$ は $A'(0, k)$、$B'(-1, 0)$、$C'(1, 0)$ を頂点とする二等辺三角形 $\triangle A'B'C'$ に変換される。

元の楕円が $\triangle ABC$ に内接する面積最大の楕円であるとき、変換後の円は $\triangle A'B'C'$ の内接円となる。 (元の楕円の軸が $x$軸、$y$軸に平行であるため、この軸に沿った変換で全ての候補を円に帰着できる。)

$\triangle A'B'C'$ の辺の長さは、$B'C' = 2$、$A'B' = A'C' = \sqrt{1^2 + k^2} = \sqrt{k^2+1}$ である。 $\triangle A'B'C'$ の内接円の半径を $r$ とおく。 三角形の面積を二通りで表すと

$$ \frac{1}{2} \cdot 2 \cdot k = \frac{1}{2} \left( 2 + 2\sqrt{k^2+1} \right) r $$

$$ k = \left( 1 + \sqrt{k^2+1} \right) r $$

$$ r = \frac{k}{1 + \sqrt{k^2+1}} $$

変換後の円の面積は $\pi r^2$ である。 元の楕円の面積を $S$ とすると、変換によって面積は $k$ 倍になるため、$\pi r^2 = kS$ が成り立つ。 よって

$$ S = \frac{\pi r^2}{k} = \frac{\pi k}{\left( 1 + \sqrt{k^2+1} \right)^2} $$

$t = \sqrt{k^2+1}$ とおくと、$k^2 = t^2 - 1$ である。$k > 0$ より $t > 1$ である。

$$ S = \pi \frac{\sqrt{t^2-1}}{(1+t)^2} = \pi \sqrt{ \frac{t^2-1}{(t+1)^4} } = \pi \sqrt{ \frac{t-1}{(t+1)^3} } $$

根号の中を $g(t) = \frac{t-1}{(t+1)^3}$ とおく。

$$ g'(t) = \frac{1 \cdot (t+1)^3 - (t-1) \cdot 3(t+1)^2}{(t+1)^6} = \frac{(t+1) - 3(t-1)}{(t+1)^4} = \frac{-2t+4}{(t+1)^4} $$

$t > 1$ の範囲において、$g'(t) = 0$ となるのは $t = 2$ のときである。 $1 < t < 2$ のとき $g'(t) > 0$、$t > 2$ のとき $g'(t) < 0$ であるため、$g(t)$ は $t=2$ で最大となる。 このとき、$g(2) = \frac{2-1}{(2+1)^3} = \frac{1}{27}$ であるから、$S$ の最大値は

$$ S = \pi \sqrt{\frac{1}{27}} = \frac{\sqrt{3}}{9}\pi $$

となる。(このとき $k = \sqrt{3}$ であり、実数として存在する。)

解説

座標平面上に図形を配置して方程式を立式する代数的アプローチ(解法1)と、アフィン変換を用いて円の問題に帰着させる幾何的アプローチ(解法2)の2つの標準的な手法がある。

解法1では、対称性から中心の $x$座標が $0$ になることを式変形から示したが、図形の対称性から自明として $p=0$ を前提に立式しても問題ない。接線公式を活用すると計算量を抑えることができる。

解法2は、計算量が少なく見通しが良い。楕円の最大化問題をアフィン変換によって内接円に帰着させる手法は、入試数学において非常に強力なテクニックである。

答え

$$ \frac{\sqrt{3}}{9}\pi $$

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