トップ 東京大学 2004年 文系 第3問

東京大学 2004年 文系 第3問 解説

数学2/微分法テーマ/数学的帰納法テーマ/場合分けテーマ/存在証明
東京大学 2004年 文系 第3問 解説

方針・初手

与えられた関数 $g(x)$, $h(x)$ が $f(x)$ の合成関数として表せることに着目する。 すなわち、$g(x) = f(f(x))$、$h(x) = f(g(x))$ である。 (1) で $y = f(x)$ のグラフと直線 $y = a$ の共有点の個数を調べ、(2)、(3) ではその結果を利用して、内側にある関数の値域から外側の関数の解の個数を連鎖的に求めていく。

解法1

(1)

$f(x) = x^3 - 3x$ を微分すると

$$ f'(x) = 3x^2 - 3 = 3(x+1)(x-1) $$

$f'(x) = 0$ となるのは $x = \pm 1$ のときである。 $x = -1$ のとき極大値 $f(-1) = -1 + 3 = 2$ をとり、$x = 1$ のとき極小値 $f(1) = 1 - 3 = -2$ をとる。

$y = f(x)$ のグラフは、点 $(-1, 2)$ で極大、点 $(1, -2)$ で極小となる連続な曲線である。 $f(x) = a$ を満たす実数 $x$ の個数は、$y = f(x)$ のグラフと直線 $y = a$ の共有点の個数に等しい。 極値と $a$ の大小関係を比較すると、以下のようになる。

(2)

$g(x) = \{f(x)\}^3 - 3f(x)$ より、$g(x) = f(f(x))$ である。 $g(x) = 0$ すなわち $f(f(x)) = 0$ について、$f(x) = t$ とおくと

$$ f(t) = 0 $$

となる。 $f(t) = t^3 - 3t = t(t^2 - 3)$ であるから、$f(t) = 0$ の解は

$$ t = 0, \pm\sqrt{3} $$

である。したがって、$f(x) = 0$、$f(x) = \sqrt{3}$、$f(x) = -\sqrt{3}$ を満たす $x$ の個数の総和が求める個数である。 ここで、$1 < \sqrt{3} < 2$ であるため、$t = 0, \sqrt{3}, -\sqrt{3}$ はいずれも $-2 < t < 2$ を満たす。 (1) の結果より、$-2 < a < 2$ を満たす任意の $a$ に対して、$f(x) = a$ の実数解は 3個存在する。 よって、$f(x) = 0$、$f(x) = \sqrt{3}$、$f(x) = -\sqrt{3}$ はそれぞれ 3個の異なる実数解をもつ。 以上より、求める実数 $x$ の個数は

$$ 3 + 3 + 3 = 9 $$

となる。

(3)

$h(x) = \{g(x)\}^3 - 3g(x)$ より、$h(x) = f(g(x))$ である。 $h(x) = 0$ すなわち $f(g(x)) = 0$ について、$g(x) = s$ とおくと

$$ f(s) = 0 $$

となる。 (2) と同様に、$s = 0, \pm\sqrt{3}$ であるから、$g(x) = 0$、$g(x) = \sqrt{3}$、$g(x) = -\sqrt{3}$ を満たす $x$ の個数の総和を求めればよい。

(i)

$g(x) = 0$ のとき

(2) の結果より、これを満たす実数 $x$ は 9個ある。

(ii)

$g(x) = \sqrt{3}$ のとき

$f(f(x)) = \sqrt{3}$ において、$f(x) = u$ とおくと

$$ f(u) = \sqrt{3} $$

$1 < \sqrt{3} < 2$ であるから、(1) の結果より $f(u) = \sqrt{3}$ を満たす実数 $u$ は 3個存在する。 これらを小さい順に $u_1, u_2, u_3$ とおく。 $f(-2) = -2$、$f(-1) = 2$、$f(0) = 0$、$f(1) = -2$、$f(2) = 2$ であることから、$y = f(x)$ のグラフと直線 $y = \sqrt{3}$ の交点の $x$ 座標を考えると

$$ -2 < u_1 < -1, \quad -1 < u_2 < 0, \quad 1 < u_3 < 2 $$

となる。 したがって、$u_1, u_2, u_3$ はいずれも $-2 < u < 2$ の範囲にある。 よって、(1) より $f(x) = u_1$、$f(x) = u_2$、$f(x) = u_3$ はそれぞれ 3個の実数解をもつ。 ゆえに、$g(x) = \sqrt{3}$ を満たす実数 $x$ の個数は $3 \times 3 = 9$ 個である。

(iii)

$g(x) = -\sqrt{3}$ のとき

$f(f(x)) = -\sqrt{3}$ において、$f(x) = v$ とおくと

$$ f(v) = -\sqrt{3} $$

$-2 < -\sqrt{3} < -1$ であるから、(1) の結果より $f(v) = -\sqrt{3}$ を満たす実数 $v$ も 3個存在する。 これらを小さい順に $v_1, v_2, v_3$ とおくと、(ii) と同様にグラフから考えて

$$ -2 < v_1 < -1, \quad 0 < v_2 < 1, \quad 1 < v_3 < 2 $$

となる。 したがって、$v_1, v_2, v_3$ はいずれも $-2 < v < 2$ の範囲にある。 よって、(1) より $f(x) = v_1$、$f(x) = v_2$、$f(x) = v_3$ はそれぞれ 3個の実数解をもつ。 ゆえに、$g(x) = -\sqrt{3}$ を満たす実数 $x$ の個数は $3 \times 3 = 9$ 個である。

(i)、(ii)、(iii) の事象は互いに排反であるため、求める実数 $x$ の個数は

$$ 9 + 9 + 9 = 27 $$

となる。

解説

関数が $f(f(x))$、$f(f(f(x)))$ と再帰的に合成されている構造に気づくことが最大のポイントである。 高次方程式の解を具体的にすべて求めることは不可能に近いため、グラフの形状と「解の存在範囲」に着目して交点の個数をカウントしていく、視覚的かつ論理的な考察が要求される。 特に (3) において、$f(u) = \pm\sqrt{3}$ の解 $u$ が具体的に求まらなくても、グラフから $-2 < u < 2$ の範囲に収まることを論証する部分が重要である。極値を与える $x$ 座標や、その周辺の整数での関数値を調べることで、解の存在範囲を絞り込む手法は頻出テクニックである。

答え

(1)

(2)

9個

(3)

27個

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。