東京大学 2021年 文系 第3問 解説

方針・初手
(1) については、2つの放物線の共有点の $x$ 座標が満たす方程式を立て、それが $-1 < x < 0$ と $0 < x < 1$ にそれぞれ1つずつ解をもつための条件を求める。「解の配置問題」としてグラフの端点での正負を考える。
(2) については、(1)で求めた領域内の点 $(a, b)$ が存在して $y = x^2 + ax + b$ を満たすような点 $(x, y)$ の範囲を求める。$x$ を任意の実数として固定し、$y$ を $a, b$ の式とみたときのとりうる値の範囲を考える。
解法1
(1)
放物線 $y = x^2 + ax + b$ と $y = -x^2$ から $y$ を消去して整理すると、次の2次方程式を得る。
$$ 2x^2 + ax + b = 0 $$
$f(x) = 2x^2 + ax + b$ とおく。 2つの放物線が、一方は $-1 < x < 0$、他方は $0 < x < 1$ の範囲で交わるための条件は、2次方程式 $f(x) = 0$ がこれらの範囲にそれぞれ1つずつ実数解をもつことである。
$y = f(x)$ のグラフは下に凸の放物線であるから、求める条件は
$$ f(-1) > 0 $$
かつ
$$ f(0) < 0 $$
かつ
$$ f(1) > 0 $$
である。それぞれ計算すると、
$$ f(-1) = 2 - a + b > 0 \iff b > a - 2 $$
$$ f(0) = b < 0 $$
$$ f(1) = 2 + a + b > 0 \iff b > -a - 2 $$
したがって、点 $(a, b)$ のとりうる範囲は、不等式 $b > a - 2$ かつ $b < 0$ かつ $b > -a - 2$ を満たす領域である。
(2)
点 $(x, y)$ が放物線 $C$ の通りうる範囲にある条件は、(1)で求めた領域 $D$ 内に $y = x^2 + ax + b$ を満たす点 $(a, b)$ が存在することである。
$x$ を任意の実数として固定し、$a, b$ についての関数を次のように定める。
$$ g(a, b) = ax + b + x^2 $$
点 $(a, b)$ が領域 $D$ 内を動くとき、直線 $y = g(a, b)$ のとりうる値の範囲を考えればよい。(1)より、領域 $D$ は3つの直線 $b = a - 2, b = 0, b = -a - 2$ で囲まれた三角形の内部であり、境界線は含まない。この三角形の頂点を $P, Q, R$ とすると、それぞれの座標は $P(-2, 0), Q(2, 0), R(0, -2)$ である。
$g(a, b)$ は $a, b$ についての1次式であるから、その値は領域の端点である3頂点での値の最小値から最大値までの間(両端を含まない)を動く。各頂点における $g(a, b)$ の値を計算する。
$$ y_P = g(-2, 0) = -2x + x^2 = x^2 - 2x $$
$$ y_Q = g(2, 0) = 2x + x^2 = x^2 + 2x $$
$$ y_R = g(0, -2) = -2 + x^2 = x^2 - 2 $$
$x$ の値によってこれらの大小関係が変わるため、差をとって比較する。
$$ y_Q - y_P = 4x $$
$$ y_P - y_R = -2x + 2 = -2(x - 1) $$
$$ y_Q - y_R = 2x + 2 = 2(x + 1) $$
これらをもとに、$x$ の値で場合分けを行う。
(i)
$x < -1$ のとき $y_Q < y_R < y_P$ となるため、最小値は $y_Q$、最大値は $y_P$ である。 したがって、$x^2 + 2x < y < x^2 - 2x$
(ii)
$-1 \le x < 0$ のとき $y_R \le y_Q < y_P$ となるため、最小値は $y_R$、最大値は $y_P$ である。 したがって、$x^2 - 2 < y < x^2 - 2x$
(iii)
$0 \le x < 1$ のとき $y_R \le y_P < y_Q$ となるため、最小値は $y_R$、最大値は $y_Q$ である。 したがって、$x^2 - 2 < y < x^2 + 2x$
(iv)
$x \ge 1$ のとき $y_P \le y_R < y_Q$ となるため、最小値は $y_P$、最大値は $y_Q$ である。 したがって、$x^2 - 2x < y < x^2 + 2x$
以上をまとめると、求める領域の不等式が得られる。
解説
(1)は 2 次方程式の解の配置問題として整理できる。上に開く放物線であることを踏まえ、端点での符号を見ればよい。
(2)では $x$ を固定し、$y=ax+b+x^2$ を $(a,b)$ に関する 1 次式とみると整理しやすい。1 次式の値域は三角形領域の頂点での値から決まるので、それぞれを比較して上下の境界を求める。
答え
(1)
図示する領域は、3点 $(-2, 0), (2, 0), (0, -2)$ を頂点とする三角形の内部である。 境界線(3つの辺)はすべて含まない。
(2)
図示する領域は、以下の曲線で囲まれた部分である。 上側の境界線: $x < 0$ のとき $y = x^2 - 2x$ $x \ge 0$ のとき $y = x^2 + 2x$
下側の境界線: $x < -1$ のとき $y = x^2 + 2x$ $-1 \le x \le 1$ のとき $y = x^2 - 2$ $x > 1$ のとき $y = x^2 - 2x$
境界線はすべて含まない。
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