東京大学 2001年 文系 第1問 解説

方針・初手
四面体の辺の長さに多くの等しい部分があることに着目し、対称性を利用して外接球の中心の位置を絞り込む。 特定の辺の中点を結ぶ平面(対称面)を考え、図形的な性質から中心を特定するか、空間座標を導入して代数的に処理するのが有効である。
解法1
四面体の対称性を利用して、空間座標を導入する。
線分 $CD$ の中点を $M$ とし、空間座標の原点 $(0,0,0)$ にとる。 $AC=AD=2$, $BC=BD=2$ であるから、$\triangle ACD$ と $\triangle BCD$ はともに一辺の長さが $2$ の正三角形である。 したがって、$AM \perp CD$, $BM \perp CD$ であり、
$$ AM = BM = \sqrt{2^2 - 1^2} = \sqrt{3} $$
となる。 これにより $CD \perp$ 平面 $ABM$ となるため、直線 $CD$ を $x$ 軸上にとり、$C(1,0,0), D(-1,0,0)$ としても一般性を失わない。 このとき、点 $A, B$ は $x=0$ ($yz$ 平面)上にある。
$yz$ 平面上にある $\triangle ABM$ は、$AM=BM=\sqrt{3}$, $AB=\sqrt{3}$ より一辺の長さが $\sqrt{3}$ の正三角形である。 線分 $AB$ の中点を $N$ とすると、$MN \perp AB$ であり、
$$ MN = \sqrt{(\sqrt{3})^2 - \left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2} = \sqrt{3 - \frac{3}{4}} = \frac{3}{2} $$
となる。 半直線 $MN$ を $y$ 軸の正の向きにとると、$N\left(0, \frac{3}{2}, 0\right)$ となる。 直線 $AB$ は $z$ 軸と平行になるため、$A, B$ の座標は、
$$ A\left(0, \frac{3}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right), \quad B\left(0, \frac{3}{2}, -\frac{\sqrt{3}}{2}\right) $$
とおける。 (念のため $AC$ の長さを確認すると、$AC^2 = (0-1)^2 + \left(\frac{3}{2}-0\right)^2 + \left(\frac{\sqrt{3}}{2}-0\right)^2 = 1 + \frac{9}{4} + \frac{3}{4} = 4$ となり、条件 $AC=2$ を満たしている)
四面体 $ABCD$ の外接球の中心を $O$ とし、その座標を $(x, y, z)$ とする。 $O$ は $C, D$ から等距離にあるため $x=0$ である。 また、$O$ は $A, B$ から等距離にあるため $z=0$ である。 したがって、$O$ は $y$ 軸上にあり、$O(0, y, 0)$ と表せる。
外接球の半径を $r$ $(r>0)$ とすると、$OA^2 = OC^2 = r^2$ が成り立つ。
$$ OC^2 = (1-0)^2 + (0-y)^2 + 0^2 = y^2 + 1 $$
$$ OA^2 = 0^2 + \left(\frac{3}{2}-y\right)^2 + \left(\frac{\sqrt{3}}{2}-0\right)^2 = y^2 - 3y + \frac{9}{4} + \frac{3}{4} = y^2 - 3y + 3 $$
これらが等しいので、
$$ y^2 + 1 = y^2 - 3y + 3 $$
$$ 3y = 2 $$
$$ y = \frac{2}{3} $$
これを $OC^2$ に代入して、
$$ r^2 = \left(\frac{2}{3}\right)^2 + 1 = \frac{13}{9} $$
$r>0$ より、求める半径 $r$ は、
$$ r = \frac{\sqrt{13}}{3} $$
解法2
四面体 $ABCD$ の外接球の中心を $O$ とし、半径を $r$ とする。 線分 $CD$ の中点を $M$、線分 $AB$ の中点を $N$ とする。
条件より $\triangle ACD$ と $\triangle BCD$ は一辺の長さが $2$ の正三角形であるから、$AM \perp CD$, $BM \perp CD$ となり、
$$ AM = BM = \sqrt{2^2 - 1^2} = \sqrt{3} $$
である。 $AM \perp CD, BM \perp CD$ より、直線 $CD$ は平面 $ABM$ と垂直である。
球の中心 $O$ は $OC=OD=r$ を満たすため、線分 $CD$ の垂直二等分面上にある。 点 $M$ は $CD$ の中点であり、$CD \perp$ 平面 $ABM$ であるから、平面 $ABM$ は線分 $CD$ の垂直二等分面そのものである。 したがって、点 $O$ は平面 $ABM$ 上に存在する。
また、$OA=OB=r$ であるから、$O$ は線分 $AB$ の垂直二等分面上にも存在する。 平面 $ABM$ 上において、点 $A, B$ から等距離にある点の集合は直線 $MN$ である。($\triangle ABM$ は $AM=BM$ の二等辺三角形であるため) よって、球の中心 $O$ は直線 $MN$ 上に存在する。
$\triangle ABM$ は $AB=AM=BM=\sqrt{3}$ の正三角形であるから、$MN \perp AB$ であり、
$$ MN = \sqrt{(\sqrt{3})^2 - \left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2} = \frac{3}{2} $$
となる。
$O$ は直線 $MN$ 上にあり、$CD \perp$ 平面 $ABM$ であるから、$OM \perp CD$ である。 直角三角形 $\triangle OMC$ において三平方の定理より、
$$ OC^2 = OM^2 + CM^2 $$
$$ r^2 = OM^2 + 1^2 = OM^2 + 1 \quad \cdots \text{(1)} $$
また、$O$ は直線 $MN$ 上にあり、$MN \perp AB$ であるから、$ON \perp AB$ である。 直角三角形 $\triangle ONA$ において三平方の定理より、
$$ OA^2 = ON^2 + AN^2 $$
$$ r^2 = ON^2 + \left(\frac{\sqrt{3}}{2}\right)^2 = ON^2 + \frac{3}{4} \quad \cdots \text{(2)} $$
直線 $MN$ 上に点 $M$ を原点とする数直線 $y$ をとり、点 $N$ の座標を $\frac{3}{2}$ とする。点 $O$ の座標を $y$ とおくと、
$$ OM^2 = y^2 $$
$$ ON^2 = \left(\frac{3}{2} - y\right)^2 $$
これらを(1)、(2)に代入して $r^2$ を消去すると、
$$ y^2 + 1 = \left(\frac{3}{2} - y\right)^2 + \frac{3}{4} $$
$$ y^2 + 1 = y^2 - 3y + \frac{9}{4} + \frac{3}{4} $$
$$ y^2 + 1 = y^2 - 3y + 3 $$
$$ 3y = 2 $$
$$ y = \frac{2}{3} $$
したがって、
$$ r^2 = \left(\frac{2}{3}\right)^2 + 1 = \frac{13}{9} $$
$r>0$ より、
$$ r = \frac{\sqrt{13}}{3} $$
解説
対称性の高い四面体の外接球を求める典型問題である。 空間図形の問題では、「等距離にある点の集合は垂直二等分面になる」という性質を利用して、求めるべき点(本問では球の中心)が存在する平面や直線を絞り込むアプローチが非常に強力である。 解法1のように対称性を生かして適切に座標軸を設定すれば、視覚的な捉えにくさを代数的な計算に帰着できるため、確実かつミスなく解答に至ることができる。
答え
$$ r = \frac{\sqrt{13}}{3} $$
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